25/11/08
定年後に払い続けると貧乏へ転落する「5つの支出」

定年退職といってもまだまだ元気、定年後に時間ができたら、やりたいことがたくさんある──そんな楽しみを思い描いている人も多いのではないでしょうか。
やりたいことを思う存分するためには、当然ながらお金が必要です。一方で定年後は基本的に収入は減ります。会社員時代と同じ感覚で支出を続けてしまうと、気づかないうちに家計が苦しくなることも。
実は、老後の家計を圧迫するのは「浪費」よりも「惰性」です。
なんとなく、いつもどおりに払い続けている出費を放置していると、年間で数十万円もの差になることもあります。
そこで今回は、定年後に払い続けてはいけない5つの支出を見直してみましょう。どれも早めに対策しておきたいものばかりです。
定年後に払い続けてはいけない支出1:高いスマホ代
まずはスマホ代を見直しましょう。
定年退職前後の世代にとって、スマホは40代頃に使い始めたツールではないでしょうか。その後、生活必需品とも言えるほど普及しました。そんななか、スマホ代は必要経費として考えられ、思い切った節約にはつながりにくいものです。
現役時代はたしかにスマホ代は必要経費。多少高くても仕事や家族をはじめとしたさまざまな人とのコミュニケーションに、支障が出ないことが優先されるでしょう。
そのため、あまり深く考えず、キャリアやプランを見直していない人が多いかもしれません。
けれども、定年後の固定費を減らすうえで、スマホ代の見直しは効果が大きい項目です。
格安スマホへの乗り換えには、オンライン手続きや設定など少し手間がかかりますが、月あたりでも、数千円の支出減につながります。
店舗で相談したい人や、通信の安定性を重視したい人は、UQモバイルや楽天モバイルなど、実店舗サポートがある会社を選ぶと安心です。
また、家族で同じキャリアを利用すれば、家族割でまとめて安くなる場合もあります。
家族と同じ機種にしておくと、わからないことがあったら気軽に聞ける、そんな金額にはあらわれないメリットもあるかもしれませんね。
さらに、スマホは医療情報や防災アプリの管理にも使える、生活インフラでもあります。
もしもの時に備えて、役立つアプリをインストールしておいたり、充電ができる場所をチェックしておいたりと、この機会にスマホの中身も見直しておくと安心です。
コストだけでなく、安心とつながりを保つ通信費として、最適なプランを選びましょう。
定年後に払い続けてはいけない支出2:車関係の支出
車は、車体そのものの価格だけではなく、維持費も込みで考えなくてはいけません。
駐車場代、自動車保険、自動車税、車検代、メンテナンス費用、ガソリン代など、車1台あたり年間数十万円の支出になることもあります。
そのため車はコスパが悪いと言われることもあり、首都圏の若者を中心に「車離れ」が進んでいます。特に、昨今はガソリン代の高騰が家計を圧迫していることが問題にもなっています。
とはいえ、足腰が弱くなってくるシニア世代としては、目的地まで座って移動できる手段はとても大切です。重い荷物があっても、車なら安心ですよね。
そのため、定年後は車で出かけたい、と思う人も多いでしょうが、ここはライフスタイルを見直すタイミングでもあります。
今後、車は持たないが利用する、と考える場合には、レンタカーやカーシェアが活用できます。
駐車場代や車検代は不要、保険なら1日だけ入るプランもあります。
車は必要なときだけ使う。そんな身軽なスタイルも可能です。
車は便利に使いたい、しかし所有や運転は負担、という場合には、自治体が運営するコミュニティバスや、買い物送迎サービスなどの利用を考えてみましょう。
利用をきっかけに、周りとのコミュニケーションがとれるのではないでしょうか。
シニア世代であれば、もしもの時に頼りにできる地域のコミュニティがあるのは心強いものです。
人とのつながりも大切な財産になります。
それでもやっぱり、生活する上で車がないと困る、そんな人もいるでしょう。
その場合には、できるだけ負担をおさえる工夫をしたいですね。低燃費のコンパクトな中古車など、ランニングコストが抑えられる車を選びたいところです。
運転方法ひとつでも燃費は大きく変わります。重い荷物は載せっぱなしにせず、急発進・急ブレーキは避ける安全運転を心がけてください。
定年後に払い続けてはいけない支出3:現役世代のままの生命保険の保険料
生命保険の保険料は、毎月自動的に引き落とされていることが多く、払っていることに無意識になってしまいがちです。
