19/02/05
こんな投資信託は買うな! 買えば貧乏になる「貧乏投信」を見分ける3つのポイント
私たちが購入できる投資信託(投信)は約6000本あります。しかしそのほとんどは、売る側の都合で作られた「貧乏投信」。金融機関も利益を出したいですから、手っ取り早く儲けられる投信を売ろうとしてくるのです。貧乏投信を買ってしまうと、相場がよいときにはあまり利益が出ず、悪いときにも金融機関にお金を貢ぎ続けるハメに……。
でも大丈夫。次の3つのポイントに気を付けてもらえれば、貧乏投信をつかむ可能性はぐっと少なくなるはずです。お金を増やしたい人が買うべき投信の選び方を紹介します。
貧乏投信を見分けるポイント1 購入時手数料と信託報酬
投信の手数料には、大きくわけて次の3つがあります。おおよその手数料率の幅とともに示します。
(1)購入時手数料(買うときの手数料):購入金額の0%〜3%程度
(2)信託報酬(運用中の手数料):投信の資産(純資産)の0.1%〜2%程度(毎年)
(3)信託財産留保額(売るときの手数料):元本の0%〜0.3%程度
名目や金額はいろいろですが、基本的には運用の良し悪しに関わらずお金が引かれるのですから、ちょっとでも少ない方がいいということになります。
画像:三菱UFJ国際投信「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」の交付目論見書より
投信の購入時に確認する目論見書(交付目論見書)に「ファンドの費用」という項目があります。ここに購入手数料・信託報酬・信託財産留保額が書かれていますので、必ずチェックしましょう。ネットなどで見る場合も、この3つがどうなっているかを確認します。
上に掲げた三菱UFJ国際投信「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」は購入時手数料・信託財産留保額はゼロ。信託報酬も年約0.12%でとても優秀です。
しかし、あなたの買おうとしている投信は
・購入時手数料が3%などと高額になっていませんか?
→購入時手数料のかからない「ノーロード」を選びたいところ。そうでなくても、なるべく安いものを探しましょう。
・同じような内容の他の投信と比べて、信託報酬が高くありませんか?
→0.5%程度の違いでも、5年、10年と持ち続けると数十万の差になることもあります。
買う前に、必ず見比べておきましょう。
貧乏投信を見分けるポイント2 「分配金」の有無・頻度やその原資
投信では、運用の収益を投資家たちに分配することがあります。これを分配金といいます。分配金は普通、投信の決算時に支払われますが、分配金を出すかどうか、いくら出すかは投信ごとの方針で異なります。
画像:セゾン投信「セゾン・グローバルバランスファンド」の交付目論見書より
目論見書の「手続・手数料等」の中にある「決算日」と「収益分配」の項目をチェックしましょう。上記のセゾン投信「セゾン・グローバルバランスファンド」の場合、決算日は年1回・12月だけで、分配金は再投資されると書かれています。この投信は、長期の資産運用に適した分配金のしくみを取り入れているといえるでしょう。
しかし、あなたの買おうとしている投信は
・分配金を毎月など、高頻度で出していませんか?
→分配金には基本的に約20%の税金がかかります。毎月分配金が出るということは、年に12回も税金を支払うことになるため、非効率的です。
・分配金を直接受け取る方式にしていませんか?
→分配金は直接受け取る方式と再投資する方式が選べる場合があります。直接受け取ると、投資に回す元本が増えず、複利効果を得られません。
・分配金は元本の取り崩しになっていませんか?
→分配金には投信の利益を配る普通分配金と、元本の一部を取り崩して配る特別分配金(元本払戻金)があります。分配金を出す投信では、利益が出なかった場合に特別分配金を出します。しかしこれはあなたのお金がいくらか戻ってくるだけで、得でもなんでもありません。その上、投信の元本が減ってしまうため、その後値上がりしても、利益を十分に得られなくなってしまいます。
一見「毎月分配金が受け取れるなんておいしい」と思われそうですが、現役世代が将来にわたってお金を増やしたいと考えるならば、毎月分配金の出る投信は避けるべきです。
貧乏投信を見分けるポイント3 投資対象は旬のすぎたテーマ? 複雑な仕組みになってない?
投信が投資するのは、国内・海外の株式・債券・不動産など。投信ごとに、何に投資しているかが違います。幅広く、多くの投資先に投資することで、リスクを抑えた分散投資ができると考えられます。
画像:楽天投信投資顧問「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の交付目論見書より
目論見書の「ファンドの特色」には、その投信が何に投資するのかが記載されています。楽天投信投資顧問「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、米国株式市場のインデックス(市場全体の値動きを表す指標)に連動する運用をめざしています。
インデックスのなかには、値上がりする株式もあれば、値下がりする株式もあるでしょう。また、値上がり(値下がり)する株式は、時期によっても変わるでしょう。しかし、市場全体を買っておくことで、ある株式の値下がりを他の株式の値上がりでカバーすることが期待できます。
しかし、あなたの買おうとしている投信は
・テーマ型投信ではありませんか?
→インターネット、バイオ、水資源、AIなど話題のネタを取り入れ、それに関する株式などだけを組み入れた投信をテーマ型投信といいます。一見良さそうに感じますが、流行が終わってしまうと伸び悩む傾向があるため、長期投資には向きません。また、値下がりしても他の値上がりがカバーする、ということも見込めません。そのうえ、手数料も高めに設定されていることが多くあります。
短期投資だと割り切って買って、値下がりする前に売れば、多少は利益が出るかもしれません。しかし、それならばむしろ株式投資でその銘柄を直接買うなど、他の方法のほうが手数料も安くていいはずです。
・複雑な仕組みが組み込まれていませんか?
→たとえば、円以外の通貨を選んで為替の値動きによる利益を目指す通貨選択型や、オプションと呼ばれる仕組みを用いて利益・損失を限定するカバードコール型などがあります。一見よさそうですが、複雑な仕組みの商品はほとんどの場合手数料が高く設定されています。また、値動きの理由がわかりにくいのも難点です。
「この投信いいな」と思ってしまうと、多少のことに目をつぶっても欲しくなってしまうもの。でも、買う前にせめてこの3つのポイントだけは見て、貧乏投信でないかを確認しておきましょう!
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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