26/04/28
相続で絶望にならないために「残すべき2つの情報」

親が高齢になってくると相続について考える機会が増えてきます。考え出すといろいろな課題が浮かんできますが、親と離れて暮らしていて相続の話を切り出しにくく、元気だからまだ先のことと後回しにしてしまいがちです。親世代でも家族に迷惑をかけたくないと思うものの、相続準備ができているという人はわずかです。誰にでも必ず訪れる相続。親が亡くなると、悲しむことよりも先に相続手続きに追われることになります。
今回は、子どもたちに迷惑をかけないためにしておきたい財産リストと情報の残し方を確認していきます。
まだ先だとはいえない相続対策
日本では平均寿命が長く、70代でも自立した生活を送っている方はたくさんいらっしゃいます。日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.13歳(令和6年簡易生命表)なのですが、平均寿命と自立して健康的に生活できる健康寿命との間には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。70代ともなれば、健康ではない状態がいつ訪れてもおかしくない時期といえます。
まだ、元気だから相続対策は不要と決め込んでいると、体調不良や意欲減退が進み、考えることすら億劫になり、対策ができなかったというケースもあります。筆者の祖父は、午前中、グランドゴルフの大会に出場した後、いったん自宅に戻りましたが、夜になっても姿が見えません。親族で手分けして探すと、畑仕事をしている最中に亡くなっていました。
相続というと、実際、手間のかかる手続きの連続です。財産の内容が分かっていなければ、財産の持ち主は亡くなっているので、家じゅうの引き出しや本棚、押し入れや箱の中にいたるまで調べて手がかりを探し出さなければなりません。そして、口座や契約の数だけ解約や手続きをしていかなければなりません。ですから、できるだけ面倒な手続きを軽減させるために財産のリストアップと相続のために伝えておきたい情報をまとめておく必要があるのです。ここでは、残すべき情報を大きく2つにわけて紹介します。
残すべき情報1:どんな財産があるか
相続のために必要な事項を記録しておくのは、市販のエンディングノートが便利です。金融機関の情報が多い、不動産の数が多いなど個人的にカスタマイズしたい場合には大学ノートでも構いません。資産内容の更新のために、パソコンで作成しても構いません。情報を一元化しておき、取り出しやすい形にしておくことが目的です。
財産関係で記録しておきたいのは次の事項です。
・金融資産(預貯金の情報・預貯金以外の情報)
・不動産
・保険(生命保険・損害保険)
・年金(公的年金・企業年金・個人年金など)
・その他の財産(自動車・ゴルフ会員権・貴金属・美術品・貸付金など)
・マイナスの財産(借入金・住宅ローン、預り金・保証金など)
●金融資産
金融資産は、取引のある金融機関名、支店名、口座番号、預けている金融資産の種類を記入します。備考欄には口座の用途を書いておきましょう。生活資金として利用している場合には、解約するタイミングによっては引き落としができず、未払いが発生することになります。余計な手間が増え、手続きが煩雑にならないように引き落としが終わってから解約します。ネット銀行、ネット証券では、口座のID、パスワードも忘れないようにしましょう。証券会社などの情報では、最新の取引報告書もファイリングしておきましょう。
●不動産
不動産の情報は、毎年送付される納税通知書を参考にします。ただし、不動産が基準点以下の場合、固定資産税が課税されないので、納税通知書に不動産のすべてが書かれているわけではないことに注意が必要です。登記全部事項証明書を取得し、見ながら書くのがベターです。不動産の種類、所在、地番、所有者、持分、面積、取得時期などを記入します。不動産を購入したときの領収書、契約書、工事見積書などの不動産関連の書類は保管しておきます。未登記が見つかった場合の手続きや売却をする場合に取得価格の証明が必要になった時に必要です。
●保険
保険の情報は、生命保険から損害保険まですべて記入します。加入していた保険の存在を知らず、請求しなかったケースは少なくありません。保険証券のコピーとともに年に一度送られてくる「契約内容のお知らせ」をファイリングしておきましょう。
生命保険では、保険の種類、保険会社、証券番号、契約者、被保険者、保険期間、満期日、受取人などを記入します。特に保険金受取人の変更ができているかはチェックしておきます。保障の内容の入院や死亡時にいくらもらえるかの情報も忘れずに。損害保険は、毎年更新する契約もあるので、証書のコピーで対応してもよいでしょう。
●年金
年金の情報は、老後の生活の大事な柱です。年金手帳の基礎年金番号、年金証書番号を記入します。公的年金の他、企業年金、iDeCo(イデコ)、小規模企業共済、個人年金など、請求漏れがないように加入しているものはすべて記入します。年金受給者が亡くなった後、未支給年金があった場合には、遺族が手続きをします。
●マイナスの財産
財産はプラスの財産だけではなく、借入金、ローンなどのマイナスの財産も記入します。住宅ローンで団体信用生命保険(団信)に加入しているときは、その旨を記入しておきます。マイナスの財産はプラスの財産にくらべると相続人が知らない契約があります。分かりにくいからこそ、きちんと整理して記入しておく必要があります。
残すべき情報2:お金に紐づく情報
年を重ねるといつの間にか身の回りのモノが増えてしまいます。契約していたサービスや、電子マネーやポイント、サブスク、習いごと、デジタル情報などをさまざまなものがあると思います。
クレジットカードは、カード会社、カード番号、連絡先、決済口座、引落日、年会費等を記入しておきます。カードで引き落としになっている公共料金などがあれば記入します。
電子マネーやポイント、マイルなどはIDやパスワードも控えておきます。サブスクや定期購入、会費などの毎月の代金が発生するものは、できるだけ早く解約したいものです。また、貸金庫やトランクルームは、契約先や連絡先、鍵の保管場所についても記入しておきます。
近年、パソコンや携帯電話、SNSといったデジタル情報、インターネット関連の契約は、ペーパーレスのものも多く、契約情報を探し出すのは困難です。パソコンや携帯電話のロックを解除するパスコードが分からず困ったという話も耳にします。メールアドレス、ログイン情報、ID、パスワードなども漏れなく記入しておきます。また、ブログやSNSなどは閉鎖処理が必要になります。追悼コメントをどうしてほしいか希望があれば記入しておきます。
記入が完成したら定期的な見直しを
相続に必要な情報をまとめたから終わりではありません。親族が増えたり、減ったりすることもあるでしょうし、資産の種類や残高は変動することが予想されます。何しろ相続はいつになるか分かりません。税制や法律が変わることもあるので、1年に1度定期的に見直しをしましょう。
見直しのときに、以前作ったものに追加や変更、削除があれば更新します。財産や情報の項目ごとに記入日を設けておくと、更新がいつなのか分かりやすくなります。
相続の手続きは大変です。一生に一度のことだからこそ、相続のための財産リストや伝えておきたい情報をまとめておけば、ムダな労力をかけずに相続の手続きができます。せっかく相続のための情報をまとめたのですから、家族の1人には保管場所とノートの存在を伝えておくことを忘れないでください。
【関連記事もチェック】
・ゆうちょ銀行だけに存在するデメリット・注意点
・【知らないと大損】ゴールド免許にある意外な7つの特典
・ゆうちょ銀行を「年金受取口座」に指定した場合のメリット・特典
・お金のない人ほど頻繁にする「貧乏を招く5つの行動」
・税務署が教えない「公的年金等控除」の最大活用法
池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
























