26/02/22
「60歳退職」vs「65歳・70歳まで年収半分で働く」、毎年の年金額はいくら変わるのか

厚生年金に加入して働く期間が違えば、もらえる年金額も変わってきます。なぜなら、老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間によって受給額が決まるからです。
では、60歳で退職する人と、60歳以降は年収が半分になっても65歳や70歳まで働く人とでは、毎月の年金額と生涯年金額はどれくらい差が出るのでしょうか?
働く期間が違うと年金の年額と生涯の年金額がどうなる?
国民年金は20歳から60歳まで40年間加入すれば満額の老齢基礎年金をもらえますが、厚生年金は70歳まで加入できるので、厚生年金に加入しながら長く働けば老齢厚生年金を増やすことができます。
そこで、同じ年収で働く期間が異なると、年金の年額と生涯もらえる年金額はどう変わるか、3つのケースを調べてみました。
(ケース1)60歳で退職、平均年収500万円の場合
(ケース2)60歳まで平均年収500万円、65歳まで平均年収250万円で働く場合
(ケース3)60歳まで平均年収500万円、70歳まで平均年収250万円で働く場合
●3つのケースの共通事項・補足事項
・年金は65歳から受給
・20歳~22歳(学生時代)は国民年金に加入
・平均年収500万円で働く期間は23歳~59歳(37年間)
・ケース2の平均年収250万円で働く期間は60歳~64歳(5年間)
・ケース3の平均年収250万円で働く期間は60歳~69歳(10年間)
・生涯年金額は65歳~90歳の間(25年間)にもらえる金額
・税金や社会保険料は考慮しない
・年金額は老齢基礎年金も含む(2026度の満額84万7300円で試算)
試算した結果、年金額の概算は以下の通りです。
<3つのケースの年金額の違い>
| 年金の年額 | 生涯年金額 | |
|---|---|---|
| 60歳で退職、平均年収500万円の場合 | 186.9万円 | 4672.5万円 |
| 60歳まで平均年収500万円、 65歳まで平均年収250万円で働く場合 |
193.8万円 | 4845万円 |
| 60歳まで平均年収500万円、 70歳まで平均年収250万円で働く場合 |
200.7万円 | 5017.5万円 |
筆者作成
60歳で退職する場合と60歳以降、年収250万円で65歳まで働く場合の年金額を比較すると、65歳まで働いた方が年金額は約6.9万円増えることがわかりました。これを生涯年金額で見てみると、65歳退職の方が約173万円多くもらえることになります。 また、60歳以降70歳まで平均年収250万円で働く場合、60歳で退職する場合の生涯年金額と比較すると、70歳まで働いた方が約345万円ももらえる年金が多くなります。
厚生年金に加入して働く期間が長い方がもらえる年金額が多くなり、加えて退職するまでは月々にもらえる給与があるので、生活にゆとりが生まれます。生活を安定させるためには、年金額を増やすために長く働くことを検討してもよいかもしれません。
退職時期の考え方と注意点
できるだけ長く働けば、老齢厚生年金を増やせるので経済的な余裕が生まれるでしょう。あるいは早く退職して自分のやりたいことを楽しむ人生を選ぶ道もあります。いつまで働くかは自分のライフプランに合わせて考えるのがベストですが、原則として年金の受給が始まるのは65歳からです。早く退職することを選ぶなら、65歳までの無収入期間の生活費をどうやって工面するか考えましょう。このような場合に備えて、生活費を見直して余分な出費を抑え、早いうちからiDeCoやNISAなどを活用して老後資金を準備しておくことをおすすめします。
また、長く働けば年金額を増やせますが、65歳以降に年金を受給しながら厚生年金に加入して働く場合、在職老齢年金制度があることを頭に入れておきましょう。在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金の月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(2026年4月から)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる制度です。厚生年金に加入して働く場合、給与が多いと年金が支給停止になるかもしれないので注意しましょう。
家計状況を把握して老後資金の準備を
いつまで働くかは、自分の思い描くライフプランと貯蓄状況を照らし合わせて決めるとよいでしょう。また、在職中に老後資金の準備を進めておくことも重要です。常に家計の収支をチェックし、削れる部分とお金をかけたい部分を見直して、いつまでも安定した生活を送れるよう働き方とお金の使い方を考えることをおすすめします。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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