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20/09/28

相続・税金・年金

老後の明暗を分ける「211万円の壁」 1万円でも超えると手取りは6万円減る

老後の明暗を分ける「211万円の壁」 1万円でも超えると手取りは6万円減る

パートで働く人の「年収の壁」。103万円の壁、130万円の壁など、いくつか知られており、しばしば話題になります。
これと同様に、老後の年金には「211万円の壁」があります。65歳以上で公的年金だけを受給する夫婦世帯が、夫の年金が211万円である場合、212万円の世帯と比べて社会保険料の世帯負担が7万円以上減る、というものです。つまり「老後の年金が1万円少ないだけで手取りのお金が6万円増える」のです。
今回は手取りのお金が増える理由と、老後の年金額を211万円以下にする方法をご紹介します。

老後の年金と住民税との関係は?

公的な年金は「雑所得」に分類されて所得税・住民税がかかります。
税金の計算上、老後に受け取る公的年金には、「公的年金等控除」(自営業者でいう経費部分)が認められていて、65歳以上はその額の上限が110万円となっています(2020年)。つまり、1年間の公的年金の総額が110万円までなら雑所得額は0となります。

さらに住民税には、2021年度(2020年1月1日~2020年12月31日の年金総額)「所得金額調整控除」10万円が創設されたため、65歳以上は120万円となります。

その120万円を控除したあとの所得が次の金額までなら住民税がかからない(住民税非課税対象者)となります。また、同じ世帯の全員が住民税非課税対象者なら「住民税非課税世帯」となります。

扶養親族がいる場合:35万円×(配偶者を含む扶養親族数+1)+21万円
扶養親族がいない場合:35万円

たとえば、夫が妻だけを扶養している場合、公的年金等控除額110万円+所得金額調整控除10万円+91万円=211万円までが住民税非課税対象者となり、夫の年金が211万円以下、妻が155万円以下であれば、住民税非課税世帯となるのです。

ここで注意したいのは、公的年金には国からの老後の年金だけでなく、厚生年金基金、確定拠出年金企業型・個人型(iDeCo)、国民年金基金、小規模企業共済からの年金額も合計する必要があることです。

あくまでもこの211万円という金額は、夫婦二人とも65歳以上であること、妻の年金は155万円以下であること、二人とも公的年金しか収入がないことが条件です。また、この住民税非課税となる所得額の「91万円」も自治体によって多少違いがあります。
なお、性別は関係ないので、夫と妻が逆の年金額でも同じです。

PayPay証券

住民税非課税世帯になるとお金の面で何が変わるの?

では、住民税非課税世帯とそうでないのとではお金の面にどのような違いがあるのでしょうか。まず確実に変わる社会保険料で考えてみます。

健康保険料と介護保険料は一生涯支払わなければいけません。この健康保険料と介護保険料が住民税非課税世帯であるのとそうでないのとで大きく違うのです。
お金の違いを以下の条件で試算してみました。

東京都江戸川区在住の夫68歳、妻66歳の夫婦二人世帯
収入は二人とも公的年金のみで2019年の年金額
・夫の公的年金211万円、妻の公的年金100万円の場合
 国民健康保険料169,328円 介護保険料77,760円 合計247,088円
・夫の公的年金212万円、妻の公的年金100万円の場合
 国民健康保険料170,344円 介護保険料142,560円 住民税5,000円 合計317,904円
その差は約7万円となりました。

1万円老後の年金総額が増えると年間7万円社会保険料の負担が増えるということになり手取りのお金は6万円減ることがわかります。
なお、あくまでもこのお金の計算は江戸川区でのシミュレーションです。各自治体で保険料が異なるのでご注意ください。

その他、住民税非課税世帯となることで、年金受給世代が受けることができる恩恵には、医療費を多く使ったときに受けられる「高額療養費制度」の自己負担額の軽減や、多額の介護サービス費用を払ったときに使う「高額介護サービス費」の自己負担額の軽減などもあります。

老後の年金額を減らす方法

今までの内容から、「老後の年金を少し減らして211万円以下にしたほうが手取りのお金が増えるなら老後の年金額を減らしたい」と思われた方、1つ方法があります。それは、本来の年金受給開始年齢の65歳より前に「繰上げ」て老後の年金を受け取り始めることです。

公的年金は現行制度上60歳以降70歳までなら、いつからでも受け取り始めることができます。ただし本来の65歳より前に始めると減額されるのです。その減額率は1カ月早めるごとに、0.5%です。
たとえば、65歳から始まる年金を63歳で受け取り始めた場合、
0.5%×24カ月=12%の減額となります。

ただし、長生きすると老後の年金の総受給額が繰上げしなかったときより減ってしまいます。人によって違いがありますが、総額が逆転するのは77歳~79歳の間だといわれています。

とはいえ、筆者は住民税非課税のための繰上げはおすすめしません。一度繰上げして老後の年金の受給をスタートすると、そのお金を後から増やすことはできないからです。

先ほどの条件はすべて、「今老後の年金を受け取っている」場合です。今老後の年金を受け取っている世代の年金総額から考えると、今から受給開始となる世代の年金総額平均は減っていくことが考えられます。老後の年金を受け取っている人のほとんどが住民税非課税世帯となってしまうかもしれないのです。

つまり、公的年金等控除額や住民税非課税対象者の条件額は減額されていく可能性も大いにあると考えています。

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まとめ

「年金211万円の壁」は住民税非課税世帯になることで、手取りのお金の逆転現象があるという発想です。しかし、さきほどの江戸川区の例で考えると、健康保険料と介護保険料との関係だけでみると、夫の老後の年金が220万円以上になればその方が手取りのお金は多くなります。つまり、ほんの限られた年金額の範囲の人のお話しということです。

加えて現実的な話しでいくと、今すでに65歳以上で老後の年金を受け取っている人は、繰上げも繰下げもできないので、住民税非課税になるための方法としては年金を受給する人が申し出をして老後の年金を停止するという選択しかありません。

また、これから老後の年金を受け取り始める世代は、法律の改正が毎年のようにあるので、一度得だと思って選択した方法が覆されることも十分にあり得ます。

制度を正しく知った上で、目先の数字に振り回されずに、老後はどんなことがしたいのか、どんな気持ちで暮らしをしたいのか、そのためにはお金が必要かを第一に考えて行動してもらいたいと思っています。

小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター

社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。

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