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26/06/10

相続・税金・年金

国民年金「10年分だけ」支払った人は年金いくらもらえる?少ない?

“国民年金「10年分だけ」支払った人は年金いくらもらえる?少ない?

国民年金は本来40年間保険料を払うことで満額の年金を受け取れる仕組みですが、収入や働き方などの事情から「10年しか払っていない」という人もいます。国民年金保険料を10年払っていれば年金を受け取る条件は満たしますが、受給額はかなり少なくなってしまいます。
今回は、国民年金を「10年だけ払った人」の年金額の目安や、年金を増やす方法について解説します。

「10年だけ払った人」の年金はいくら?

国民年金には20歳から60歳までの40年(480か月)加入し、保険料を払う必要があります。40年間の保険料を全額払った人は、老齢基礎年金の満額受給が可能です。1956年(昭和31年)4月2日以降生まれの人の2026年度(令和8年度)の満額は84万7300円(月額7万608円)です。

以下、2026年度の年金額を基準に、保険料を「10年だけ払った人」の年金額について説明します。

●保険料を10年払った人の年金額は?

老齢基礎年金を受給するためには、国民年金保険料の納付期間が10年以上必要です。言い替えると、10年保険料を払っていれば年金はもらえるということです。ただし、年金額は保険料を払った期間に比例して変わるため、10年しか年金を払っていない人は、40年払った人の年金額の4分の1となります。

「10年だけ払った人」の年金額は満額の4分の1である21万1825円(月額1万7652円)です。満額でも決して多いとは言えませんが、4分の1となると月1万円台となり、かなり心細い金額となってしまいます。

「10年だけ払った人」でも年金がもっと多いケースもある

上で説明した「10年だけ払った人」は、残り30年間の国民年金保険料が未納扱いの人です。次のような人は、もう少し年金が多くなります。

●会社勤めした期間がある人

会社等に勤めていて厚生年金に加入していた期間がある人には、老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金も支給されます。厚生年金加入期間は、国民年金保険料の納付期間にもカウントされるため、老齢基礎年金も増えます。自分で国民年金保険料を払った期間は10年しかなくても、それとは別に厚生年金加入期間があれば、年金はもっと多くなります。

●全額免除・一部免除の承認を受けた期間がある人

国民年金保険料の免除申請をし、全額免除や一部免除の承認を受けた期間がある人です。全額免除・一部免除の承認を受けた期間については、納付期間にカウントされ、次のとおり年金額の一部が支給されます。

【国民年金保険料の免除の種類と年金受給額の割合】

筆者作成

「10年だけ払った人」が繰り上げ受給・繰り下げ受給をしたらどうなる?

年金受給開始は原則として65歳からです。ただし、60歳以上65歳未満でもらい始める繰り上げ受給や、66歳以降でもらい始める繰り下げ受給も可能です。繰り上げ受給を選択した場合には年金額が減り、繰り下げ受給を選択した場合には年金額が増える仕組みになっています。
「10年だけ払った人」の年金額が、繰り上げや繰り下げによりどう変わるかをみてみましょう。

●繰り上げ受給の場合

1962年(昭和37年)4月2日以降生まれの人の場合、1か月繰り上げるごとに0.4%年金額が減額します。60歳から64歳で受給開始した場合、「10年だけ払った人」の年金額は次のとおりです。

【10年だけ払った人の年金額(繰り上げ受給)】

筆者作成

「10年だけ払った人」が繰り上げ受給を選択した場合、1年繰り上げるごとに1万168円年金が減ります。60歳まで繰り上げた場合の年金額は16万987円(月額1万3416円)となります。ただでさえ少ない年金が、さらに少なくなってしまうことがわかります。

●繰り下げ受給の場合

1941年(昭和16年)4月2日以降生まれの人の場合、65歳に達した月から1か月繰り下げるごとに0.7%年金額が増額します。70歳まで繰り下げた場合には42.0%の増額です。
なお、1952年(昭和27年)4月2日以降生まれの人は75歳までの繰り下げが可能です。75歳まで繰り下げた場合の増額率は84.0%となります。
「10年だけ払った人」が繰り下げ受給を選択した場合の年金額の変化をみてみましょう。

【10年だけ払った人の年金額(繰り下げ受給)】

筆者作成

「10年だけ払った人」の場合、1年繰り下げるごとに1万7794円年金額が増えます。とはいえ、75歳まで最大限の繰り下げをしても、年金額は月3万2000円程度にしかなりません。
繰り下げ受給で年金額を少し増やせることは確かですが、老後資金はまだまだ不足するでしょう。

老後の生活費はどれくらい必要?

