20/10/31
年金保険料未納を続けた人の悲惨な末路
自営業者等が払う国民年金の保険料は月16,540円(令和2年度)。支払いが厳しいと感じることもあると思いますが、もし払わなかったらどうなるのでしょうか?
今回は、国民年金の未納者がどれくらいいるのか、また、未納を続けた場合にどうなるかを説明します。年金未納のデメリットを理解し、払えない場合には対策をとっておきましょう。
国民年金未納の人はどれくらいいる?
国民年金未納者になってしまうのは、自営業者やフリーランス(第1号被保険者)です。会社員(第2号被保険者)は給料から天引きされる厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれているため、未納となることはありません。また、会社員の配偶者である専業主婦等(第3号被保険者)は、国民年金保険料を負担しなくてよいものとされています。
厚生労働省の「国民年金の加入・保険料納付状況」によると、令和元年度の公的年金加入者は約6,759万人で、このうち第1号被保険者は約1,453万人、第1号被保険者のうち未納者(24か月以上未納)は約125万人です。未納者の割合は、公的年金加入者全体でみれば1.8%、第1号被保険者のうちでは8.6%になります。
ここでいう未納者の中には、申請や特例により保険料を全額免除もしくは猶予されている人は含まれていません。第1号被保険者のうち、保険料を一部でも払っている人は約半数です。
●国民年金第1号保険者の内訳
厚生労働省「国民年金の加入・保険料納付状況」(令和元年度)より筆者作成
ところで、国民年金保険料は納期限から2年は払うことができます。平成29年度分の保険料のうち、最終期限の令和元年度までに払われた割合(最終納付率)は76.3%というデータもあります。
年代別の最終納付率は以下のグラフのとおりで、概ね若い世代ほど納付率が低くなっています。
厚生労働省「国民年金の加入・保険料納付状況」(令和元年度)より抜粋
年金未納を続けたらどうなる?
第1号被保険者のうち1割弱が未納者で、本来納付されるべき保険料のうち約2割が払われていないことがわかりました。年金を払っていない人が一定数いることで、くれぐれも安心しないでください。年金未納を続けると、以下のようなデメリットがあります。
① 老後の年金が減ってしまう
国民年金からもらえる老齢基礎年金は、保険料を40年間払い続けた人でも年間78万1,700円(令和2年度)。これでも決して十分な額ではありませんが、未納期間があればさらに少なくなってしまいます。老齢基礎年金をもらうには少なくとも10年の受給資格期間(未納でない期間)が必要ですから、これに満たなければ年金はゼロになります。年齢が上がると年金を払える期間も減ってしまうので、後悔してもどうしようもないことがあります。
②障害年金や遺族年金ももらえないかも
国民年金からもらえるのは老齢基礎年金だけではありません。障害者になったときに受給できる障害基礎年金や、亡くなったときに遺族に支払われる遺族基礎年金もあります。未納期間があると、こうした年金も受け取れない可能性があります。
③ 財産を差押される可能性も
国民年金保険料の支払いは任意ではなく、義務です。保険料を払えるだけの財産があるのに払わない人に対しては、強制徴収として最終的に差押が行われます。強制徴収は控除後所得 300 万円以上かつ未納月数7か月以上の滞納者を対象に行われており、平成30年度には約7千件、令和元年度には約9千件の差押が実施されています。
国民年金の支払いが困難な場合には?
国民年金保険料を払いたいけれど、所得が少ないなどの理由で支払いが厳しい場合には、申請により全額もしくは一部の免除が受けられることがあります。申請により免除を受けた場合には、未納にはならず、受給資格期間に参入されます。全額免除の場合でも全額納付した場合の2分の1の年金額が支給されるので、未納のまま放置しておくよりはるかにメリットがあります。免除には要件がありますので、市町村役場の窓口や年金事務所で相談してみましょう。
未納期間を埋めて年金を増やそう
国民年金保険料は過去2年分をさかのぼって納めることができます。未納の人は、これからの分を払うだけでなく、過去の分も払うと年金受給額を増やせます。申請により免除を受けた場合にも、10年以内であれば追納して年金受給額を満額に近づけることができます。保険料を払える余裕があるなら、支払い可能な分はできるだけ払ってしまうのがおすすめです。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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