26/02/03
高額療養費制度と医療費控除は併用可能!併用する際の注意点は?

医療費が多くかかったとき、負担軽減のために利用できる制度として、高額療養費制度と医療費控除があります。ここで、「どちらを適用したらよいのか?」「どちらも併用できるのか?」がわからないという方もいるでしょう。
今回は、高額療養費制度と医療費控除の違いを整理した上で、併用の可否や注意点をわかりやすく解説します。
高額療養費制度とは?自己負担を抑える仕組み
高額療養費制度は、公的医療保険において設けられている制度です。医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、1か月の上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻されます。上限額は年齢や所得に応じて定められており、一律ではありません。なお、高額療養費制度の対象となるのは、公的医療保険が適用される医療費のみで、保険適用外の医療費は対象外です。
入院や手術などで医療費が一時的に高額になった場合でも、高額療養費制度を利用すれば、最終的な自己負担額は一定額までに抑えられます。高額療養費制度では、事前に「限度額適用認定証」を交付してもらうことにより、窓口で支払う金額自体を上限額までに抑えることも可能になっています。マイナ保険証を利用する場合には、限度額適用認定証が不要になります。
急な病気やけがで大きな出費が生じても、高額療養費制度を活用すれば、生活への影響を最小限に抑えられます。もしもの場合には、非常に心強い制度と言えるでしょう。
医療費控除とは?税金が戻る仕組み
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、税金の負担を軽くできる制度です。
医療費控除の計算式は、次のとおりです。
・所得200万円以上の場合
(1年間の医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
・所得200万円未満の場合
(1年間の医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-所得の5%
※上限200万円
医療費控除は所得控除の一つです。適用すれば課税所得が少なくなり、所得税や住民税を抑えられます。自分の医療費だけでなく、家族の医療費を支払った場合にも適用できるため、世帯単位で税金を安くするのに役立ちます。ただし、年末調整では適用できないため、会社員も確定申告が必要です。確定申告をすれば、所得税が還付され、翌年の住民税も軽減されます。
医療費控除は、高額療養費制度とは目的や対象の範囲に違いがあります。医療費控除は医療費を直接軽減する仕組みではなく、後から税金を取り戻せるという制度です。そのため、そもそも税金がかかっていない人には、医療費控除のメリットはありません。
また、医療費控除の対象は、高額療養費制度よりも広くなっています。公的医療保険適用外の医療費や通院費、入院時の食事代、正常分娩の出産費用なども、医療費控除の対象に含められます。
高額療養費制度と医療費控除を併用する際の注意点
では、高額療養費制度と医療費控除は併用できるのでしょうか。結論から言うと、併用は可能です。ただし、ここで重要なのが、医療費控除の計算方法です。
医療費控除の対象となるのは、あくまで実際に自己負担した医療費です。医療費控除の計算式にある「保険金などで補てんされる金額」は、かかった医療費から差し引いて計算する必要があります。高額療養費制度で支給された金額も、医療費から差し引かなければなりません。差し引くのを忘れた場合、申告のやり直しが必要になってしまいます。
高額療養費制度により医療費が戻ってくるまでには、3~4か月程度かかるのが一般的です。特に年末に高額療養費の申請をした場合には、焦って確定申告をせず、戻ってくる金額が確定してから申告することが大切です。
医療費負担を軽減する制度を知っておこう
高額療養費制度と医療費控除は、併用が可能です。ただし、どちらも自動的に適用されるものではなく、自分で申請する必要があります。医療費が高額になりそうなときは、まず高額療養費制度を確認しましょう。そして、1年を通じて医療費がかさんだ場合には、医療費控除を検討することが重要です。制度を正しく把握しておくことが、将来への安心につながります。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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