26/05/10
定年後貧乏にまっしぐら…やってはいけない5つ

定年後は、自由な時間を楽しめる第二の人生のスタートです。しかし、退職して収入が減少しはじめる現実もあります。人生のフェーズは「資産の取り崩し期」に突入。気の緩みが思わぬ落とし穴になることもあります。
もしかしたら、「お疲れさま、自分」と気が緩んだその瞬間から、老後破綻の道が始まるかもしれません。
せっかくの老後を「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、やってはいけない5つの落とし穴をご紹介します。
定年後が貧しくなる5つのこと(1):老後の不足額を把握していない
筆者はこれまでの職務経験から、老後のお金の不安は、年金だけでは生活が成り立たない、という思い込みに紐付いている場合が多いと実感しています。そういった場合、筆者は実際に家計の状況を整理して、年金額と照らし合わせる作業を相談に来られるお客様と一緒にさせていただきます。そうすると「意外と年金でカバーできる範囲は広い」と安心される方は、とても多くいらっしゃるのです。
確かに、年金だけでは生活費が不足するという方は多いでしょう。しかし、不足額が明確になれば、後は今自分が持っているものをいかに活かしていくか、という方向性に思考の軸足を変えることができます。年金を安心材料に変えることができるのです。
物価上昇や健康寿命など、先のことを考えれば不確実なことが多いことは事実ですが、ご自身の土台さえ固めることができれば、不安の感じ方は変わってきます。
不足額の計算が難しければ、まずはこれから必要な支出項目を整理するだけでも大きな第一歩です。自分たちの生活のために必要なお金を整理し、年金額と照らしあわせて自分たちの暮らしの外枠をイメージしてみてください。
定年後が貧しくなる5つのこと(2):「これまで頑張ってきた自分にごほうび」と散財してしまう
定年後は、自由な時間が増えます。自分に長年働いてきたご褒美をあげたくなるお気持ち、とてもよくわかります。定年退職をしたら、やりたいこととして、海外への長期旅行や大きなお買い物をあげている方もいらっしゃることと思います。
ただ、定年後に年金生活となれば、これまでより収入が減る方は多く、資産取り崩しのステージに入ります。今持たれている資産は、これから先の貴重な資金です。特に男性を中心に「自分は長生きしないから」とおっしゃる方は多いですが、そうであればなおさら万が一は近いと言えます。万が一の時に、ご自身やご家族の尊厳を守れる資金を確認し、ご褒美を考えましょう。
ご褒美にお金を使ってはいけないわけではありません。重要なのは、本当にご褒美になる使い方をすることです。
定年後が貧しくなる5つのこと(3):いきなり「投資デビュー」する
昨今はNISAやiDeCoなど、投資熱が高まってきており、定年退職後に投資デビューを考える方は少なくないようです。ただ、これまで投資経験がないのに退職後にいきなり投資デビューするのは危険です。
「生活のために」とちょっとした実益を兼ねた趣味のような感覚で投資をされる方も少なくないのですが、投資にはリスクがあります。時間をかけて利益を得ていくものですから、投資にあてたお金はもれなく、「しばらくの間自由に使えないお金」になります。使えない期間は、少なくとも5年10年と見ておくことがセオリーです。
このお金を使えない間、生活費に困ることはないでしょうか?生活に必要なお金は案外多岐にわたります。入院の備えや家の修繕費、テレビやエアコンの買替え費用、自動車の修理費用など。必要なものはありませんか?
おトクなNISAもあくまで制度です。利益を出せる投資ができればメリットがありますが、利益を出せなければ経済的なメリットはありません。
「銀行で勧められたから」「みんなやってるから」となんとなく始める前に、これから必要なお金を整理しながら、本当に投資にあてることが適切なのか、確認してみてください。
定年後が貧しくなる5つのこと(4):退職金を住宅ローンの一括返済で使い切る
住宅ローンが残っている場合、「退職金で一括返済しよう」と考える方も多いでしょう。たしかに、毎月のローン返済から解放されると、きっと気持ちが楽になるのでしょう。
しかし、生活が楽になるかどうかは別問題です。退職金は本来、会社から支給される後払いの給与であり、老後のための資金です。もし老後の生活資金が不足しているのに、すべてを返済に充ててしまうと、八方塞がりになってしまう恐れがあります。
まずは、これから必要なお金を確認することから始めましょう。もし不足する場合は、一括返済にあてるのではなく、引き続き働くことを優先しましょう。
高い目標を掲げる必要はありません。例えば月10万円の住宅ローン返済が残っているのなら、まずは月10万円安定して稼げることを目標に、仕事を探してみましょう。
人生設計によっては、退職金をその他の資金としたほうが有利になるケースもあります。例えば、住み替えを希望される場合は、自宅の修繕費にあて資産価値を高めた方が、よい条件で売ることができ、家計にはプラスとなるかもしれません。
定年後が貧しくなる5つのこと(5):人付き合いを減らす
意外かもしれませんが、「お金を使いたくないから」と人付き合いを控えることも、老後の貧しさにつながる落とし穴のひとつです。
定年退職後に職場というコミュニティから離れてしまうと人付き合いが減ります。さらに人付き合いを控えてしまうと、孤独を感じ、孤立してしまいやすくなります。
老後、お金について不安を抱える方は多く、孤立し、気軽に相談できる相手がいない、という環境下では、昨今被害が急速に増加しているSNS投資詐欺といった消費者トラブルにもまきこまれやすくなります。
人と会う機会を増やすと、心にハリがでたり、健康面やメンタル面にもよい影響を与えたりする可能性があります。老後生活において増加する支出項目として医療費がありますが、人付き合いを減らすことで医療費も早くに必要になってしまうかもしれません。
「お金を使わずに人とつながる方法」は意外とたくさんあります。地域に興味あるボランティア活動やサークルなどはないでしょうか。できる限り人付き合いを維持することを考えてみましょう。
まずは、自分の現在地を知ることから
今回ご紹介した5つの落とし穴に共通するのは、「なんとなく」で判断してしまうことです。これまでの人生や今の気持ち、家計の状態をひとつずつ棚おろしして、「なんとなく」をひとつずつ、根拠のある判断に変えていくことが、老後の安心につながります。お金のことは、ついつい難しく考えてしまいますが、人生に活かすためにはシンプルに考えることが大切です。まずは過去一年間に使った支出を書き出し、年金の見込み額と並べてみてください。きっとこれからするべきことのヒントが見つかるはずです。
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内田英子 CFP,消費生活アドバイザー,住宅ローンアドバイザー
証券・保険業界出身の独立系ファイナンシャルプランナー。
住宅購入や定年退職をきっかけに保険や資産形成を見直す“家計の分岐点”に注目し、将来にわたって安心できる資金計画を中立・公正な立場からサポート。
制度や統計に基づいた分析と、自身の実体験をもとに、現実に寄り添うアドバイスを大切にしています。
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