20/05/21
補助金の対象でよく出てくる「住民税非課税世帯」ってどんな世帯?
新型コロナの給付金でも当初対象とされていた住民税非課税世帯。その名のとおり、住民税が課せられていない世帯のことで、低収入かどうかを判断するときの基準とされています。とはいえ、実際のところどの程度の水準だと住民税がかからないのでしょうか?
今回は住民税の課税のしくみや住民税非課税になる年収、住民税非課税世帯が受けられる優遇措置について説明しますので、参考にしていただければ幸いです。
住民税の課税のしくみはどうなっている?
住民税とは、道府県民税と市町村民税(※東京都は都道府県民税と特別区民税)を合わせた呼び方です。所得税と同じく個人の所得に対して課税される税金ですが、所得税は国に納める税金で、住民税は都道府県、市町村といった自治体に納める税金になります。
住民税の税額は、会社を通じて、あるいは確定申告により申告された前年度の所得にもとづき決まります。所得税と違い、課税する側の自治体の側で税額を計算して税金を徴収する方式になっています。
住民税には均等割(一律に課税される金額)と所得割(所得に応じて課税される金額)があり、両者を合わせた金額になっています。均等割は5000円(2023年まで)、所得割は税率10%が標準税率ですが、自治体によっては多少異なるところがあります。
住民税非課税になるのは年収いくら以下から?
住民税非課税とは、均等割も所得割も賦課されていないことを意味します。以下の条件に該当する人は、所得割も均等割も課されません(※自治体によっては異なるところがあります)。
(1) 生活保護法の規定による生活扶助を受けている人
(2) 障害者、未成年者、寡婦(または寡夫)で、前年の合計所得金額が125万円以下であった人
(3) 前年の所得金額が以下の表の条件に該当する人
住民税がかからない年収は、たとえば次のようになります。
ア 一人暮らしでアルバイトをしている人の場合
所得35万円以下で住民税非課税になりますが、所得とは年収から所得控除を差し引きした金額です。給与所得者は最少でも65万円の給与所得控除が受けられるので、年収100万円以下なら住民税がかかりません。
イ 専業主婦の妻と子ども1人がいる会社員の場合
3人×35万円+21万円=126万円となるため、所得126万円以下で住民税非課税になります。給与所得控除(79.5万円)を加えた年収で言えば、205万円以下です。
令和3年度以降は給与所得控除の金額が一律10万円ずつ引き上げられますが、住民税非課税になる年収は従来と変わらない形になるよう計算式が修正されます。また、未婚のひとり親も寡婦と同じ扱いで非課税とする点も変更になります。
住民税非課税世帯が対象になる主な制度
住民税非課税世帯とは、世帯全員が住民税を課税されていない世帯です。収入が少なく経済的に余裕がない世帯とみなされるため、さまざまな優遇措置が用意されています。住民税非課税世帯が受けられる主な優遇措置をピックアップします。
●0~2歳の保育料が無料になる
2019年10月から、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3~5歳のすべての子供の利用料が無料になっています。住民税非課税世帯の場合には、0~2歳の保育料も無料になるという優遇があります。
●高等教育無償化の対象になる
2020年度に開始した高等教育無償化とは、日本学生支援機構の給付奨学金と大学等の授業料・入学金の減免を併せて受けることにより、大学等にかかる学費の負担を大幅に軽減できる制度です。たとえば、住民税非課税世帯で子どもを自宅から私立大学に通わせる場合、給付奨学金として月3万8300円(2020年度)が給付されるほか、授業料の減免も受けられます。
●国民健康保険料の減免
住民税非課税世帯は、国民健康保険料の減免が受けられることがあります。ただし、国民健康保険料は元々所得を基準に計算されているので、住民税非課税なら自動的に減免されるわけではありません。支払いが困難な場合、役所で申請すれば減免してもらえるケースが多くなっています。
まとめ
住民税非課税になる年収は、家族構成によって変わるほか、自治体によっても多少異なるところがあります。急な収入減などで生活に余裕がなくなった場合、住民税非課税なら優遇措置が受けられることも知っておくと安心です。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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