19/05/02
貧乏夫婦が入っている保険、見直し3つのポイント
わずか10年前と比較しても、少子化や共働きなどの影響を受けて、保険の商品の種類や夫婦間での保険料バランスは大きく変わっています。しかし「生命保険は難しい」と眉をひそめて相談に来られる人は、変わらずに見られる傾向です。
保険が好きな人と嫌いな人
筆者が日頃行っているマネー相談に訪れる相談者は、「保険好きな人」と「保険嫌いな人」に分かれます。以下は筆者が考えるそれぞれの傾向です。
●保険好きな人の傾向
・保険以外の金融商品を知らない人
・予定利率が3-4%あった頃の「お宝保険」を保有している(またはしていた)人
・設計書に記載された解約返戻金の表などがないと、運用において安心できない人
・保険金の恩恵を受けた人が、自身の身の回りにいる人(もしくは本人)
●保険嫌いな人の傾向
・自分だけは絶対に損したくない人
・アンチ保険金融アドバイザーのファン
・経済的責任(負担)を計算しない人(結果が恐くて精密検査をしない人と同様)
筆者の偏見も含まれていることをご容赦いただきたいのですが、多くはこのどれかです。
筆者自身、保険好きが良いとか悪いとか、そういう目で相談者を見ることはありません。保険に加入するのもしないのも、最終的にはその人の自己責任です。筆者は単に、保険に加入した場合としなかった場合の経済的シミュレーションを行い、どちらを選択するか判断していただくだけのことです。
さて、今回のテーマである「貧乏夫婦が入っている保険」は当然、保険に加入していることが前提ですので、前者「保険好き」な夫婦に多くみられます。
キャッシュフローの悪化で保険貧乏に
保険貧乏に陥る夫婦の多くは、キャッシュフローが悪化することから始まります。
キャッシュフローは毎月のお金の出入りのことです。ですから、たとえ将来の為に積み立ている(掛け捨てでない)保険料だとしても、キャッシュフロー上では出ていくお金になります。
保険に加入する際は、このキャッシュフローをきちんと計算して、将来、滞りなく保険料が払えるかどうか、確認しなければなりません。この確認をせずに加入したか、または転職や減給などで計画と異なる収入状況になれば、キャッシュフローが悪化して、削減できる固定費を探す状況になる事が考えられます。
予定よりも早く解約する場合、多くの保険が予定よりも少ない解約返戻金額となります。商品や設計と加入年数によって異なりますが、払った保険料に対して100%以上の返戻金を受け取る予定のものが、早期解約で50%以下になる事も十分あり得ます。
保険が預金と大きく異なるのが、この「想定外の解約」に対して非常にシビアな結果になることです。払込が終わる時期まで十分に、保険料を支払い続けられる「余裕」をもって、設計をしなければなりません。
保険貧乏にならないために見直す3つのポイント
1. 将来のキャッシュフロー表を作成する
2. 今の保険料を続けて支払えるか確認する
3. その保険が必要かを検討する
キャッシュフロー表は計算が得意な人はご自身でできると思いますが、苦手な人はFP(ファイナンシャルプランナー)に依頼して作成してもらいましょう。
ここでは「無料」とうたうFPではなく、有料で保険販売を目的にしていないFPに相談するべきです.。
何も無料のFPが悪いといっているのではありません。きちんとしたキャッシュフロー表の作成には、依頼者に対するヒアリング力はもちろんのこと、源泉税の計算や家計簿のチェック、年金の試算など、それなりのスキルと時間が必要です。その仕事を無料で請け負う以上、その先に商品販売があることを理解しておく必要があります。
キャッシュフロー表ができたら、今の保険料を続けて支払えるかを確認します。そして、その保険が必要かを検討します。
保険には大なり小なり、必ず保険金や給付金にまつわるコストが発生しています。そうしたお金を保険という金融商品で得る必要性があるのか、冷静に考えます。
例えば、死亡保障が必要でないのに「日本の金利と比べて外貨の金利が高いから」と、貯蓄目的で外貨建て終身保険に加入しているケースがあります。この場合は、わざわざ保険に加入しなくても、外貨建てMMFで運用すれば、死亡保険にかかるコストをなくすことができます。
また、掛け捨てで高額な医療保険に加入しているケースもあります。こちらは、医療保険で保障される範囲(入院・手術・通院)が、公的健康保険の範囲でカバーできないか、考え直すべきです。公的健康保険の範囲を超える(保険適用外の)治療が多い分野は、民間の保険でカバーする価値がありますが、公的保険と重複する分野に、多額の保険料を支払う必要はないでしょう。
必ずしも保険でなくてもよいケースは、保険料を納付し続ける「義務」と納付できなかった場合に陥る「リスク」を加味し、継続するかどうかの判断をします。しかし保険にしかできない役割もありますから、一口に「保険はいらない」と決めつけてしまうことはおすすめしません。
見直しはさほど難しい計算が必要なわけではありません。
偏った考えや無理のある設計をすることが、後悔や損失の原因であることを押さえておきましょう。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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