25/06/29
年収が高くても年金が少ない人の5つの特徴

「自分はかなり稼いでいるはずなのに、もらえる年金が少ない」と嘆く人がいるかもしれません。稼いでいるのにもかかわらず、もらえる年金が少ないのには理由があります。
今回は、年収は高いのに年金が少ない人はどのような人なのか、その特徴を5つご紹介します。
年収が高くても年金が少ない人の特徴①:自営業や個人事業主として働いている
日本の公的年金制度は、1階部分は国民年金(老齢基礎年金)、2階部分は厚生年金(老齢厚生年金)の2階建てになっています。厚生年金に加入する会社員は老齢基礎年金に老齢厚生年金を上乗せして受給できます。
ただし、自営業や個人事業主として働いている人がもらえる年金は老齢基礎年金のみとなります。国民年金に最大40年間加入すると満額の老齢基礎年金をもらえますが、月々の年金額は2025年度の場合で6万9308円です。
このように自営業者や個人事業主は仕事でどんなに稼いでいても、もらえる年金は老齢基礎年金のみなので年金額は少なくなります。安心して老後生活を迎えるためにも、国民年金基金やiDeCoなどに加入して、私的年金を積み立てておいた方がよいでしょう。
年収が高くても年金が少ない人の特徴➁:厚生年金の加入期間が短い
老齢厚生年金は厚生年金の加入期間が反映されるので、厚生年金に長く加入するほど年金額は多くなります。そのため厚生年金の加入期間が短ければ、もらえる年金は少なくなります。
たとえば短期間だけ厚生年金に加入し、その後は個人事業主になって長く働いている人や、長く自営業で働いていた後、短期間だけ会社員になった人は厚生年金の加入期間が短いので、どんなに稼いだとしても年金額は少ないかもしれません。
安心した老後生活を送るためにも、iDeCoなど私的年金制度の活用を考えましょう。また貯蓄、資産運用などで老後資金を準備しておきましょう。
年収が高くても年金が少ない人の特徴③:在職老齢年金の対象になっている
年金は65歳からもらえるので、なかには老齢厚生年金をもらいながら65歳以降も厚生年金に加入して働き続ける人もいるでしょう。ただし、場合によっては在職老齢年金制度の対象になるので注意が必要です。
どんなに年収が高くても、65歳以降も厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給する場合、「年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計」が51万円(2025年度)を超えると、老齢厚生年金の一部もしくは全部が支給停止になります。
65歳以降も厚生年金に加入して働くときは、在職老齢年金に対象になるかどうかを確認しましょう。また、老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象にはならないので、年金額を少しでも増やすために、老齢基礎年金のみを繰り下げ受給してもよいかもしれません。
年収が高くても年金が少ない人の特徴④:繰り上げ受給をしている
通常、年金は65歳からもらえますが、60歳~64歳の間に繰り上げ受給することもできます。ただし、繰り上げ受給をすると、年金額が1ヵ月につき0.4%減額となります。仮に60歳から年金を繰り上げ受給すると、年金額は24%の減額となってしまうのです。
また、一度繰り上げ受給を選択すると取り消しはできず、もらえる年金額は一生涯減額となるので注意が必要です。
どんなに年収が高くても、年金を繰り上げ受給すれば年金額は減額されるので、年金の受け取り方はよく考えて決めましょう。
年収が高くても年金が少ない人の特徴➄:給与が標準報酬月額の上限を超えている
厚生年金は、給与が多ければ保険料も高くなります。そして、納める保険料が高いほど、もらえる老齢厚生年金も多くなります。厚生年金保険料を決めるのは、給与を一定の幅で区分した標準報酬月額です。この標準報酬月額が多いほど保険料は高くなりなすが、その分老齢厚生年金の受給額が多くなる仕組みとなっています。
ただし、毎月の給与が標準報酬月額の上限(65万円)より多くなる場合、標準報酬月額は上限額の65万円に固定されます。そのため年収が高いわりには、もらえる年金額が少なくなるかもしれません。
年金が減額になるパターンを理解しておこう
年収が高いと、もらえる年金も多くなると思われるかもしれません。しかし、働き方によっては老齢基礎年金しかもらえない場合もあり、厚生年金の加入期間が短ければ年金額は少なくなります。また、年金が減額される繰り上げ受給を選択した場合や、65歳以降も厚生年金に加入して働き、在職老齢年金の対象になった場合も年金額は減ります。
まずは公的年金制度の仕組みを知り、年金が減額になるパターンを理解しておきましょう。また、公的年金だけに頼るのではなく、iDeCoや企業年金、国民年金基金などの私的年金制度やNISAなどを活用して、できるだけ早いうちから老後資金を補うことも重要です。
【関連記事もチェック】
・障害年金は「がん」になったときにもらえるのは本当か
・ねんきん定期便(年金定期便)に記載の年金額が突然数十万円増えた理由
・【知らないと大損】ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない4つの年金と確認方法
・ねんきん定期便(年金定期便)「放置」絶対ダメ!届いたらすべきたった1つの行動
・年金収入のみの場合、所得税・住民税がかからないのはいくらまで?

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう