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26/05/07

相続・税金・年金

結局、個人年金保険は一時金と年金どちらで受け取るのがお得なのか

“結局、個人年金保険は一時金と年金どちらで受け取るのがお得なのか

長年コツコツ積み立ててきた個人年金保険が、いよいよ満期を迎える——そんなタイミングで「一括でもらうのと、毎年少しずつもらうのと、どっちが得なんだろう?」と迷う方はとても多いのではないでしょうか。実は、個人年金保険は受け取り方によって手取り額が変わることがあります。今回は、個人年金保険を一時金と年金で受け取った場合の税金の仕組みを確認しつつ、自分に合った受け取り方の選び方をご紹介します。

個人年金保険を一時金で受け取ると、税金はどうなる?

個人年金保険を一時金(満期保険金や解約返戻金)でまとめて受け取る場合、所得の種類は「一時所得」になります。

一時所得は、次の式で求めます。

一時所得=受取額−払い込んだ保険料の合計−特別控除(最大50万円)

さらに、一時所得は「2分の1」だけが課税対象というルールがあります。つまり、他の収入と合算して税金がかかるのは「一時所得×1/2」の金額だけということになります。

【一時所得の計算例】

受け取った一時金:380万円
払い込んだ保険料の合計:300万円
一時所得=380万円–300万円–50万円(特別控除)=30万円
課税対象=30万円×1/2=15万円

この15万円に対して、所得税・住民税がかかります。もし受け取った一時金から払い込んだ保険料の合計を引いた金額(もうけ)が50万円以下であれば、特別控除の範囲内に収まり税金はかかりません(課税負担なし)。

年金で受け取ると、税金はどうなる?

毎年一定額を受け取る年金形式の場合は、雑所得(公的年金等以外)として課税されます。

雑所得は、次の式で求めます。

雑所得=年金受取額−必要経費(払い込んだ保険料のうち、その年の対応分)

簡単にいうと、「もうけの分だけ」に課税されるイメージです。

【雑所得の計算例】

受け取る年金の総額:400万円(10年間、年40万円)
払い込んだ保険料の合計:300万円
必要経費率:300万円÷400万円=75%
年間の雑所得=40万円−40万円×75%=10万円

必要経費率は、受け取る年金に占める元本(払い込んだ保険料)の割合です。
上記の場合、毎年10万円の雑所得が発生します。給与所得者であれば、年間の雑所得が20万円以下なら確定申告不要となる場合もあり、実際の手続き負担は小さいことが多いです。

結局、どちらがお得なの?

一時金形式でも年金形式でも、もうけが小さければ税負担はほぼゼロになります。上で見たように、一時金だと差益が50万円以下なら特別控除で非課税になりますし、年金だと毎年の雑所得が少額なら負担も少なくなります。個人年金保険のように、積み立て期間が長くて利回りが低めの商品であれば、どちらで受け取っても税金の差はほとんどない、というケースが実は多いのです。

一般的に、年金形式のほうが受け取る総額は増えます。保険会社が原資を運用し続けて、その運用益を上乗せしてくれるからです。10〜15年かけて受け取ると、一時金より数十万円多くなることもあります。ですから、受け取る総額を増やしたいならば年金形式がよいでしょう。

一方、「住宅をリフォームしたい」「子どもに援助をしたい」などと、すぐにお金を使いたいなら一時金形式が向いています。

受け取り方を選ぶ前に考えたい、3つのこと

「じゃあ総額が多い年金形式で決まり!」と言いたいところですが、個人の事情によって話は変わってきます。ぜひ知っておいてほしい、判断のポイントが3つあります。

●(1)住民税非課税世帯になれるかどうか

住民税非課税世帯には、税金の優遇だけでなく、医療費の自己負担上限が下がる「高額療養費の軽減」や、各種給付金の対象になるといった大きなメリットがあります。
年金形式で毎年雑所得が発生すると、合計所得が増えて住民税非課税世帯でなくなってしまうことがあります。この場合は、一時金で受け取れば雑所得がゼロになるため、住民税非課税の条件を維持しやすくなります。税額の差だけ見ていると気づきにくいポイントなので、要注意です。

●(2)公的年金の「繰り下げ受給」と組み合わせるかどうか

老齢年金の受給を66歳以降に遅らせる繰り下げ受給を選ぶと、将来の年金額が増えるのはご存じの方も多いでしょう。その場合、公的年金が始まるまでの「つなぎ期間」に個人年金を受け取ると、生活費の補填として活用できます。
一方、公的年金が始まってから個人年金の年金も重なると、収入が増えて税負担や社会保険料が上がることも。いつ、どんな収入がある時期に受け取るかを意識することが大切です。

●(3)一時金を自分で運用するのもアリ

一時金で受け取ったお金をNISAやiDeCoなどで自分で運用すれば、保険会社の年金利率を上回るリターンを狙える可能性もあります。ただし、元本保証はなく、自分で管理する手間も必要です。「確実に増やしたい・手間をかけたくない」という方には、保険会社が運用してくれる年金形式のほうが安心感があります。

自分にとってどちらが有利か要確認

「税金の損得だけで考えない」——実は、これが個人年金保険の受け取り方を選ぶうえで、いちばん大切な心がけかもしれません。
特に住民税非課税世帯の境界線付近にいる方や、公的年金の繰り下げを検討している方は、どちらが総合的に有利かを試算するのがおすすめです。FP(ファイナンシャルプランナー)に相談すると、自分の状況に合ったシミュレーションをしてもらうこともできます。

※本コラムは2026年4月時点の税制・制度に基づいています。税制は改正されることがあるため、最新情報はご確認ください。また、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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