18/09/29
受け取った死亡退職金の一部を子どもにあげたら相続税・贈与税はかかる?
FP Cafe「みんなのマネー相談」
今回、FP Cafe「みんなのマネー相談」に投稿された相談は、「受け取った死亡退職金の一部を子どもにあげたら相続税・贈与税はかかる?」というもの。
社会保険労務士で、ファイナンシャルプランナーの小野みゆきさんがアドバイスしています。一緒に相談内容を見ていきましょう。
※ FP Cafeとは、あなたの思いに共感し、理想とする人生を実現するまで、共に歩んでくれる「伴走者」が見つかるサービスです。数十名の女性ファイナンシャルプランナーが在籍しています。
▼相談者の情報
家族構成:相談者 53歳、長女 26歳会社員、二女 21歳学生
相続財産:退職金 約2800万円、医療保険金約100万円、住宅ローン完済
今回の相談内容(大阪府50代 ママピクさんからの投稿)
●受け取った財産の一部を子どもにあげたら相続税・贈与税はかかる?
今年5月に会社員(59)の主人が亡くなりました。
退職金は約2800万円、医療保険金 約100万円、死亡によりマンションのローンは一括完済しました。他諸々の払戻金が少々有ります。
マンション登記簿の変更をしていただいた司法書士さんは、相続税はかからないだろうとの事。
又、勤めていた会社からは、12月に少しですが冬のボーナスが振り込まれるので、その後税務署にて相続の手続きをするように言われています。
死亡後に発生したお金は、全て私の預金に振り込まれています。
相談ですが、いずれ子供たちに幾らかのお金を渡すつもりでしたが、税務署に届け出ていない今、他銀行の子供の預金に入れるのはどうなるのでしょうか?
とりあえず500万円ずつの定期貯金に入れたいのですが・・・
何か相続、贈与などの手続き 税金等の発生は無いでしょうか?
ファイナンシャルプランナー小野みゆきさんのアドバイス
●まずは相続税の非課税枠を確認
ママピクさん、こんにちは。
滋賀の女性社労士FP、レディゴ社会保険労務士・FP事務所の小野みゆきです。
ご主人さまのご逝去を悼み、心からお悔やみ申し上げます。
相続についての相談ですね。以下、基礎的な知識をお伝えします。
相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人数
法定相続人が配偶者と子ども二人の場合は、課税対象合計4800万円までなら相続税は課税されません。
死亡退職金と死亡保険金は、みなし相続財産として課税対象になりますが、それぞれ、500万円×法定相続人数の非課税枠があります。
配偶者と子ども二人の場合は、それぞれ1,500万円ずつが課税されません。
そのようなことから考えて、司法書士さんは相続税はかからないだろうと言われたのだと思いますが、司法書士さんは税金のプロではないので、だろうとしか言えないと思います。
●受取人の財産を子どもに渡すと贈与税の対象に
死亡退職金、死亡保険金は、ともに受け取った人のもの(固有財産)なので、ママピクさんのものです。そのお金を子どもに渡すと、贈与税の対象となり、年間の基礎控除110万円を超えると、贈与税がかかります。
正式な「遺産分割協議書」は作成されていますか?
司法書士さんが作成された内容は、対象が不動産に関することのみではないでしょうか?
相続税・贈与税については、税金のプロである、お近くの(不動産をお持ちなので)「税理士」に相談されることをお勧めします。
●100年時代を見据えた、FPとしてのアドバイス
FPとして私からひとつ助言です。
500万円ずつお子さんに分けたいとのことですが、もし遺産がここにかかれているだけでしたら、それは慎重にしてください。
お気持ちはすごく良くわかります。でもママピクさんはまだまだお若い。人生100年時代と言われる今、あと50年分の生活費としては、遺族年金があるとしてもかなり不安な額ではないでしょうか?
さきほども書きましたが、死亡退職金と死亡保険金は受取人の財産です。
今お金を渡して、かえって将来お子さんに迷惑をかけるのは避けたいですよね。お子さんに法定相続分の権利はありますが、将来の自分暮らしを説明して、話し合いされてはいかがでしょうか。
そのためにも一度キャッシュフロー表を作成して、試算してください。
いつでも個別相談承っています。お気軽にご相談ください。
提供:FP Cafe
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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