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24/09/11

相続・税金・年金

年金生活者は「住民税非課税世帯」になった方がよいのか

年金生活者は「住民税非課税世帯」になった方がよいのか

国や自治体から支給されることがある給付金。しかし、給付金をもらうための条件は「住民税非課税世帯」となっていることがよくあります。また、給付金の他にも、住民税非課税世帯が受けられる優遇措置はいろいろあります。
では、そもそも住民税非課税世帯は年収がいくら以下の世帯で、どの年代が多いのでしょうか。

住民税非課税世帯は「住民税を課される人がいない世帯」

お住まいの都道府県や市区町村に納める住民税は、地域の教育、福祉、ゴミの処理など、さまざま公共サービスに利用されています。

住民税は「所得割」と「均等割」で構成されています。
所得割は、前年の所得金額をもとにして計算され、多くの自治体では、「道府県民税4%」「市区町村民税6%」の合計10%が課されます。なお、政令指定都市については、「道府県民税が2%」「市民税が8%」になります。

一方、均等割は、所得金額にかかわらず個人が等しく負担します。負担額は、道府県民税が1000円、市区町村民税が3000円の合計4000円。加えて、2024年度(令和6年度)からは、「森林環境税(国税)」が1000円追加で徴収されます。
森林環境税は、国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全など様々な機能を有する森林の整備に必要な費用を確保するためのものです。

住民税を負担するのは住民の義務ですが、以下の要件を満たせば住民税が非課税となります。また、もし世帯メンバーすべてが住民税を課されない場合、住民税非課税世帯となります。まずは、東京都の例で住民税(所得割・均等割)が非課税になる要件を確認してみましょう。

●住民税(所得割・均等割)が非課税になる要件とは

・生活保護法による生活扶助を受けている人
・障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の人 ・前年の合計所得金額が、
(同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合)45万円以下(年収が100万円以下)の人
(同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合)35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)+31万円以下
※扶養親族には16歳未満も含みます
※23区外にお住まいの人は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村にお問合せください。

住民税が非課税となるかどうかは、収入ではなく、所得によって決まります。所得は1年間の収入から経費(会社員の場合、給与所得控除)と個人の事情を税金に反映させる所得控除を引いて求めます。

上の例のように、扶養家族がいない場合、年収100万円以下であれば、住民税非課税世帯に該当します。
扶養親族がいる場合は、たとえば「会社員と配偶者(専業主婦または主夫・収入なし)、子ども2人の4人家族」ならば、「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)+31万円」に当てはめて計算すると、35万円×4人+31万円=171万円です。つまり、所得が171万円以下であれば「住民税非課税世帯」となります。この場合の給与所得控除前の年収は、およそ255万円です。

住民税非課税世帯はどれくらいいる?

住民税非課税世帯の数をはっきりと示す統計はないのですが、厚生労働省「2023年国民生活基礎調査」をもとに計算することはできます。

<年代別の住民税課税世帯・非課税世帯の割合>

厚生労働省「2023年国民生活基礎調査」より筆者作成

表は年代別の全世帯数を100%と置き換えた場合の年代別の住民税課税世帯の数と住民税の納付額の分布を示したものです。住民税課税世帯の割合は72.6%となっています。
住民税の納付額の分布のうち、赤色で示したところはボリュームゾーンです。年代が上がるにつれて納める金額が増えており、40歳代・50歳代では「50万円以上」納付している割合も比較的高くなっています。しかし、60歳代以降になると住民税の納付額も再び少なくなります。

また、表の下部には「全世帯−住民税課税世帯」でわかる年代別の住民税非課税世帯の割合を示しました。住民税非課税世帯の全世帯に占める割合は27.4%です。同調査によると、日本の世帯の総数は5445万2000世帯ですので、その27.4%、およそ1492万世帯が住民税非課税世帯と推測できます。

また、住民税非課税世帯全体に占める各年代の割合を見ると、60歳代以上の割合が多く、全体の80.8%を占めていることがわかります。

年金生活者が住民税非課税世帯になる条件

65~70歳以上になると、ほとんどの方が年金収入で生活しています。
年金収入は「雑所得」として扱われ、課税されますが、公的年金であれば以下のような「公的年金等控除」を受けられます。

《公的年金等控除額》
・65歳未満:60万円
・65歳以上:110万円
65歳未満・65歳以上の場合で、どのくらいの年金であれば住民税非課税世帯に該当するのか具体例で確認してみましょう。

●65歳未満の場合

《扶養親族なし》
・45万円+60万円(公的年金控除)=105万円
《公的年金受給者が配偶者を扶養》
・(35万円×2+31万円)+60万円(公的年金控除)=161万円

●65歳以上の場合

《扶養親族なし》
・45万円+110万円(公的年金控除)=155万円
《公的年金受給者が配偶者を扶養》
・(35万円×2+31万円)+110万円(公的年金控除)=211万円
つまり、年金額が公的年金等控除とこの基準の合計額以下ならば、住民税は非課税になります。
なお、住民税の均等割の非課税の基準はお住まいの自治体で変わりますので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

住民税非課税世帯が受けられる優遇措置

住民税非課税世帯になると生活救済の観点から、次に紹介するさまざまな優遇措置が受けられます。

①2歳未満の保育が無償化される
幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3〜5歳児の保育は原則無料ですが、 住民税非課税世帯になると、さらに0〜2歳児の保育料も無料になります。

