18/07/10
「高額療養費制度があるから医療保険は不要」はNG
毎月、数千円のお金を掛け捨てて加入する医療保険は、ムダかなと思っている人も多いのではないでしょうか?
この考え方は、高額療養費制度もあるし、入院時の出費はそれほど家計を圧迫するものでもないという前提の考え方から来ます。しかし、実際入院するとお金の不安は大きいのです。
今回は実際にあった入院事例をいくつか紹介します。一緒に医療保険の必要性を検討してみましょう。
急性胃腸炎で入院したAさんの事例
Aさんは、突然の嘔吐や下痢に見舞われ病院に行くと、急性胃腸炎と診断され、即入院といわれました。お金の事を考えると、複数人のベッドが並ぶ大部屋が良かったのですが、個室しか空いていないとのこと。個室料金の支払いが負担だなという事が頭によぎりましたが、早く楽になりたいという気持ちが強く個室での入院を了承しました。
結果的に、2泊3日の入院でも個室料を含め5万6000円の支払いをして退院したのです。
貯金があまりないAさんにとって、この出費は痛手でした。次の給料日までの生活費も心配になりました。
医療保険には加入していたAさんでしたが、日額5000円の入院保障だったので全く足りなかったという事になります。
うつ病発症で入院したBさんの事例
Bさんは日々の忙しさからうつ病を発症してしまい、入院生活を余儀なくされました。
どのくらい入院するかも不明のままの入院でした。入院は大部屋で個室料の心配はありませんでした。
最初は環境を変えて少し休めば良いと思っていました。医療保険の入院保障も日額5000円あり、高額療養費を考えれば、毎月、自己負担は約10万円ですが、そのほとんどを保険でまかなえるので不安はありませんでした。
しかし、入院が2か月目になると、保険の支払限度日数の60日で退院できるかが不安になりました。60日を超えると、保険もなく自己負担が1か月で10万円にもなるのです。
また、病気が病気なだけに、入院が長引くほど職場復帰ができるかどうかも不安に。
結果的にBさんは7か月の入院生活を送りました。加入していた医療保険が役立ったのは最初の2か月であとは働けなくなる不安を抱えながら預金を切り崩したのでした。
では、どんな医療保険が良かったか?
入院をしなければ、医療保険の掛け捨てはもったいないものになりますが、実際入院した人にとってはありがたいものになるのが保険です。
安心を変えるのが保険の良いところですが、AさんやBさんの場合、医療保険に加入していても不安は拭えませんでした。
では、どんな医療保険が良かったのでしょうか?
Aさんの場合、短期でもまとまった一時金が出れば、入院費用がまかなえました。
Bさんの場合は、入院限度日数の長いものであれば入院費用がまかなえたという事になります。また、日額が1万円とか1万5000円とか高いものに加入していれば補えた可能性もありますが、そもそも日額の高い保険は、月々の保険料も高いという難点もあります。
医療保険は日々進化中
昔の医療保険は入院をしても20日間は入院給付金の対象外でやっと21日目から支払われるものでした。しかも日額3000円が主流でした。そのあとは、入院5日目から給付金が支払われる保険で日額5000円が主流になり、さらにそのあとは、1泊2日から出るもの、日額1万円が一般的になりました。
先進医療特約もいつの間にか当たり前と、医療保険の傾向が変化しているのです。
現在は短期入院化という事もあり、日額よりも一時金を重視する保険が続々登場しています。しかし、Bさんのように入院が長期化する病気もあり、それに対応する保険も出てきています。医療保険は医療事情に合わせて進化していて、より細分化された保険になっています。
まとめ
医療保険は病気時の不安を考えると自分の病気事情にあった保険であることが理想です。
お金の不安を解消するための保険ですから、保障内容は重要です。
短期の入院、長期の入院どちらでも役に立ち、お金の不安を和らげてくれる保険に近づけるために医療保険の保障内容の見直してみましょう。
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廣木 智代 ファイナンシャルプランナー(CFP)
結婚後、家業のスナックで手伝いをしていたが母の引退と共に廃業。家計の苦しさを埋めるための我が家の保険の見直しをきっかけに、お金に賢くなるお手伝いをするべくCFP資格を取得。心と体とお金の健康バランスを軸に、個別相談、セミナー、執筆を展開中。最近はラジオCRT栃木放送にて「賢くなる座談会」を放送中。FP Cafe登録パートナー
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