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21/02/08

相続・税金・年金

競馬で4億8000万円の大当たり!税金はどうなる?宝くじとは扱いが違うのか

2021年1月11日の中央競馬で、100円が4億8178万3190円になるという史上最高額の大当たりが出ました。万馬券ならぬ「億馬券」だなんて、競馬ファンでもそうでなくても憧れますね。しかし、気になるのは税金のこと。実は、競馬の利益には税金がかかります。いったいどのぐらいの税金を納める可能性があるのか、解説します。

競馬で大当たりを出すと課税されるのはなぜ?

所得税法では、所得を次の10種類に分けています。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
そして、所得に応じて税金の計算方法が異なります。

このうち、競馬で得られた利益は通常、一時所得にあたります。一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得」。つまり、働くこと以外で手に入れた臨時収入などのことです。
国税庁のホームページにも「公営競技(競馬、競輪、オートレース、ボートレース)の払戻金については、一時所得として確定申告が必要となる場合があります。」と記載されています。

一時所得の所得税は「払戻金-経費-50万円(特別控除額)×2分の1」で計算します。この式の答えがプラス、つまり競馬で年間50万円を超える払い戻しがあれば確定申告をして、税金を納めなければなりません。

なお、競馬と同じく人気の高いギャンブルに宝くじがありますが、競馬とは異なり、宝くじの当せん金には課税されません。宝くじの販売について定めた当せん金付証票法第13条にも所得税を課さないと定められています。

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一時所得だと所得税はいくらかかる?

では、もし競馬で4億8000万円当たった場合、所得税はどのくらいかかるのでしょうか。ここで、一時所得が4億8000万円だった場合の所得税額を計算してみましょう。

一時所得の所得税は以下の計算式で計算します。

(払戻金―経費―特別控除額)×2分の1=課税所得額
(課税対象額×税率―控除額)×1.021(復興特別所得税)=所得税額
※経費は当たり馬券代の100円のみとします。
また、特別控除額は50万円、税率や控除額は所得金額に応じて変わります

課税所得額は、(4億8000万円-100円-50万円)×2分の1=約2億3974万円となります。
所得税を計算するときは、課税所得額に税率(今回は45%)をかけ、控除額(今回は479万6000円)を引き、復興特別所得税をかけて算出します。
つまり、(2億3974万円×45%-279万6000円)×1.021=約1億525万円。所得税が約1億525万円もかかることになるのです。

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競馬の利益が雑所得として認められた判例も

他方で、競馬の利益が一時所得ではなく雑所得として認められるケースもあります。雑所得とは、その他9種類の所得に当てはまらない所得です。たとえば、副業をして得た収入や年金・仮想通貨の取引で得たお金などが含まれます。

競馬の利益が雑所得として認められた場合のメリットは、経費として認められる範囲が広くなる点です。
たとえば、一時所得では当たり馬券の購入費用のみ経費として認められます。しかし、雑所得の場合は、外れ馬券の購入費用についても経費になります。経費が増えれば所得税も減るため、競馬を事業としてやっている場合は雑所得として認められた方が利益が残ります。

競馬から得た払戻金をどちらの所得で課税するかについては、裁判で争われた判例があります。

たとえば、6年間にわたって馬券の購入方法を工夫し、年間3億円〜21億円もの馬券を購入し続け、少ない年で約1800万円、多い年で約2億円の利益を得ていたケースでは、利益を得るためには外れ馬券の購入が必要だったと判断され、雑所得として認められました(2017年12月15日最高裁判決)

一方で、別の判例では払戻金が「一時所得である」と認められています。こちらも、馬券の購入回数は数百回を超えていました。しかし、利益を出し続けるために馬券の購入方法を工夫しているわけではないなどの理由で、雑所得は適用されなかったのです(2016年9月29日東京高裁判決)。

これらの裁判所での判決後、国税庁はホームページ上で「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」を公開し、馬券の払戻金の所得税区分について説明しています。要約すると、

・年単位で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けている
・年単位で多額の利益を上げている
・長期的に利益になるように馬券を購入し続けてきたことが他人に説明できるぐらい客観的

という場合に、雑所得に該当するとしています。
したがって、これらの条件に該当しない競馬愛好家は、これまで通り一時所得での課税になるので、外れ馬券の購入費用は経費にできません。

なお、雑所得の条件にあてはまり過去の申告で所得税を納めすぎた場合は、所得税の還付手続きを受けられます。ただし、法定申告期限から5年を過ぎると還付を受けられないので注意が必要です。

まとめ

競馬で4億8000万円の払戻金を受けても確定申告を行う所得税を納める必要があります。また所得税の最高税率は45%なので、かなりの金額を納めなければならないのは間違いないでしょう。一攫千金の大当たりは嬉しいものでしょうが、現実は少し寂しいかもしれませんね。

小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター

地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。

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