26/01/31
【絶対確認】ねんきん定期便(年金定期便)を放置した人が辿る悲しい末路

毎年の誕生日に送られてくる「ねんきん定期便」。「来ていたような気がするけど、見ないままどこかにいっちゃった」「数字がたくさんあって、どこを見ればいいのかわからない」などという声がよく聞かれます。
今回は、ねんきん定期便をチェックせず放置した結果起こる不都合なことと、ねんきん定期便が届いたらとるべきたった1つの行動をご紹介いたします。年に1回のことですので、手元に届いている方は今すぐ、ない方は次回届いたときに、ぜひ行動してみるようにしてください。
年金の状況が確認できる「ねんきん定期便」
ねんきん定期便は、これまでの年金加入期間や加入実績に応じた年金額、保険料納付額、最近の月別納付状況などが確認できる書類です。日本年金機構が毎年1回、誕生月に国民年金および厚生年金の加入者に対して、年金加入記録の確認と年金制度について理解を深めてもらうことを目的として送付しています。
<ねんきん定期便の区分と内容>

筆者作成
通常、ねんきん定期便はハガキで届きますが、35歳、45歳、59歳の誕生月には封書のねんきん定期便が届きます。また封書のねんきん定期便には、年金加入記録の確認方法を記載したパンフレットや、年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合に提出する年金加入記録回答票が同封されています。もれや誤りがない場合には、回答する必要はありません。
封書のねんきん定期便は、毎年送られるねんきん定期便の中でも特に重要な通知となるので、必ず手元に保管するようにしましょう。
ねんきん定期便「放置」で起こる3つの悲しい末路
重要なねんきん定期便といっても、複雑な書類を見るのは少し面倒に感じるという方も多いでしょう。とはいえ、放置すると不都合なことが起きる可能性があります。それを防ぐためのねんきん定期便のチェックポイントと対処法を3つ紹介します。
<ねんきん定期便の区分と内容>

筆者作成
●末路(1):住所・氏名の誤りに気づけず、重要通知が届かなくなる
ねんきん定期便が届いたら、宛名の住所氏名が現在の住所氏名と一致しているか、必ず確認するようにしましょう。特に直近で結婚や離婚した場合、変更手続きがなされておらず、ねんきん定期便の記載が以前の名義や旧住所のままになっている場合もあります。誕生月になってもねんきん定期便が届かない場合も同様です。
ねんきん定期便に誤りがあったら、厚生年金に加入している会社員は勤務先の年金担当部署に、国民年金に加入している自営業者は役所や年金事務所の窓口に問い合わせてみましょう。
【住所変更の手続き先】
厚生年金保険に加入している方は勤務先の事業所へ
国民年金に加入している方はお住まいの市区町村役場へ
厚生年金保険・共済組合等に加入している方の配偶者は配偶者の勤務先の事業所へ
●末路(2):未納期間を把握できず将来の年金額が減る
ねんきん定期便の「最近の月別状況です」の部分を開いて未納の有無を確認しましょう。未納の有無は「国民年金(第1号・第3号)納付状況」の部分で確認できます。ここには年金の加入や変更履歴などの記録が記載されていて、会社を辞めて国民年金に切り替わった時期や、専業主婦になって夫の扶養に入った時期などを確認することができます。
国民年金保険料は納付期限から2年を経過すると、支払えなくなってしまいます。保険料を未納のままにしておくと、将来もらえる年金額が減ってしまうだけでなく、万一のときの遺族年金や障害年金を受け取れなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
学生時代や失業中などで保険料を納めることが経済的に難しい場合は、保険料の免除や納付猶予を受けられるので検討してみましょう。免除・猶予期間は「受給資格期間」に算入されますし、免除の場合は一定の範囲で将来の年金額にも反映されます。
●末路(3):記録もれや誤りに気づかず、将来受け取れる年金が減る
ねんきん定期便の「最近の月別状況です」の「厚生年金保険」の部分で、内容に「もれ」や「誤り」がないか確認します。具体的には、記載されている標準報酬月額や標準賞与額の部分を確認して下さい。実際に保険料を支払ったのに記載がなかったり、給与の大きな変動があったのにそのままになっていたりしないかをチェックしましょう。
ねんきん定期便の記載に違いがある場合、一時期勤務していた企業が手続きをちゃんとしておらず、加入がない時期がある、といったケースも考えられます。昔のことになると覚えてないことが多いため、転職などがあった際には、できるだけ忘れずチェックをしましょう。
【年金加入記録にもれや誤りがある場合の対処法】
年金加入記録回答票に必要事項を記入して、同封の返信用封筒で返送するか、お近くの年金事務所に提出して下さい。最寄りの年金事務所は、日本年金機構のホームページで場所を確認することができます。
50歳未満のねんきん定期便では将来もらえる年金額は分からない
ねんきん定期便には、将来の年金額に関する情報も記載されています。ただし、記載されている年金額の内容は、50歳未満・50歳以上で異なります。
●50歳未満の場合
50歳未満の方に送られるねんきん定期便の場合、現時点での保険料の払い込み期間に応じた金額しか記載されていません。年齢が若い20代〜30代の人は年金加入期間が短いため「これまでの加入実績に応じた年金額」の少なさに驚くかもしれません。つまり、50歳未満の場合、今後の加入が全く考慮されていないため、実際の年金額とはかけはなれた金額になってしまうのです。
この場合、記載されている年金額=将来もらえる年金額ではないことに注意しましょう。今後の加入状況によって、実際に受け取れる年金額は変更されます。
<ねんきん定期便(50歳未満・裏面)>