老後資金の準備について考えるにあたって、まずは老後の生活費がどれくらいかかるかを知っておく必要があります。

2025年度の総務省「家計調査(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の1ヶ月あたりの支出(消費支出・非消費支出)の平均は29万6829円、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月あたりの支出(消費支出・非消費支出)の平均は16万1435円となっています。

一方、国民年金保険料を40年分全額払っている人でも、老齢基礎年金は月額約7万円です。厚生年金のある会社員でも、老齢厚生年金を含めた平均年金月額は約15万円程度となっており、年金だけでは生活費が不足するケースは少なくありません。

賃貸住宅に住んでいる場合には、家賃の負担でもっと生活費がかかることも考えられます。高齢になるほど医療費や介護費も増える傾向があります。物価上昇の影響で、食費や光熱費など日常生活にかかるお金も以前より増えています。

国民年金保険料を10年しか払っていない人の場合、受け取れる年金額は月1万円台となるため、かなり厳しい状況になってしまいます。老後に困らないためには、少しでも年金を増やす工夫をすることが欠かせません。さらに、貯蓄や資産形成なども含め、不足する老後資金をどう準備するか考えておくことが大切です。

「10年だけ払った人」も年金を増やす方法はある!

60歳になった時点で年金を払った期間が10年しかない場合、繰り下げ受給をすれば年金を増やせます。年金を増やす方法はそれだけではありません。「10年だけ払った人」は、以下のような方法で年金を増やせないか考えてみましょう。

●年金を増やす方法1:納付・追納する

国民年金保険料は、本来の納付期限から2年以内なら納付が可能です。免除や納付猶予の承認を受けている期間については、10年以内の追納が可能です。払える保険料が残っていれば、払ってしまいましょう。
1か月保険料を納めた場合、

84万7300円×1/480(か月)≒1765

となり、約1765円年金額を増やせます。

●年金を増やす方法2:60歳以降も国民年金に任意加入する

国民年金に加入して保険料を納付できる期間は、原則60歳までです。しかし、国民年金保険料の納付月数が480か月未満の人は、60歳から65歳の間も国民年金に「任意加入」して保険料を払うことができます。
60歳から65歳までの5年間国民年金に任意加入した場合、

84万7300円×5/40(年)=10万5912円

となり、約10万6000円年金額を増やせます。

国民年金の任意加入は、申し出た月からになります。遡って保険料を払うことはできないため、60歳になったらすぐに申し込むのがおすすめです。なお、厚生年金に加入している人は、国民年金の任意加入制度は利用できません。

●年金を増やす方法3:付加年金に入る

付加年金とは、国民年金保険料に400円プラスして納付することにより、老齢基礎年金を増やせる制度です。付加年金に入ると、「200円×付加保険料納付月数」の年金を上乗せできます。

60歳以降国民年金に任意加入している期間中も、付加年金に入れます。60歳から65歳までの5年付加年金に入ると、1万2000円年金額が増えます。

●年金を増やす方法4:国民年金基金に加入する

国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者(自営業者、フリーランス等)を対象とした年金制度です。60歳以降国民年金に任意加入している人も、国民年金基金に加入して上乗せする年金を用意できます。

国民年金基金は口数単位で加入しますが、1口目は65歳から生涯受け取れる終身年金です。受け取れる年金額は、自分が選んだプランや掛金によって変わります。
なお、国民年金基金と付加年金の同時加入はできないので、どちらかを選ぶ必要があります。

●年金を増やす方法5:働いて厚生年金に加入する

厚生年金には70歳まで加入できます。60歳以降も会社などで働く場合、条件を満たせば厚生年金に加入でき、保険料を払った分だけ将来の年金額を増やせます。

現在は、高年齢者雇用安定法により、企業には希望する従業員を65歳まで雇用する措置が義務付けられています。定年後も「再雇用」や「勤務延長」といった形で働き続けている人は少なくありません。

さらに、2021年4月からは、70歳までの就業機会確保も企業の努力義務となりました。70歳まで働ける制度の導入や、業務委託契約・社会貢献活動への参加支援など、働き続ける選択肢は広がっています。

60歳以降も厚生年金に加入して働けば、収入を得ながら年金額を増やせる可能性があります。特に、国民年金保険料を10年しか払っていない人にとっては、老後資金不足への対策として重要な方法の一つになるでしょう。