②高等教育無償化の対象になる
高校生であれば、返済不要の「高校生等奨学給付金制度」が利用できます。たとえば、第1子が全日制の公立高校に進学する場合は12万2100円(年額)、私立高校に進学する場合は14万2600円が受け取れます。第2子以降は、全日制の公立高校に進学する際は14万3700円(年額)、私立高校に進学する場合は15万2000円が受け取れます。
また、大学等に進学する場合は、「大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)」で、授業料や入学金の費用の給付や減免を受けられます。支給金額は、通う学校の種類やどこから通うか(自宅か自宅外か)で異なりますが、住民税非課税世帯は第I区分といって、給付・減免が手厚くなっています。

③高額療養費の自己負担が減る
毎月の医療費の自己負担を一定額に抑えることができる高額療養費制度の自己負担額は所得水準で異なります。住民税非課税世帯は、この自己負担額も少なくて済みます。

④介護 保険料の負担が減る
65歳以上の介護保険料は所得水準ごとに軽減されることがあります。介護保険料の運営を行っている自治体ごとに減免措置の要件や内容が異なりますので、確認が必要です。

⑤高額介護サービス費の自己負担額の軽減
介護サービス利用料は、所得区分に応じて1カ月の自己負担限度額が決まっており、その限度額を超えると、申請することで超えた分が高額介護サービス費として払戻しを受けられます。住民税非課税世帯であれば、通常よりも限度額が低く設定されています。

⑥国民年金保険料や国民健康保険料の負担が減る
国民年金保険料は申請すれば免除が受けられます。保険料の全額を免除された期間は、老齢年金を受け取る際に、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(税金分)を受け取れます。また、国民健康保険料の負担も2割〜7割軽減されます。

⑦NHK受信料が免除(障害者がいる住民税非課税世帯が対象)
公的扶助受給者、身体障害者、知的障害者、精神障害者がいる世帯でかつ、世帯構成員全員が市町村民税(特別区民税を含む)非課税の場合、NHK受信料が全額免除になります。

⑧さまざまな給付金の対象になる
2024年秋、電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、特に家計への影響が大きい低所得世帯(住民税非課税世帯等)に対して、1世帯あたり数万円を給付することが検討されています。

このように、住民税非課税に対しては、子育て中の場合は、児童扶養手当を受給するひとり親世帯に対する「子育て世帯生活支援特別給付金」、電気、ガス、食料品などの高騰を受けて政府が住民税非課税世帯に対して行った「緊急支援給付金」など、さまざまな給付金が受けられることが多くあります。

「住民税非課税世帯」になった方がいいのか?

住民税非課税世帯になると、社会生活を行う上でのさまざまな優遇を受けることができ、大きなメリットといえるでしょう。
実際、先述のデータでも60歳代以降は住民税非課税世帯が増えます。それなら「年金暮らしになったら、住民税非課税世帯となり、優遇を受けながら暮らしてもいいかも?」と考える人がいるのではないでしょうか。とはいえ、わざわざ住民税非課税世帯になってよいことはあるのでしょうか。むしろ、以下の2つの理由から、わざわざ住民税非課税世帯になる必要はないのではないかと思います。

●住民税非課税世帯になる必要はない理由1:「所得が少ない」ため生活が不自由

総務省の「2023(令和5)年家計調査」を参考すると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では平均月額約25万円(年額300万円)、単身世帯では平均月額15万円(年額180万円)が必要です。しかし、住民税非課税になる世帯の収入の目安は、65歳以上の単身世帯では「155万円」、夫婦世帯では「211万円」です。標準的な生活を送るよりも15~30%収入が少なくなります。

住民税非課税世帯の優遇措置は、子育て世帯や、病人を抱える世帯など、本当に困窮する世帯が受けるべきと考えられます。
高齢世帯の多くは、老後を楽しく、イキイキ暮らしたいと考えているはずです。そのような老後を目指すのであれば、資金的な余裕があるのが前提となります。
もし優遇措置を受けることを目的にすれば、収入を減らすことになり、生活が不自由になってしまうでしょう。

●住民税非課税世帯になる必要はない理由2:世帯分離で保険料が増える

世帯分離とは、同居している家族の住民票を分けることです。世帯分離は、世帯の所得によって左右される介護保険サービスの自己負担額を抑えるため、世帯の所得を減らし、介護費用を抑えることを目的に行われる場合があります。
しかし、場合によっては、世帯分離によって、配偶者控除や扶養控除の要件をみたせなくなり、税金が増えてしまうことも多くあります。また、国民健康保険料を払っている場合も「逆に増えてしまった…」となるケースもあります。
住民税非課税世帯で優遇措置を受けるためだけの世帯分離は、総合的に判断してから、行うことがベターといえます。

住民税非課税世帯を目指すメリットはない

住民税非課税世帯には多くの優遇措置がありますが、あくまでやむを得ない場合に利用するものです。もし、やむを得ない理由で収入が減った場合には活用するべきですが、そうでない場合は、あえて収入を減らし、住民税非課税世帯を目指すことにメリットはないと理解しておきましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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