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26/06/24

相続・税金・年金

「64歳11ヶ月」ではなく、65歳以降に退職したほうがお得な事例

“「64歳11ヶ月」ではなく、あえて「65歳以降」に退職したほうがお得なケース

65歳を待たずに「64歳11ヶ月」で退職したほうが失業給付が増えてお得と言われることがあります。しかし、退職金や税金との兼ね合いでは「65歳以降」まで働いたほうが得するケースもあります。
今回は、「65歳以降」の退職がお得なケースを紹介しますので、退職時期を決める際の参考にしてください。

なぜ「64歳11ヶ月」の退職がお得と言われるのか

高年齢者雇用安定法により、今は希望者全員が65歳まで勤務を続けられます。定年を65歳まで延長する企業も増えました。年金受給が開始する65歳までは会社で働き続けたいと考える人も多いでしょう。

ところで、雇用保険の給付との兼ね合いで、「退職するなら65歳になる直前のほうが得」と言われることがあります。

65歳未満で退職した場合、一定の条件を満たせば「失業給付」(雇用保険の基本手当)を受給できます。失業給付は雇用保険の加入期間や退職理由などによって受給日数が異なりますが、90日~150日受給できるケースが一般的です。

一方、65歳以降に退職した場合は失業給付の対象外となり、「高年齢求職者給付金」を受給することになります。高年齢求職者給付金は、雇用保険の加入期間が1年以上あれば50日分、1年未満なら30日分が一時金として支給されます。

同じ賃金水準で比較した場合、失業給付を90日以上受給できる「64歳11ヶ月」の退職のほうが、50日分の高年齢求職者給付金を受け取る「65歳以降」の退職よりも受給額が多くなります。そのため、65歳になる前に退職したほうが有利とされているのです。

ただし、退職時期を決める際に考慮すべきなのは失業給付だけではありません。退職金や税金などを含めて考えると、あえて「65歳以降」まで働いたほうが得になるケースもあります。

「64歳11ヶ月」の退職では退職金が減額されることがある

会社を退職する際には、退職金をもらうケースが多いでしょう。「64歳11ヶ月」と「65歳以降」では、退職金の額に差が出ることがあります。

勤務先によっては、定年まで勤めることを前提に退職金制度が設計されています。65歳定年の場合、「64歳11ヶ月」で退職すると退職金が減額されることがあります。

失業給付の増加分よりも退職金の減少分の方が大きければ、「65歳以降」に退職した方が有利になります。

「64歳11ヶ月」の退職では税負担が増えることがある

退職金には税金がかかりますが、「退職所得控除」が受けられます。64歳11ヶ月で退職するよりも、65歳以降で退職した方が、退職所得控除の額が大きくなる可能性があります。

退職所得控除額は勤続年数によって決まり、勤続年数に1年未満の端数がある場合は1年に切り上げます。退職金の額が同じでも、退職時期が少しずれることで税金が変わり、手取りに差が出ることがあるのです。

退職所得控除額の計算方法は、次の表のとおりです。

<退職所得控除の計算方法>

筆者作成

たとえば、勤続年数が42年ちょうどの人の場合、退職所得控除額は、

800万円+70万円×(42年-20年)=2340万円

です。

もし退職日を1ヶ月延ばして勤続年数が42年1ヶ月となれば、1年未満の端数は切り上げるため、勤続年数43年として計算します。この場合の退職所得控除額は、

800万円+70万円×(43年-20年)=2410万円

となり、控除額が70万円増えます。

仮に退職金の額を2400万円とすると、65歳以降の退職なら退職所得控除の範囲内なので税金はかかりませんが、64歳で退職した場合には税金がかかることになります。

「65歳以降」ならハローワークの手続きの手間を減らせる

高年齢求職者給付金は、一時金として支給されます。そのため、基本手当のように定期的な失業認定を受ける必要がありません。

退職後すぐに再就職する予定がない人や、何度もハローワークに通う手間を省きたい人にとっては、手続きが比較的シンプルな高年齢求職者給付金のほうが利用しやすいでしょう。

退職時期は失業給付だけで決めないことが大切

「64歳11ヶ月」の退職は、失業給付だけを見れば有利ですが、それがすべての人にとって最適とは限りません。特に、退職金が減額される人や、退職所得控除が増えるタイミングに当たる人は、退職時期を少し調整するだけで手取り額が大きく変わる可能性があります。
退職時期を決める際は、「失業給付がいくらもらえるか」だけでなく、退職金や税負担まで含めて判断することが大切です。

森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー

Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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