26/01/08
老後資金2000万円、年利4%で月10万円取り崩したら底をつくのは何年後?

老後の生活費は年金だけでまかなえるとは限らず、多くの家庭で貯蓄の取り崩しが必要になります。老後資金として「2000万円」が一つの目安とされていますが、毎月10万円ずつ取り崩すと約16年で尽きてしまいます。では、資産を運用しながら取り崩した場合、老後資金はどれほど長くもつのでしょうか。数字をもとに、資産寿命を延ばす考え方を見ていきます。
年金だけでは足りない老後生活の現実
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における公的年金などを含めた1か月の実収入は22万5182円です。一方、消費支出と非消費支出を合計した1か月の支出は28万6877円となっており、年金を受け取っていても毎月約3.4万円の赤字が生じていることがわかります。
また、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられる最低日常生活費は月額23.9万円ですが、経済的にゆとりある老後生活を送るには月額39.1万円が必要という調査結果もあります(生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」)。旅行やレジャー、日常生活の充実のためには月10万円程度の貯金の取り崩しが必要になると考えられます。
老後資金は2000万円必要と言われることがありますが、2000万円の貯蓄を毎月10万円ずつ取り崩すと、単純計算では16年で底をつくことになります。日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です(厚生労働省「令和6年簡易生命表」)。16年で老後資金が尽きるという計算に、不安を覚える人も多いのではないでしょうか。
運用しながら取り崩すと、資産寿命はどれだけ延びる?
老後資金2000万円を毎月10万円ずつ取り崩すと、運用しない場合は約16年で底をつきます。しかし、資産を運用しながら取り崩すと、増やしながら使うことになるため、資産が減るスピードは緩やかになります。
では、2000万円を年4%(複利)で運用した場合、使い切るまでにどれくらいの期間がかかるのでしょうか。このような試算を行う際に使われるのが「資本回収係数」です。資本回収係数とは、一定の利回りで運用しながら、一定期間にわたって資金を均等に取り崩す場合、毎年どれくらいの金額を受け取れるかを示す割合です。
<資本回収係数>

筆者作成
たとえば、2000万円を年4%で運用しながら20年間で取り崩すとすると、表の資本回収係数は「0.0736」となります。これを用いると、
2000万円 × 0.0736 = 147万2000円
となり、年間約147.2万円、月額にすると約12.3万円を取り崩せば、20年で資金がなくなる計算になります。
次に、毎年120万円(月10万円)を取り崩す場合に、何年資金がもつのかを逆に考えてみましょう。
120万円を2000万円で割ると「0.06」となります。年4%の資本回収係数を見ると、この「0.06」に該当するのは28年です。つまり、2000万円の資産をそのまま使えば約16年で尽きるところを、年4%で運用しながら取り崩すことで、資産寿命を約28年まで延ばせることになります。
老後の取り崩し運用はNISAを活用
老後資金を運用しながら取り崩す場合、運用効率を高める制度としてNISAの活用が有効です。NISA口座で運用すれば運用益が非課税となるため、取り崩し時に税金を差し引かれることなく資産を使えます。
老後資金では、「増やすこと」よりも「減らさずに使うこと」が重要です。運用益に課税されない分、資産の減少スピードを抑えやすくなります。また、NISAは必要なタイミングで自由に取り崩しができる点も、老後の生活費を補う手段として使いやすい制度といえるでしょう。
老後資金は「どう使うか」で安心が変わる
老後資金2000万円を毎月10万円ずつ取り崩すと、運用しない場合は約16年で尽きてしまいます。一方、年4%で運用しながら取り崩せば、資産寿命は28年程度まで延ばせる可能性があります。 老後のお金は、ただ減っていくものではありません。運用を取り入れ、NISAなどの制度を活用することで、生活を支え続ける力を持たせることができます。老後資金は「いくらあるか」だけでなく、「どう使うか」まで含めて考えることが、安心につながる第一歩です。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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