筆者作成
●50歳以上の場合
50歳以降の方に送られるねんきん定期便には、このまま60歳まで払い込みを続けた場合の「老齢年金の種類と見込み額」がハガキのうら面に記載されるようになります。途中で仕事を辞めたり、保険料の払い込みが停止になったりしなければ、ほぼ記載通りの年金をもらえることになるので、これをもとに老後の生活設計を立てることが可能になります。
<ねんきん定期便(50歳以上・裏面)>

筆者作成
ねんきん定期便が届いたらすべきたった1つの行動
そこで、筆者は50歳以下の方に向けては、ねんきん定期便が送られてきたら、たった1つだけアクションを起こすことをおすすめしております。それは、ねんきん定期便が届いたら、アクセスキーを利用して「ねんきんネット」に登録すること、たったこれだけです。
ねんきん定期便はとても重要な書類なのですが、なにしろハガキなので、記載できる情報量に限りがあります。あなたが本当に知りたい情報を補完してくれる強い味方が、ねんきんネットなのです。
<ねんきん定期便(50歳未満・裏面)>

筆者作成
ねんきん定期便に記載されているアクセスキーの有効期限は、作成日から5か月後の月末までです。期限を過ぎても登録は可能ですが、手続きに時間がかかるため、届いたらすぐに登録することをおすすめします。
ねんきんネットは、日本年金機構のウェブサイトからアクセスできます。また、マイナンバーカード取得者が利用できる「マイナポータル」からも利用可能です。
ねんきんネットのメリットは、次のような点にあります。
(1)常に最新の年金情報を閲覧できる
ねんきんネットでは、毎月更新される情報を閲覧できます。ねんきん定期便の1年に1回の郵送を待たずに、最新の各月の年金記録が確認できます。また、ねんきんネットにアクセスすれば、あなたの20歳からのすべての年金記録が確認できます。
<ねんきんネットのイメージ>

日本年金機構のウェブサイトより
(2)いつでもどこでも閲覧できる
ねんきんネットはスマホでも確認可能。IDとパスワードがあれば、簡単にログインできていつでもどこでも閲覧することができます。
(3)将来の年金額を試算できる
今後の働き方や収入の変化に応じて、将来もらえる年金額のシミュレーションが可能です。
<年金見込額の情報>

