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21/03/25

相続・税金・年金

届け出しないともらえない、遺族がもらえる8つのお金

大切な家族を失うと、悲しみにくれている間もなく多くの手続きに追われることになります。
お金に関することについては、払うべきものは放っておいても請求が来ますが、受け取れるものについては請求手続きをしないともらえません。
今回は、家族が亡くなったときにもらえるお金について考えてみます。

家族が亡くなったときに受け取れるお金

家族が亡くなったときに受け取ることができるお金は、次のようなものがあります。請求できる人はそれぞれ条件があるので、請求時に確認が必要です。

●行政(市町村・年金事務所・労働基準監督署)に請求するもの

①葬祭費・埋葬費・埋葬料:市区町村または健康保険組合など
お葬式にかかる費用を補填する意味合いで支給される。請求先は死亡時に入っていた健康保険制度によって異なる。
【金額の目安】
3万円~7万円など、亡くなった人が加入していた健康保険制度によって異なる

②死亡一時金:市区町村または年金事務所
国民年金保険料を3年以上納付していた人が死亡し、老齢基礎・障害基礎年金を受け取ったことがない場合などに支給される。
【金額の目安】
12万円~32万円。国民年金保険料を納付していた月数によって決まる

③寡婦年金:市区町村または年金事務所
国民年金保険料の納付期間と免除期間の合計が10年以上ある人が死亡した場合、婚姻期間が10年以上ある妻に対して支給される。
ただし、妻が老齢基礎年金を繰り上げて受給している場合などは請求できない。また、死亡一時金と寡婦年金は同時に受け取ることはできない。
【金額の目安】夫が受け取ることができる老齢基礎年金の額の4分の3

④遺族基礎年金、遺族厚生年金:市区町村または年金事務所
国民年金や厚生年金の被保険者である人、被保険者であった人で保険料納付済+保険料免除期間などの合計が25年以上ある人などが亡くなった時に、その人に生計を維持されていた遺族がいる場合に支給される。
【金額の目安】
遺族基礎年金:78万900円(老齢基礎年金額の満額・2021年度)+子の加算
遺族厚生年金:亡くなった人が受け取る予定の厚生年金額の4分の3

PayPay証券


⑤労災保険の遺族(補償)年金など:勤務先の管轄労働基準監督署
労災保険加入中(労働者)、仕事中または通勤途中の事故や病気が原因で亡くなった時に、その人に生計を維持されていた遺族がいる場合に支給される。
【金額の目安】
遺族の数によって異なる。最高4人以上で、平均賃金の245日分

⑥児童扶養手当:市区町村
18歳になった後の3月31日までの子を持つ、ひとり親に対して支給される。児童手当との同時受給が可能。
遺族基礎年金とは同時受給できるが、児童福祉手当のほうが多い場合はその差額支給となる。障害基礎年金とは、子の加算部分の額との差額支給となる。
【金額の目安】
子どもの人数によって異なる。市区町村によって多少違いがあるが、1人の場合月額4万程度

●勤務先に請求するもの

⑦弔慰金・死亡退職金
会社員などの期間に死亡した場合、就業規則や退職金規程などにより支給されるもの。
【金額の目安】
勤務先の規程による

●保険会社に請求するもの

⑧死亡保険金・入院給付金・死亡一時金など
生命保険、損害保険契約をしている場合、死亡保険金・死亡一時金は契約上の受取人が、給付金は被保険者に変わって法定相続人第一順位の遺族が受け取ることができる。
【金額の目安】
保険の契約内容により異なる

受け取ることができる金額は、一律のものもあれば、亡くなった人と受け取る人の関係や実績、また契約内容によってまちまちのものもあります。

また、これらのお金の申請には、請求の期限(時効)があります。遺族基礎年金など「年金」は死亡日の翌日から5年、死亡保険金など保険会社への請求は死亡日の翌日から3年、葬祭費・埋葬費、死亡一時金などは2年となっています。

忘れてはいけない、医療保険や傷害保険の死亡保険金請求

死亡保障が目的で加入した死亡保険金の請求を忘れることはないと思いますが、忘れがちなのが医療や傷害の保険に加入している場合の死亡保険金の請求です。

医療保険とは、入院1日にいくらの給付があるという、入院したときの費用補填が目的の保険です。傷害保険とは、けがや事故など突発的なことが原因で入院や通院したときに給付されるもので、主に通院したときのために加入することが多い保険です。

どちらも加入の目的が、入院や通院の費用補填なので、死亡したときの補償がないと思い込んでいる人もいます。死亡に対する保険金を受け取ることができる場合もあるので、忘れずに問い合わせをしてください。

PayPay証券

まとめ

家族が亡くなったときの手続きは、お金に関することだけでも多くあって大変です。けれど、もらえるお金は請求しないと受け取れません。忘れたらもったいないです。
一度に全部を同時進行しようとすると、精神的に負担になります。1つ1つできることから進めていきましょう。とはいえ、戸籍謄本などの必要書類は、時間が経つと取得しにくくなり、発行日からの有効期限もあるので、申請作業は中断がないようにしたいですね。
どうしても困ったときは専門家に頼むのが、早くお金が受け取れて、精神的にも楽な賢い選択です。

小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター

社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。

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