21/01/16
【2021年版】あなたの年金はいくら?概算表で確認しよう!

老後の生活を支える公的年金、あなたはいくらもらえるか知っていますか?
50歳以上で受給資格のある人は、年一回誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に年金額が書いてあるので大まかな額はわかります。でも50歳未満の人はもらえる時点での年金額の記載がないので不安ですよね。
今回は50歳未満の人のために、年金額の計算の仕方をお教えすると共に、厚生年金額の概算表を作ったのでぜひ参考にして下さい。
平均的な年金受給額はいくら?
年金額の概算を紹介する前に、世の中の平均的な年金受給額はいくらなのかご紹介しましょう。平成30年度末現在の金額は下記のようになっています。
・国民年金:月額55,708円
・厚生年金(国民年金月額を含む):月額143,761円(男性:163,840円、女性:102,558円)
(厚生労働省年金局「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」令和元年12月より)
年額にすると、国民年金だけの場合は約67万円、厚生年金に加入している場合は約173万円となり、厚生年金に加入している場合としていない場合ではだいぶ差があることがわかります。
また、厚生年金の平均受給額は男女で年間6万円の差があります。厚生年金の受給額は、厚生年金期間中の報酬の平均と保険料の納付月数によって決まるため、報酬が高いほど受給額も多くなるからです。
国民(基礎)年金の年金額は単純計算
受給できる年金額ですが、国民年金と厚生年金では、計算方法が異なります。
国民年金は、満額×(納付月数/480ヶ月)で求めることができます。
国民年金は、20歳から60歳までの40年間、480ヶ月保険料を納めると満額支給となります。厚生年金や共済年金に加入していた期間、昭和61年4月以降のサラリーマンの妻など第3号被保険者期間も保険料を納めた期間となります。
令和2年度の満額は、年間78万1700円です。
保険料を払わないといけないのに払っていない期間は「未納」期間となり、その期間分の年金はもらえません。
たとえば、480ヶ月の内2年間未納期間があれば、
78万1700円×(480-24)/480=74万2615円(年間)
となります。
●免除期間がある場合
免除申請によって、保険料の一部または全部が免除される免除期間がある人の計算式は、
78万1700円×(納付済月数+全額免除月数×4/8 + 4分の1納付月数×5/8 + 半額納付月数×6/8 + 4分の3納付月数×7/8)/480
となります。
たとえば480ヶ月のうち全額免除期間が2年間あり、それ以外は全額納付している場合、
78万1700円×{(480-24)+24×4/8}/480=76万2158円(年間)
となります。
厚生年金の年金額はいくら?
厚生年金額は、厚生(共済)年金被保険者期間の報酬の平均と、加入月数の合計を掛けたものになります。つまり、報酬が高く加入月数が長いほど厚生年金の額が高くなります。また、20歳前や60歳以降の厚生(共済)年金被保険者期間は、65歳以降に支給される厚生年金額に、「差額加算」として反映されます。
●平成15年3月までの厚生年金計算式
平成15年(2003年)3月までは、賞与に厚生年金保険料はかからず、月々の給料のみ保険料の支払いとなっていました。
年金額の計算式は、
平均標準報酬月額×7.500/1000×平成15年3月までの被保険者月数×1.000
です。
たとえば、入社から平成15年3月までの被保険者月数が48か月、平均標準報酬月額が26万円の場合、
26万円×7.500/1000×48×1.000=9万3600円(年間)
となります。
●平成15年4月以降の厚生年金計算式
平成15年4月以降は総報酬制が導入されました。賞与にも厚生年金保険料がかかるようになり、それに伴って年金支給の乗率も変更になりました。
年金額の計算式は、
平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以降の被保険者月数×1.000
です。
たとえば、平成15年4月以降60歳までの被保険者月数が408ヶ月、平均標準報酬額47万円の場合、
47万円×5.769/1000×408×1.000≒110万6000円(年間)
となります。
概算表でチェック!
厚生年金の加入期間と報酬から、おおよその年金額を算出する概算表を用意しましたので、ぜひ参考にしてください。
●厚生年金概算表
・平成15年3月まで

