25/01/17
年金いつまで払う?国民年金と厚生年金で支払い義務年齢ともらえる金額はどう違うのか
老後の暮らしを支える公的年金。国民年金と厚生年金の2種類があり、学生や自営業は国民年金、会社員や公務員は厚生年金に加入します。現役世代は公的年金の保険料を納める義務がありますが、何歳まで払う必要があるのでしょうか?
今回は、公的年金はいつまで払う必要があって、将来いくらもらえるのか、国民年金と厚生年金にわけて紹介します。
国民年金はいつまで払う?
国民年金の支払い義務は20歳以上60歳未満です。つまり、59歳まで保険料を払う必要があります。支払う保険料は収入にかかわらずすべての人が一律で、2024年度は月額1万6980円、2025年度は月額1万7510円です。
国民年金(老齢基礎年金)がもらえるようになるのは、原則として65歳になった月からです。20歳から59歳までの40年間保険料を納めていれば、満額を受け取ることができます。国民年金の満額は、年額81万6000円です(2024年度)。保険料を納めていなかった時期や、納付を免除されていた時期があると、もらえる年金額が減額されます。
なお、国民年金を受け取るには、受給資格期間(保険料納付済期間や免除が認められた期間)が10年以上必要となります。例えば、20歳から59歳まで8年間しか保険料を払っておらず、保険料免除の申請もしていない場合、65歳になっても年金を受け取ることができません。
厚生年金はいつまで払う?
厚生年金の支払い義務は、厚生年金保険の被保険者の期間です。つまり、60歳を超えても会社などで働いているのであれば、その間は保険料を払うことになります。ただし、70歳を過ぎると厚生年金保険の加入資格を失うため、払う必要はなくなります。
厚生年金の保険料は、給与と賞与の額によって定められた標準報酬月額と標準賞与額をもとに決定され、被保険者本人と会社が折半で支払います。給与が多いほど支払う保険料が高くなり、将来もらえる年金額も増える仕組みとなっています。
老後にもらえる厚生年金の額は、下記の計算式で求められます。ただし、これは2003年4月以降に働き始めた方向けのざっくりとした計算式となります。経過的加算や加給年金についても、ここでは割愛します。
厚生年金額(年額)= 平均標準報酬額(加入期間中の標準報酬月額と標準賞与額をすべて合計した金額) × 0.005481×2003年4月以降の加入期間の月数
その他、年金を払う必要があるのはいつ?
国民年金と厚生年金の支払い義務期間について説明しましたが、いくつか例外があります。
●60歳以上でも任意で国民年金を払うことができる
国民年金を払うのは、20歳から59歳までの40年間と説明しました。しかし例外で、受給資格期間が40年に満たない方は、60歳以降に任意で国民年金を払うことで、受給資格期間を増やし、将来の年金受給額を増やすことが可能です。これを国民年金の任意加入といいます。任意加入は65歳になるまでの最長5年可能です。
さらに、65歳まで任意加入しても受給資格期間が10年に満たず、年金を受け取る資格がない方は、70歳になるまで国民年金に加入できます(高齢任意加入)。
●配偶者が65歳になったら扶養から外れる必要がある
厚生年金保険加入者に扶養されている配偶者は、国民年金の第3号被保険者となりますから、自分で保険料を納付しなくても将来の年金受給額に反映されます。ただし、厚生年金加入者が65歳になったら、まだ会社員や公務員として働いていたとしても、配偶者は第3号被保険者から第1号被保険者へ切り替えねばなりません。
たとえば、年上の夫が会社員で年下の妻が専業主婦の場合、夫が64歳になるまで妻は自分で保険料を納付する必要がありませんでした。しかし、夫が65歳になるタイミングで、妻は国民年金の第1号被保険者となり、自分で保険料を払う必要が出てきます。たとえ夫が65歳以降も会社で働いていたとしても、65歳になった時点で配偶者を第3号被保険者にすることはできなくなるのです(なお、年上の妻が会社員で年下の夫が専業主夫の場合でも同様です)。
年金制度を正しく知って将来に備えよう
公的年金はいつまで払う必要があり、老後いくらもらえるのか、基本的な内容を解説してきました。
国民年金と厚生年金で仕組みが異なり、ルールに例外もあるため、ややこしいと思う方も多いかもしれません。自分の将来にかかわる大切なことですから、少しずつでも正しく理解し、老後の備えについて考えていきましょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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