26/05/12
【知らないと損】65歳以上の家族を扶養に入れた場合、介護保険料は払わなくてもいいのか

40歳以上になると加入する介護保険。親や配偶者を扶養に入れている場合、「介護保険料は払わなくていいのでは?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、介護保険には健康保険のような扶養の仕組みがなく、負担の考え方も異なります。さらに近年は、保険料の上昇や自己負担割合の見直しも進んでおり、将来の負担は変わりつつあります。
本記事では、制度の基本とあわせて、押さえておきたいポイントを解説します。
介護保険の仕組みはどうなっている?
介護保険(公的介護保険)とは社会保険の一つで、要介護・要支援状態になった人が介護サービスを受ける際に給付が受けられるというものです。介護保険の適用を受けることにより、利用者は原則1割の自己負担で介護サービスを受けられます。
介護保険の被保険者となるのは40歳以上の人です。なお、介護保険では年齢によって次のように被保険者の種類が分かれます。
第1号被保険者…65歳以上
第2号被保険者…40歳以上64歳以下
第1号被保険者と第2号被保険者では、以下のとおり、給付の対象や介護保険料の納付方法に違いがあります。
●給付の対象
第1号被保険者は、原因に関係なく要支援・要介護状態になった場合に給付対象となります。第2号被保険者については、末期がんや関節リウマチ等の加齢に起因する疾病(特定疾病)により要支援・要介護状態になった場合のみが給付対象です。
●介護保険料の納付方法
第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は市町村に納めることになっており、原則として公的年金から「特別徴収」として天引きされます。年金をもらっていない人などは、納付書や口座振替で納める「普通徴収」となります。
第2号被保険者(40歳~64歳)の介護保険料は加入している公的医療保険(健康保険組合、全国健康保険協会、市町村国保など)に納めることになっており、公的医療保険料と合わせて徴収されます。
家族に扶養されている人の介護保険料はどうなる?
健康保険には被扶養者の制度があり、扶養されている家族は健康保険料を負担しなくても保険給付が受けられます。一方、介護保険には被扶養者の制度はありません。健康保険で被扶養者となっている人も、40歳以上になると介護保険の被保険者となり、原則として介護保険料が発生します。
介護保険料の徴収方法や実際の負担については、扶養している人及び扶養されている人の年齢や状況によって変わります。以下、夫が妻を扶養している家庭を例に解説します。
●1. 妻が65歳以上の場合
この場合、妻は第1号被保険者です。妻の介護保険料は、妻自身の年金から徴収されます。妻が夫の健康保険の被扶養者であっても、夫の給料から妻の介護保険料が徴収されるわけではありません。
●2. 妻が40歳以上64歳以下の場合
この場合、妻は第2号被保険者です。第2号被保険者の介護保険料は加入している健康保険が徴収します。ただし、夫の年齢によって次のような違いが出てきます。
(ア)夫が40歳未満
40歳未満の夫は介護保険の被保険者ではないので、夫自身の介護保険料は発生しません。そして、夫自身の介護保険料が発生しない場合には、第2号被保険者である妻の介護保険料も払わなくてよいことになっています。この場合、妻の介護保険料は、夫の加入している健康保険の被保険者が全員で負担することになります。
(イ)夫が40歳以上64歳以下
この場合、夫は第2号被保険者であるため、自らの介護保険料を給料から徴収されます。なお、第2号被保険者である妻の介護保険料は夫から徴収する介護保険料に織り込まれているため、直接徴収されることはありません。
(ウ)夫が65歳以上
夫は第1号被保険者であるため、夫の介護保険料は年金から徴収されます。夫が会社に勤めていて健康保険に加入していても、健康保険が夫の介護保険料を徴収することはありません。この場合には、第2号被保険者である妻の介護保険料も徴収されないことになっています。
扶養家族の介護保険料を徴収される「特定被保険者制度」とは?
扶養している側は介護保険第2号被保険者ではないけれど、扶養されている側が介護保険第2号被保険者という場合があります。上の(ア)(ウ)のケースです。
健康保険組合によっては、(ア)(ウ)のケースの夫のような「第2号被保険者を扶養する39歳以下または65歳以上の人」を「特定被保険者」とし、被扶養者分の介護保険料を徴収しています。被扶養者分の介護保険料を徴収しなければ、他の組合員の負担が増え、公平性を欠いてしまうからです。
特定被保険者制度を設けているのは一部の健康保険組合で、全国健康保険協会(協会けんぽ)には特定被保険者制度はありません。該当する人は、加入先の制度を確認しておくことが重要です。
介護保険料の負担はどれくらい?
40歳以上になると介護保険の被保険者となり、介護保険料の負担が発生します。介護保険には被扶養者の制度はないため、家族に扶養されている人も介護保険料を負担しなければならない場合があります。では、介護保険料の金額はどのようにして決まるのでしょうか。
第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、市町村が条例で定める基準額に、所得に応じた段階別の乗率をかけて算出します。基準額は制度が始まった2000年には全国平均で月額2911円でしたが、その後右肩上がりで上昇を続けています。2024年~2026年の全国平均は月額6225円となっており、制度開始時の約2倍となっています。
第2号被保険者(40歳~64歳)の介護保険料は、加入している公的医療保険が定める保険料率にもとづき計算します。会社員の場合には、標準報酬月額(給与の平均月額)に介護保険料率をかけて算出した介護保険料を、事業主と折半することになります。
2026年度の協会けんぽの介護保険料率は1.62%です。2025年度は1.59%であったため、0.03ポイントの引き上げとなっています。ちなみに、第2号被保険者の介護保険料の平均月額(事業主負担分、公費分を含む)は2000年には2075円でしたが、2026年度は月額6360円(見込額)です。制度開始時と比べて約3倍になっていることがわかります。
高齢化の進展により介護サービスを必要とする人は増え続けており、それに伴って介護保険料も上昇しています。特に、現役世代の負担が重くなっており、今後もこの傾向が続く可能性があります。
介護サービスの利用者負担割合も見直されるかも
公的介護保険では、要介護(要支援)認定を受けた利用者は、原則1割の自己負担で介護サービスが受けられます。65歳以上で一定の所得がある人については、自己負担割合が2割または3割となります。この自己負担割合についても見直しの議論が進んでおり、今後2割負担となる対象者の範囲が拡大される可能性があります。
現在65歳以上で2割負担となるのは、単身世帯で年収280万円以上(夫婦世帯で346万円以上)が目安とされています。この基準について、単身世帯で230万円~260万円程度(夫婦世帯で296万円~326万円程度)に引き下げる案が検討されています。
これまで1割負担だった人が2割負担になると、月々数千円から数万円の負担増となり、家計への影響は小さくありません。老後資金の準備について考えるときには、こうした負担増加も想定しておく必要があります。
介護保険の仕組みや保険料について理解しておこう
介護保険には扶養の仕組みがありません。家族を扶養に入れた場合には、家族の分の介護保険料を徴収されることがあります。扶養する家族の介護保険料が徴収されるかどうかは、自分や家族の年齢、加入している健康保険によって扱いが異なることを知っておきましょう。
介護保険は高齢化の進展に伴い、保険料の上昇や自己負担割合の見直しが続いています。今後はこれまで以上に負担が増える可能性があるため、最新情報に注意しておきましょう。
扶養の仕組みだけでなく、将来の負担水準まで見据えて制度を理解しておくことで、家計への影響にも備えやすくなります。配偶者や親を扶養に入れる際には、目先の負担だけでなく、長期的な視点で確認しておくことが安心につながります。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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