22/10/15
10月から年金の振込額が減ってしまう人がいるのは本当か
老後生活を支えてくれる大切な老齢年金ですが、人によっては10月から年金の振込額が減るケースがあるようです。それは本当なのでしょうか?また、年金の振込額が減ってしまう場合、どのような理由で年金が減るのか気になりますよね? そこで今回は、10月から年金の振込額が減るのはどうしてなのか、その理由を紹介します。
10月から年金の振込額が減る理由
老齢年金は、65歳になって請求手続きをするともらえるようになります。そして、年金の受給が開始すると、年金は基本的に偶数月(4月・6月・8月・10月・12月・翌年2月)に2カ月分ずつ指定した金融機関の口座へ振り込まれます。
ただ、場合によっては10月からもらえる年金額が減る人もいます。なぜ10月というタイミングで年金額が減るのでしょうか?ここでは、10月から年金額が減る理由を3つご紹介します。
●10月から年金の振込額が減る理由1:老齢年金の受給が1年目だから
もらえる年金が年額18万円以上になる人は、年金から住民税、国民健康保険料(74歳まで)、介護保険料、後期高齢者医療保険料(75歳以上)が天引き(特別徴収)されます。ただ年金の受給が1年目の人は、特別徴収が始まるのは10月からです。それまでは普通徴収(納付書による納付)となります。
今まで納付書で支払ってきた住民税や社会保険料が10月から年金天引きとなるわけですから、受給する年金額は減ります。そのため、老齢年金の受給が1年目の人は、10月から振込額が減るのです。けれども、今まで納付書で支払ってきたものが年金天引きになるだけですから、家計の収支が変わるわけではありません。
●10月から年金の振込額が減る理由2:前年の所得が一昨年よりも増えたから
住民税や国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されます。また介護保険料も、住民税の課税状況が保険料額に影響します。仕事で収入を得たり、雑所得や不動産所得などが発生したりすると、場合によっては前年の所得が一昨年よりも増えているケースもあるでしょう。そうなると住民税や社会保険料が増えることになります。増えた住民税や社会保険料が反映されるのは10月からです。そのため、前年の所得が一昨年よりも増えると、10月から年金の振込額が減るのです。
●10月から年金の振込額が減る理由3:4月・6月・8月の特別徴収は仮徴収だから
年金の受給が2年目以降の人でも、住民税や国民健康保険料、介護保険料などの正式な納付額が反映されるのは10月からです。住民税、国民健康保険料、介護保険料は毎年6月にその年度の納付額が決まります。そのため4月、6月、8月分は仮徴収となり、前年度2月の納付額と同額が天引きされます。そして、10月、12月、翌年2月分は本徴収となって、仮徴収された納付額を差し引いた額を各月に割り振って納めるのです。つまり、住民税や社会保険料の正式な納付額が前年分よりも増えれば、10月から振り込まれる年金額は減ることになります。
年金振込通知書は必ず確認しよう
日本年金機構では、年金を口座振込でもらっている人に対し、毎年6月に「年金振込通知書」を送付しています。
●年金振込通知書のイメージ
日本年金機構のウェブサイトより
年金振込通知書には6月から翌年4月まで(2か月に1回)の年金支払額と、介護保険料額、所得税額、住民税額、国民健康保険料額(74歳まで)、後期高齢者医療保険料額(75歳から)が記載されています。また、10月からの年金支払額などに変更がある場合も年金振込通知書が送られてきます。年金支払額から税金・社会保険料を引いた「控除後振込額」がいくらか確認しておきましょう。
まとめ
10月から年金の振込額が減ってしまう人がいることをご紹介しました。
自分がこれからもらえる年金額や特別徴収される税金、社会保険料額がどのようになっているか確認し、把握しておくことはとても大切なことです。内容を確認しないでいると、突然年金額が減ったように見えて慌ててしまうかもしれません。もし手元に年金振込通知書が届いたら、必ず内容を確認し、10月以降の年金額がどうなるのか、チェックしておきましょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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