25/12/27
50歳代で買うと「老後破産」を招く3つのモノ

「人生100年時代」という言葉がありますが、老後資金を準備するという観点からは、50代くらいから「老後」を視野に入れなくてはいけません。
50代ともなると子育てが一段落し、比較的お金に余裕がある人も増えてきます。しかし、お金があるからといって無節操に使ってしまうのは禁物です。70代、80代の老後にお金がなくなり生活に困窮する「老後破産」は誰にでも起き得るため、50代からしっかりと対策をしていきましょう。
今回は、50代で買うと老後破産を招くものを3つ紹介し、そのうえで老後破産しないために何をすべきかを考えてみます。
(1)何も考えずに買う金融商品
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によれば、世帯主が50歳代の二人以上世帯のうち、70.8%が「金融資産を保有している」と答えています。50代でも金融資産を購入し、運用すること自体は何ら珍しくありません。老後資金を上手に確保するためにも、可能な範囲で資産運用には取り組んでほしいところです。
ただ、その際「金融機関の営業担当者から勧められた」など、安易な理由で金融商品を購入するのは避けましょう。
投資信託を購入する際は、以下の3点に特に注意してください。
・ノーロード商品(販売手数料がかからない商品)か
・信託報酬の扱いがどうなっているか
・インデックスファンドであるか
手数料が高い金融商品を選んでしまうと、その分利益が目減りしてしまうため、効率的に資産を増やしにくくなります。特に、投資信託は長期間保有することが前提の金融商品である以上、保有中にかかる信託報酬のちょっとした違いが後々大きな差になりかねません。
信託報酬は、指標を上回ることを目指すアクティブファンドより、指標との連動を目指すインデックスファンドのほうが安く設定されています。それでいて、インデックスファンドに勝てないアクティブファンドが多いのが現状ですので、インデックスファンドを選んだ方がよいでしょう。
結局は、コストや期待するリターン、リスクの許容度など、自分が考える目標に合わせた商品選びが重要になります。「人から勧められた」から買うのではなく、「自分で納得できたから買った」にできるよう、入念にリサーチをしましょう。
(2)保障額が高過ぎる生命保険
子どもが小さかった時に、万が一のことが起きた場合に備えて生命保険を契約したという人は決して珍しくないはずです。特に、子どもが小中学生など、高校・大学への進学で学費がかかることを考えれば、その時期に万が一のことが起きても問題ないよう、相応の保障額の生命保険を契約することには一定の意義があります。
しかし、夫婦ともども50代になり、子どもも大学を卒業して独立したのであれば、小さいうちと同じ保障額で生命保険を契約し続けるのはナンセンスです。保障額が大きければ大きいほど毎月の保険料も高くなる以上、ここは見直す必要があります。
また、見直す際は医療保険やがん保険とセットで行うことが重要です。公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計2025」によれば、がんの罹患者数は男女ともに60歳代前後で大きく増加することが明らかになっています。
つまり、老後に差し掛かる年齢で大きな病気をする人が増えると考えると、治療費を十分に賄えるだけの備えはやはり必要です。日本は原則としてすべての人が公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」を採用しているうえに、高額療養費制度により自己負担分が一定に抑えられる実情があります。
しかし、高額療養費制度に関しては今後見直しがなされ、自己負担分の大幅な引き上げが起きるかもしれません。医療費が払えずに老後破産という憂き目に遭わないよう、自分で備えられる部分は入念に準備しましょう。
(3)見栄やポイント稼ぎのためだけの買い物
50代に限らず、見栄やポイント稼ぎのためだけに無意味な買い物をするのは好ましくありません。たとえば「〇〇さんが持っていたから負けたくない」など、他人と自分を比較して負けないために高額な買い物をしても、それは満足の行く買い物とは言えません。本当に自分が欲しいと思っていて買ったなら別ですが、見栄のためだけに買い物をするのは無駄遣いの極致です。
30代~40代のうちは、子どもが小さいことから精神的にも余裕がなくなり、ついつい周囲と比べて見栄だけの買い物に走ってしまうかもしれません。しかし、50代以降であれば「自分たちが幸せになるためにはどうお金を使うべきか」という精神的な余裕が出てくるはずです。何かを買おうと思った際には「これは、本当に自分が欲しいもの?必要なもの?」と考える癖を付けましょう。同様の理由で、目標や目的がない自己投資や使う予定がない自家用車のために出費するのもややナンセンスな部分があります。
また、ポイントを稼ぐためだけに必要がないものを買うのも、できれば避けたいところです。クレジットカード払いや特定の店舗の利用によってポイントを貯め、別の買い物や航空会社などのマイルなどに交換するのは、節約に役立つ部分が確かにあります。ただし、ポイントを稼ぐためだけに買い物をするのは、支出が増えるため長期的に見れば家計にとってマイナスです。「本当に必要なものだけを買って、結果としてポイントやマイルが貯まればそれでよし」程度に考えましょう。
老後破産は他人事ではない
日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」によれば、破産債務者の年齢のうち、70歳代以上が占める割合は11.84%にも達しました。2005年の同調査ではわずか3.05%に過ぎなかったため、18年ほどの間に8%以上増加した計算になります。
このデータを見る限りでは「70歳代以上の人の10人に1人以上は老後破産を経験する」と言えます。
老後になると、大半の人は収入が激減する一方で、自分や家族の介護・病気などでお金が出て行く場面が急激に増えるのも実情です。また、長生きできるのは本来喜ばしいことであるものの、その分生活費が長い間必要になり、結果として老後破産のリスクが高まるのも見逃せません。
老後破産を防ぐためにも、50代などまだ若いうちから「お金は賢く考えて使い、堅実に貯めていく」ことをぜひ意識してみてください。
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荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。取得資格はAFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者(試験合格)、宅地建物取引士(試験合格)
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