26/03/01
【確定申告】医療費控除で「マイナポータル連携」「医療費のお知らせ利用」は絶対やめた方がいい

所得を減らして税金を安くすることができる所得控除のひとつ「医療費控除」は、確定申告でしか手続きできません。会社で年末調整をしていても、医療費控除のために確定申告するケースは少なくありません。
医療費控除の手続きは近年、とても便利になってきています。しかし、便利だからといって安心していると、思わぬ漏れが発生することも。
今回は、医療費控除の手続きに潜む意外な注意点を紹介します。
医療費控除とは?かんたんにおさらい
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に負担した医療費が一定額を超えるときに、確定申告することで節税できる制度です。
医療費控除の控除額は、次の計算式で求めます。
●医療費控除の控除額
・所得200万円以上の場合
(1年間の医療費の合計額-保険金や公的給付の補てん金額)-10万円
・所得200万円未満の場合
(1年間の医療費の合計額-保険金や公的給付の補てん金額)-所得の5%
※上限200万円
1年間の医療費の合計から、医療保険や健康保険などから受け取ったお金を引いた額が10万円超(所得200万円以上)、所得額の5%超(所得200万円未満)の場合、医療費控除が受けられます。なお医療費は、家族の分も合算可能です。
医療費の「マイナポータル連携」注意点
マイナポータル連携は、マイナンバーカード保有者が利用できる「マイナポータル」から年末調整や確定申告に必要な情報を取得できるサービスです。
医療機関や薬局で支払った医療費の情報(医療費通知情報)もマイナポータル連携の対象です。医療費控除の手続きをするときにマイナポータル連携を利用すれば、医療費情報を自動で入力できます。「代理人」として家族を登録しておけば、家族の医療費の情報も自動で取得できます。そのため、医療費控除の手続きの手間が大きく省けます。
ただ、医療費の情報のマイナポータル連携には注意点があります。
●医療費の情報に含まれない医療費に注意
マイナポータル連携で取得できる医療費の情報は、医療機関や薬局で保険診療を受けて支払った医療費の情報のみです。マイナポータルのサイトによると、以下の費用は医療費の情報の取得対象外になっています。
・ドラッグストアで購入した医薬品
・高額な医療費を医療機関等の窓口で支払い、後日、保険者から支給を受けた場合の高額療養費
・立て替え払いをしたときの療養費(保険資格を確認できずに受診した場合やコルセット等の治療用装具を作成した場合など)
・はり・きゅう、あんま・マッサージ・指圧の施術費用
・整骨院・接骨院で受けたときの柔道整復療養費
・保険適用外の費用(自由診療や差額ベッド代、後発医薬品がある医薬品で一部の先発医薬品の処方等又は調剤を希望した場合に支払う「特別の料金」など)
これらの医療費を支払っている場合、医療費控除の際にその情報も入力しないとその分の医療費控除が受けられなくなり、控除される税金が少なくなってしまいます。ですから、忘れずに申請をしましょう。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合、「データ取得分の医療費」とは別に「追加入力分の医療費」を入力する欄が表示されますので、そこから入力します。
<追加入力分の医療費>

国税庁「確定申告書等作成コーナー」より(株)Money&You作成
●「保険金や公的給付の補てん金額」に注意
医療費控除の控除額の計算式では、1年間の医療費の合計額から「保険金や公的給付の補てん金額」を引いています。加入している保険から保険金を受け取った、公的な社会保険から給付があったという場合には、その金額を差し引く必要があります。
マイナポータル連携で取得した医療費情報には、その金額が含まれていないので、ここは自分で処理する必要があります。
<医療費情報の訂正>

国税庁「確定申告書等作成コーナー」より(株)Money&You作成
取得した医療費情報を確認し、保険金や公的給付の補てん金額がある場合には「訂正」を選択。「生命保険や社会保険などで補てんされる金額」の欄にその金額を記載します。
この欄に入力する金額の上限は、「実際に支払った医療費の額」であることにも注意しましょう。
上図では約2万円(厳密には、1万9641円)の医療費を支払っています。これに対し、加入している保険から「3万円」の保険金が支払われたとします。この場合「生命保険や社会保険などで補てんされる金額」の欄に記載する金額は「1万9641円」でOK。「生命保険や社会保険などで補てんされる金額」は支払った医療費ごとに計算し、他の医療費からは差し引きません。
仮に「3万円」と記載すると、他の医療費から約1万円分の補てん分が引かれてしまい、医療費控除の金額が減ることにつながります。今回の例は約1万円でしたが、「もっと高額の保険金があった」という場合には、医療費控除の金額が大きく減ってしまいますので注意しましょう。
「医療費のお知らせ」も同様に注意
加入している健康保険組合から1月中旬〜下旬にかけて届く「医療費のお知らせ」にも、健康保険を利用して医療機関や薬局で支払った医療費の明細がまとめられています。
医療費のお知らせは一覧で細かく記載されていて医療費控除のときの役に立つのですが、こちらもマイナポータル連携と同様、健康保険利用外の診療やドラッグストアなどでの薬の購入費用などは含まれていないので注意が必要です。
記載されている情報もたとえば「2024年9月から2025年8月まで」などと年をまたいでいるため、2025年分の医療費控除を行うならば2024年分を一覧から除き、2025年8月までは一覧で集計し、2025年9月〜12月分は自分で追加するといった手続きが必要になります。
医療費控除は領収書をもとにした申請が、漏れがなく得!
医療費の情報の手間が省ける「マイナポータル連携」や、医療費の情報をまとめてくれる「医療費のお知らせ」は便利ですが、記載されない情報もあります。これらは自分で追記しなければ医療費控除が受けられません。漏れなく確実に医療費控除で得をしたいならば、やはり1年分の領収書をなくさずに取っておき、それを元に申請するのがいちばん確実です。マイナポータル連携を利用したとしても、領収書は5年間自宅で保管しておく必要があります。そのためにも、領収書をチェックしてみましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャルプランナー(AFP)。住宅ローンアドバイザー。教員免許も保有。趣味はランニング。
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