●年金を増やす方法6:iDeCoに加入する

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金とは別に、自分で老後資金を準備するための制度です。毎月一定額を積み立て、自分で選んだ商品で運用しながら、将来受け取るお金を増やしていきます。

積み立てた資産は、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取れます。国民年金保険料を10年しか払っていない人のように、公的年金だけでは老後資金が不足しそうな場合には、有力な備えの一つになるでしょう。

iDeCoは、20歳以上65歳未満の国民年金被保険者であれば利用できます。掛金が全額所得控除になるため、所得税や住民税を軽減できる点も大きなメリットです。また、運用益も非課税になるため、長期的な資産形成に向いています。

国民年金の加入期間が10年に満たない場合には?

老後の年金を受け取るには、年金に加入していた期間(受給資格期間)が少なくとも10年必要です。自営業者などでずっと国民年金保険料を払っていなかった人は、60歳が近づいたとき「今から保険料を払ってもどうせ年金はもらえない」と考えるかもしれません。しかし、あきらめなくても年金をもらえる可能性はあります。

公的年金は一生涯受け取れるので、多少なりとも年金がもらえれば心強いはずです。年金をもらえるようにするためには以下のような方法があります。とれる方法がないか考えてみましょう。

●60歳以降も国民年金に任意加入する

年金を受け取るための受給資格期間が足りない場合、60歳から65歳までの間は国民年金の任意加入ができます。60歳から65歳の間も国民年金に任意加入し、受給資格期間が10年に達すると、65歳から年金を受給できます。

●65歳以降も特例任意加入ができる

65歳まで国民年金に任意加入しても、受給資格期間が10年に達しない人もいるでしょう。その場合には、65歳以降も「特例任意加入」という方法で国民年金に加入できます。特例任意加入とは、65歳になっても受給資格期間が足りずに年金受給資格がない人が、任意で国民年金に加入できる制度です。

なお、特例任意加入は受給資格を得るための制度なので、65歳時点で受給資格期間が10年未満の人のみ利用できます。既に10年の受給資格期間がある人が年金を満額に近づけたい場合、特例任意加入することはできません。また、特例任意加入ができるのは、厚生年金に加入していない人です。

●「カラ期間」により10年の要件が満たせる可能性も

実は、公的年金には、年金保険料を納めていなくても、受給資格期間としてカウントできる合算対象期間(カラ期間)があります。年金制度はこれまでに何度も改正されています。カラ期間とは、年金制度の改正により一部の人たちが無年金になることを防ぐために設けられているものです。カラ期間がある人は、国民年金保険料を払った期間が10年未満であっても、年金がもらえる可能性があります。

たとえば、1991年3月までは、20歳になっていても学生であれば国民年金への加入は任意でした。制度改正により、1991年4月以降は学生も国民年金へ加入しなければならなくなった経緯があります。そして、制度改正前後でバランスをとるために、1991年3月以前に学生だった期間がある人については、その期間をカラ期間として受給資格期間に含められる扱いになっているのです。

1991年3月以前に大学生だった人の中には、敢えて国民年金に加入していなかった人も多いのではないでしょうか?その場合、カラ期間として、20歳から大学卒業までの期間を受給資格期間に含められます。なお、カラ期間は年金額に反映されるわけではなく、受給資格期間の判定の際に考慮されるものです。カラ期間の分年金が増えるわけではありません。

カラ期間がある場合、合算対象期間として「ねんきん定期便」に表示されていることが多くなっています。思い当たるカラ期間が表示されていない場合には、すぐに年金事務所に相談するようにしましょう。

「10年しか払っていないから遅い」とあきらめないことが大切

国民年金保険料を10年しか払っていない場合、受け取れる老齢基礎年金は月1万円台となり、老後の生活費を年金だけでまかなうのは難しいケースが多くなります。

しかし、年金は一生涯受け取れるものであり、少額でも老後の生活を支える大切な収入になります。また、60歳以降の任意加入や厚生年金への加入、付加年金、iDeCoなど、老後資金を増やす方法はさまざまあります。

「今さら対策しても意味がない」と考えてしまう人もいますが、老後資金づくりは始める時期が遅くても、何もしないよりは大きな違いになります。まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分の加入状況や将来の年金額を確認し、今後どのような対策ができるか考えてみることが大切です。

森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー

Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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