16/11/16
確定拠出年金でオリジナルポートフォリオを作ろう!
FPでありDCプランナーでもある筆者が、確定拠出年金(DC)の「企業型」にフォーカスして、初歩からわかりやすく説明していきます。
この連載を読めば、企業型DCを上手に活用できるようになります。
今回は、商品コストや運用方法を知ってオリジナルポートフォリオを作りましょう。
金融商品のコストに注意
元本確保型や元本変動型の商品がある事は前回の記事で学んだとおりです。
元本変動型の商品とは、確定拠出年金では投資信託の事ですが、投資信託で注意すべきコストは「信託報酬」です。
確定拠出年金における信託報酬は、個別の投資信託商品よりも安く設定されているとはいえ、長期間となる確定拠出年金では、費用合計としては決してあなどれません。
これは、運用を任せるプロなどに払う手数料で、商品ごとに異なります。高いリターン(利回り)を取ろうと思うと信託報酬は高くなります。もちろん、信託報酬が高いからといって、かならず高いリターンが望めるものではありません。
具体的には、0.19%~1.74%ぐらいの間になりますが、平均リターン2%の商品に月額2万円30年間投資したとすれば、信託報酬0.5%の商品であれば受取総額は約910万円、信託報酬1.0%の商品なら約840万円となり、差額は70万円にもなるのです。
確定拠出年金での運用の特長
コストが大切である事を踏まえた上で、次に確定拠出年金の運用について見ていきましょう。確定拠出年金での運用のよいところは、少額積立、長期投資、時間分散という、投資をする上で大事なことが自然にできる点です。
「一定の金額を長い期間にわたって投資することで、平均して安定的な利回りを望める」もので、「ドルコスト平均法」と呼ばれます。
投資信託の基準価格には動きがあります。例えば、ある投資信託に毎月5000円掛けているとします。10月の基準価格が5000円で1口、11月が1000円で5口、12月は2500円で2口、合計1万5000円で8口購入でき、1口平均単価が1875円となります。
一方、同時期に2口ずつで購入したとすれば、3ヶ月1万7000円の投資で6口購入となり、1口平均単価は2833円となります。
同じ商品を定額で長期に購入することは、投資では重要となります。
確定拠出年金は長期にわたる投資なので、商品分散をしよう
先ほどの「一定額を長期にわたって」は分散投資の手法ですが、もう一つの分散投資手法「商品の分散」について解説しましょう。
確定拠出年金では、運営管理機関によって商品数の違いありますが、投資信託だけで5~20以上の投資信託商品がラインナップされています。
その中に、国内か外国か、外国なら先進国か新興国か、資産ならば債券、株式、不動産など、またそれらの混合タイプかなどがあります。
一般的には国内より外国のほうが、先進国より新興国のほうが、債券より株式のほうが値動きの幅は広くなって、いわゆる「リスクが大きく」なります。
商品の特性は商品名からもある程度理解できますが、運用商品ガイド・目論見書・運用報告書などの説明書を読むことでより理解を深めましょう。
ポートフォリオとは資産の組み合わせ
ポートフォリオとは、資産の組み合わせを指し、何に何%割り当てるかを決めたその配分をいいます。
例えば、全額投資信託に充てるとし、月の掛け金を、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券に均等に配分するとすれば、下図グラフとなり、月2万円の掛け金なら、それぞれ5000円ずつそれぞれの商品に振り分けられるのです。
資産の組み合わせを均等に配分した場合
オリジナルポートフォリオの作り方
では、あなただけの配分割合「オリジナルポートフォリオ」を作ってみましょう!
それにはまず、自分の「リスク許容度」を知ることから始めます。リスク許容度が大きいと、よりリスクを取った積極的なポートフォリオが組めることになります。
・投資経験の有無:有るほうが大きい
・60歳までの期間:長いほうが大きい
・確定拠出年金とは別に現預金などの資産はどれくらいあるか:多いほうが大きい
・扶養家族がいるか:少ないほうが大きい
そして何よりも自分の気持ち、リスク耐性です。同じ10万円という値下がりに平気な人もいれば、大きくショックを受ける人もいます。値動きにあまりに過敏に反応しやすい人は、リスクの低いものを選んだほうがいいでしょう。
しかし、積立・長期・分散のメリットと、何より税制の優遇メリットの一つに運用益非課税を受けることができる確定拠出年金ですから、積極性を持って運用に取り組んでもらいたいものです。
時間の流れとともにリスク許容度は変化しますので、その際は適宜見直しが必要になります。次回は、運用の変更について解説していきます。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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