日本年金機構のウェブサイトより
(4)電子版ねんきん定期便を確認できる
ねんきんネットならば、紙のねんきん定期便を紛失した場合でも大丈夫。ログインすることでいつでも情報を確認できます。なお、ハガキのねんきん定期便の郵送をストップすることもできます(35歳・45歳・59歳の書類のねんきん定期便はストップの有無に関わらず届きます)。
ねんきん定期便のよくある質問Q&A
ねんきん定期便に関してよくある疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1: ねんきん定期便が届かないのですが、どうすればいいですか?
A:以下の点を確認しましょう。
・住所変更の届出が済んでいるか
⇒日本年金機構に登録されている住所が古いままだと、ねんきん定期便は届きません。
・転職・退職の手続きが完了しているか
⇒会社を退職したり、転職したりした際に、厚生年金保険の資格喪失手続きや、国民年金への種別変更手続きが漏れていると、ねんきん定期便が届かなくなる場合があります。
・誕生月のタイミング
⇒1日生まれの方は誕生月の前月に届きます。それ以外の方は誕生月に届きます。
その他、住所が正しいのに届かない場合は、ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル(0570-058-555)に問い合わせましょう。
Q2: ねんきん定期便を紛失してしまいました。再発行できますか?
A:再発行は可能ですが、2〜3か月ほどかかります。
再発行はねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル(0570-058-555)に電話で問い合わせをして手続きを行います。
すぐに内容を確認したい場合は、「ねんきんネット」に登録すれば、電子版のねんきん定期便をいつでも閲覧できます。
Q3: アクセスキーの有効期限が切れてしまいました。ねんきんネットに登録できませんか?
A:アクセスキーの有効期限が切れても、ねんきんネットへの登録は可能です。
ただし、アクセスキーなしで登録する場合、ユーザーIDの発行に5営業日程度かかります。
マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルから連携することで、すぐにねんきんネットを利用できます。
Q4: 年金の受給資格期間を満たしているか確認したいのですが、どこを見ればいいですか?
A:ねんきん定期便の「これまでの加入期間」欄を確認しましょう。
年金の受給資格期間は10年(120か月)以上となっています。
この期間には、保険料を納付した期間だけでなく、免除期間や合算対象期間(カラ期間)も含まれます。受給資格期間を満たしていない場合は、ねんきん定期便の年金見込額欄にアスタリスク(*)が表示されます。
Q5: 共済年金に加入していた期間があるのですが、ねんきん定期便に反映されていますか?
A:反映されています。
2015年10月の一元化以降、共済年金は厚生年金に統合されました。ねんきん定期便には、国民年金、厚生年金保険、共済年金のすべての加入期間が記載されます。
公務員共済や私学共済に加入していたことがある方は、それらの加入者番号もねんきん定期便に記載されています。
Q6: 海外に住んでいますが、ねんきん定期便は届きますか?
A:ねんきん定期便の送付先は原則国内ですが、厚生年金保険に加入している人やその配偶者が居住国を年金事務所に届け出ていて、希望する場合は、申し込みをすることで海外にもねんきん定期便を送ってもらえます。
郵送による到着は3か月程度の期間がかかります。各国の郵便事情などによってはそれ以上にかかる場合もあります。インターネット環境があれば、「ねんきんネット」で電子版の確認も可能です。海外からねんきんネットを利用する場合には、ユーザーIDが必要になりますので、あらかじめ取得しておきましょう。
Q7: ねんきん定期便に記載されている年金額から、税金や社会保険料は引かれますか?
A:引かれます。
ねんきん定期便に記載されている金額は、税金や社会保険料が引かれる前の額面です。
実際の手取り額は、年金が少ない人で約5%、多い人では20%近く差し引かれます。一般的には10%程度と考えておくとよいでしょう。年金から差し引かれるものには「所得税・住民税」「国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)」「介護保険料」があります。
Q8: 繰り下げ受給をした場合の年金額は、どこで確認できますか?
A:ねんきん定期便の「表面」に、受給開始を70歳や75歳に繰り下げた場合の見込額が記載されています。
繰り下げ受給は、老齢基礎年金・老齢厚生年金をそれぞれ異なるタイミングで設定できます。繰り下げた期間に応じて増額率が変わり、最大で84%の増額が可能です(75歳受給開始の場合)。
より詳しいシミュレーションは、ねんきんネットや厚生労働省の「公的年金シミュレーター」で確認できます。公的年金シミュレーターへのアクセスはねんきん定期便からが便利。二次元コードをスマホで読み取り、生年月日を入力するだけで利用できます。
<ねんきん定期便(50歳未満・表面)>

筆者作成
Q9: 60歳以降も働き続けた場合、年金額は増えますか?
A:増えます。
ねんきん定期便の見込額は、60歳以降の加入状況が考慮されていません。60代を迎えても厚生年金保険に加入しながら就労を続ける、もしくは基礎年金を満額もらうために国民年金に任意加入する場合、現時点の見込額を超えて年金収入を増やすことができます。
厚生年金の加入年齢の上限は70歳です。60歳以降も働けば、年金額を増やせます。
Q10: 年金加入記録に誤りがあった場合、どうすればいいですか?
A:年金加入記録に「もれ」や「誤り」を発見した場合は、以下の手順で対応しましょう。
(1)証拠書類を集める給与明細、雇用保険被保険者証、年金手帳など、加入記録を証明できる書類を準備します。
(2)年金加入記録回答票を提出35歳、45歳、59歳に届く封書のねんきん定期便には「年金加入記録回答票」が同封されています。これに記入して返送します。
※年金事務所に相談年金加入記録回答票がない場合や、詳しい相談が必要な場合は、最寄りの年金事務所に相談しましょう。ねんきんネットからも相談予約ができます。
記録の訂正は、証拠書類があれば比較的スムーズに進みます。早めに対応することが重要です。
老後の備えは「現実を知る」ことから
ねんきん定期便が届いたら、アクセスキーを使ってすぐに「ねんきんネット」に登録する!これこそが、ねんきん定期便、放置で起こる悲しい末路を防ぎ、老後の不安を解消するためにとるべき、たった1つのアクションです。
老後の備えは現実を知ることから始まります。自分の年金がいくらもらえるのかを「ねんきんネット」を使って把握することは、現実に即した働き方のシフトチェンジや老後の生活設計にとても役立つはずです。ねんきん定期便が届いたら、ねんきんネットを始めるきっかけと捉えてみるのはいかがでしょうか。
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KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。
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