20/08/24
都道府県民共済はなぜ安いのか。メリット・デメリット踏まえ加入すべき人は?
掛金が安く、死亡保障や医療保障が得られる都道府県民共済。いったい、どのようなしくみなのか、気になっている方も多いと思います。今回は都道府県民共済の基礎知識から、掛金が安い理由、加入のメリット・デメリット、どんな人が加入に向いているのかまで、まとめてお伝えします。
43都道府県にある共済制度
都道府県民共済とは、非営利団体の生活協同組合が都道府県知事の許可を受けて運営する共済制度のこと。暮らしの安心を地域で支え合う仕組みとして、現在、43都道府県で展開されています。
東京都は都民共済、北海道は道民共済、京都・大阪は府民共済、神奈川県は全国共済、その他の県は県民共済と呼ばれています。新聞などで見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。扱う共済は生命共済、火災共済、傷害保障型共済の3種類で、月々の掛金を口座振替で納めていきます。加入手続きは郵送でもインターネットでも可能で、共済金を請求するときも電話のほかインターネットでも手続きが可能です。
どうして掛金が安いの?
都道府県民共済の掛金は、民間の保険に比べて非常に手頃な価格に設定されています。その理由は、共済事業が低コストで運営されているからです。宣伝はインターネットや新聞、折り込み広告が主な方法で、広告宣伝に関わる費用を抑えています。また、営業店舗を持たず、加入したい人が自発的に申し込む仕組みなので、加入者募集にも経費をかけていません。さらに、掛金の納め方は口座振替のみとしていることで、集金にかかるコストも低く抑えられているためです。
都道府県民共済の5つのメリット
都道府県民共済には、大きく5つのメリットがあります。
●都道府県民共済のメリット1:掛金が家計に負担をかけない
都道府県民共済は、掛金が割安なのが特徴です。生命共済の場合、基本の掛金が1,000円から4,000円、特約コースは1,000円から2,400円と非常に手頃な価格で設定されています。そのため、家計に大きな負担をかけません。
●都道府県民共済のメリット2:掛金が上がらない
都道府県民共済の掛金は年齢が上がっても変わりません。加入したときの掛金がずっと一律で、変わらず保障を受けられるのは非常に助かりますね。
●都道府県民共済のメリット3:構成されている保障がシンプル
都道府県民共済の中でも生命共済は、基本は死亡保障と入院保障の2つのみで非常にシンプルです。この2つの保障をバランスよく備えたい、あるいは入院保障を重視したいなどというように、欲しい保障に合わせて加入する型を選ぶことができます。
●都道府県民共済のメリット4:割戻金を受け取れる場合がある
都道府県民共済は非営利団体です。そのため、決算の後、剰余金が発生したときは、加入者に割戻金として還元されます。毎年確実に剰余金が発生するわけではありませんが、加入者へお金が戻ってくる楽しみがあるのはうれしいですね。
●都道府県民共済のメリット5:持病や入院歴などがあっても加入しやすい
保険に加入するときは健康告知が必要です。民間の保険では持病や入院歴がある場合は加入できないことがあります。その点、都道府県民共済は健康告知の基準が比較的緩やかで、医師による診査は不要です。もし持病があったとしても、一部条件付きで加入できる場合もあります。
都道府県民共済の4つのデメリット
メリットの多い都道府県民共済にも、デメリットはあります。ここでは4つ紹介します。
●都道府県民共済4つのデメリット1:死亡保障が少ない
都道府県民共済の死亡保障は、民間の保険に比べると少ないのが特徴です。そのため、一家の大黒柱に万が一のことが起きた場合、残された家族の生活費はもとより、子どもの教育費などをカバーするのには十分ではないかもしれません。場合によっては、他の生命保険との組み合わせを考えてもよいでしょう。
●都道府県民共済4つのデメリット2:保障が一生涯ではない
都道府県民共済では保障期間が85歳までになっているため、一生涯の保障が欲しいと考えている人には向いていません。ただし、掛金が割安なので、貯蓄に回せるお金を捻出できる可能性もあります。85歳以降は貯蓄で賄う方法も検討してみましょう。
●都道府県民共済4つのデメリット3:高齢になると保障額が減る
都道府県民共済では、80歳を過ぎると保障額が減ってしまいます。特に死亡保障は、60歳以降から減額となります。病気や死亡のリスクが増える高齢者の保障が手薄になってしまうのです。
●都道府県民共済4つのデメリット4:加入できない地域がある
都道府県民共済は、43の都道府県で事業を展開しています。しかし、鳥取県、徳島県、高知県、沖縄県の4県では共済事業が行われていないため、県民共済に加入することができません。
どんな人に向いているの?
道府県民共済は、持病がある人や入院歴のある人でも比較的加入しやすくなっています。そのため、民間の保険に加入できなかった人は加入を検討してもよいでしょう。
また、すでに民間の保険に加入している人で、もう少し保障を付け足したいと考えるのであれば、不足する分を補填するのに共済を活用してもよいかもしれません。
さらに、家計にゆとりがなく民間の保険では保険料の負担が心配な場合は、掛金が安い共済なら加入しやすいのではないでしょうか。
その他、子どもの保険を検討している場合、都道府県民共済の利用を検討してもよいかもしれません。なぜなら、都道府県民共済のこども型では、子どもの入院・通院保障、手術、がん診断、先進医療に対応しているほか、第三者への損害賠償も付いているからです。それだけでなく、子どもを扶養する契約者が死亡した場合に共済金を受け取れるので、子どもの保障を考えている場合にはおすすめです。
都道府県民共済では加入者サービスとして、紳士服や婦人服のイージーオーダー、ランドセル販売会、ブライダルサービス、大人用紙おむつの販売、注文住宅の施工なども行っています。お住まいの地域の共済ホームページでチェックしてみてはいかがでしょうか。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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