・平成15年4月以降

「免除」と「未納」の違い
年金保険料に「免除」や「未納」の期間があると、将来の年金額は満額に比べて減額となります。
「免除」に該当する場合は、年金額は満額より少なくなりますが、受給資格期間には入れることができます。保険料の納付を遅らせる「納付猶予」も同じです。
老齢基礎年金だけでなく、万が一の時の遺族基礎年金や障害基礎年金の受給資格期間にもこの期間が含まれます。
免除期間は、10年以内であれば国民年金保険料を遅れて納付(追納)することができるので、期間内に過去の分を納付すれば、将来の老齢基礎年金を満額にすることが可能です。
それに比べて、「未納」は受給資格期間にも年金額にも全く反映されません。同じ2年間保険料を払っていないとしても、免除申請をしているかいないかによって、年金額は2万円も変わります。
免除申請には、申請できる期間が定められています。保険料を納めることが難しいときは、早めに免除や猶予の申請をしましょう。
●免除・猶予は受給資格期間に入る

(筆者作成)
学生納付特例制度の申請を忘れずに!
免除制度の中で多くの人が関係するのが、「学生納付特例制度」ではないでしょうか。
令和2年度の国民年金保険料は月1万6540円ですが、収入がない大学生にとっては簡単に納められる金額ではありません。そのため、救済措置として、以下の要件を満たしている学生を対象として、国民年金保険料の納付が猶予される制度です。
・大学(大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、専修学校などに在籍していること
・前年所得の目安が、118万円+扶養親族等の数×38万円以下であること
承認されるとその間は保険料を納める必要がなくなります。その上、10年以内であれば保険を遅れて納付(追納)することができるので、当てはまる方は申請を忘れないようにしましょう。もし学生納付特例の申請を忘れてしまっている場合でも、2年1ヶ月前までさかのぼることができます。
ただし、猶予であって免除ではないので、必ず10年以内にさかのぼって納付しておきましょう。
国民年金が満額にならない場合何ができる?
国民年金が満額にならない理由は下記のような例が考えられます。
・学生時代、学生納付特例制度の適用を受けず、年金保険料を払っていなかった
・厚生年金に加入していたが、退職後、国民年金加入の手続きが遅れ、年金保険料を払っていなかった
上記のような理由で国民年金が満額にならない場合、少しでも満額に近づける方法をご紹介します。
● 滞納していた年金保険料を納める(後納保険料)
免除申請もし忘れていて、そのまま滞納してしまった年金保険料がある場合、保険料の納期限(翌月末日)より2年間であれば、年金保険料を支払うことができます。
●60歳から65歳までの間、国民年金に任意加入する
40年間の満額の年金にならない場合、60歳から65歳までの間、任意加入して年金保険料を支払い、年金額が満額にできる可能性があります。
●付加年金の保険料を納める
国民年金保険料に上乗せして、月400円支払えば、200円×納付月数分の年金額が加算されます。例えば、1年間付加保険料を支払えば、受給できる年金が年2400円一生涯上乗せされます。
被用者年金期間が20年以上あると加算がある
被用者年金期間とは、厚生年金と共済年金の被保険者期間をいい、被用者年金期間が20年(240ヶ月)以上あると、「加給年金」が加算される可能性があります。
被用者年金期間が20年以下の年下の配偶者がいる場合、受給者の被用者年金期間が239ヶ月と240ヶ月では、厚生年金額が年間39万円近く変わるので、退職日を決める前には自分の厚生(共済)年金被保険者期間の合計を正しく把握しておきましょう。
年金額は毎年変更となります。けれども、概算の年金額を知っていれば、セカンドライフプランがより具体的にイメージできて、備えも変わり今の暮らしも変わってきます。皆さんの、今後のライフスタイル向上のためにぜひ参考にしてください。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。

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