しかし生命保険は、定年後に現役時代と同じ保障内容を続けるのは非効率。
家族の独立や収入の変化に合わせて、保障額を見直すのが基本です。
医療や社会の情勢に合わせて考えると、さらに合理的。
医療保険であれば、医療の進歩により変化した治療方法に合わせる視点も大切です。
たとえば、がんや生活習慣病でも、手術や治療のために長期の入院をすることは減っています。いまや、抗がん剤治療でも、通院治療が中心です。
ところが、古い契約のままだと「入院しないと給付が出ない」ケースもあります。
必要に応じて、通院給付金が受け取れるタイプへ切り替えるのも一案です。
また、終身保険のように貯蓄性があるものは、解約返戻金を老後資金の一部にすることもできます。
見直しの際は、保険をやめるのではなく「今の暮らしに合う形に整える」意識で検討してみましょう。
定年後に払い続けてはいけない支出4:クレカやサブスクの年会費
クレジットカードやサブスクリプション(サブスク)の年会費は、気づかぬうちに支払い続けている費用の典型です。
クレジットカードは、現役世代であっても作り過ぎはよくありません。
年会費無料にひかれて作っても、2年度以降は年会費がかかるケースが多くあります。
一定金額の利用があれば年会費無料が継続できる場合でも、クレジットカードが多いと管理しきれず、結局使い切れずに年会費だけがかかることに。
クレジットカードは、ライフスタイルに合わせて2枚、多くても3枚あれば十分です。使っていないクレジットカードの年会費ほどバカバカしい支出はありません。
同様に、サブスクリプションサービスについても、しっかり確認しましょう。
定期的に使うモノ・サービスは、サブスクにしておくといつでも使えて便利。また、都度オーダーするよりおトクなこともあるので、サブスクを利用している人も多いでしょう。
しかし、サブスク契約した当初は「いつも使う」モノ・サービスでも、今はすっかり使っていない、サブスクにしたことすら忘れていた、ということはありませんか。
定年後、ライフスタイルは変わります。クレジットカードの利用明細や、金融機関口座の取引明細などで、必要のないものに大切なお金を払っていないか確認してください。
最近は明細がすべてオンライン化しており、紙の通知が来ないため気づきにくいのが落とし穴。
3カ月に1度は、ネット明細や口座引き落としをチェックしましょう。
紙に書き出して「使う/使わない」を見える化するだけでも、支出の整理がしやすくなります。
定年後に払い続けてはいけない支出5:子・孫への大きすぎる援助
子どもや孫への援助は、家族の喜ぶ顔が見られる幸せな出費です。
とはいえ、やりすぎは禁物。
子や孫がいると、何かとイベントが多いものですよね。結婚、出産、進学、卒業といった大きな節目には、お祝いをすることもあるでしょう。また、誕生日やお正月、クリスマスは毎年のことです。
子や孫の笑顔はうれしいものですが、家計のバランスから見て、大きすぎる援助は控えることが結果的には家族のためです。
子や孫への援助が過大になり自分の蓄えが減ったとして、そのうえで医療費や介護費がかかる事態になった場合、結局は家族に援助してもらうことにならないでしょうか。
その時、子や孫に公平感がなければ親族間のもめごとにも発展しかねません。自分の医療・介護は自分のお金でまかなえるよう準備しておくのが、家族のためにもなります。
「渡せるうちに渡したい」という気持ちは自然ですが、援助はお金だけとは限りません。
孫の進学に向けて奨学金の調べものを手伝ったり、家計簿のつけ方を教えたり──経験や知識のプレゼントも、立派な援助です。
経済的な援助をする場合は、子どもたちの間で不公平感が生まれないよう、あらかじめ話し合っておくのが理想です。
定年後の家計は「削る」ではなく「整える」
支出を見直すのは、定年後にやりたいことのためでもあります。
つまり、支出の見直しを単なる我慢にしないことがポイントです。
おすすめは、「やりたいことリスト」を作ること。
旅行に行く、趣味を始める、学び直す・・・、やりたいことを書き出してみると、どのくらいの費用が必要かが見えてきます。
そして、不要な支出を整理すれば、やりたいことにお金を回せるようになります。
お金を整えることは、人生を整えること。
定年後こそ、支出を見直して「自分らしい暮らし」のための資金づくりを始めましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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