24/10/27
払い続けると貧乏一直線…定年後に注意すべき5つの支出
多くの企業が定年を60歳にしています。60歳では仕事をリタイアしても、まだまだ元気。
仕事が忙しかった時には、なかなかできなかった趣味や旅行など、ようやく実現する時がきた、と思っている人も多いのではないでしょうか。
やりたいことを思う存分するためには、それなりにお金も必要になりますが、定年後になると基本的に収入は減ります。
そこで考えるべきは、支出の見直し。今回は、定年後に払い続けてはいけない5つの支出を取り上げます。どれも漫然と続けがちなので、定年を意識し始めたら早めに対策をとりたいものばかりです。
定年後に払い続けてはいけない支出1:高いスマホ代
まずはスマホ代を見直しましょう。
定年退職前後の世代にとって、スマホは40代頃に使い始めたツールではないでしょうか。その後、生活必需品とも言えるほど普及しました。そんななか、スマホ代は必要経費として考えられ、思い切った節約にはつながりにくいものです。
しかし、定年後の限られた収入でやりくりするなら、スマホ代の見直しは避けられません。とはいえ、格安スマホは手続きがオンライン限定だったり、自分で設定したりとハードルは高めです。「いざと言う時に、店舗で相談できると何かと安心」という人はUQモバイルや楽天モバイルなどのキャリアを検討するといいでしょう。
あるいは、スマホで連絡をいつも取り合っている人と同じキャリアにするという方法もあります。
パートナーや息子さん・娘さんなどと、同じ機種やプランを選んでおいて、操作方法などを教えてもらえると心強いですね。キャリアによっては家族割などのサービスも用意されています。
●スマホ代の相場はいくら?
携帯電話会社への支払額の平均は、約5824.8円です(総務省「携帯電話の料金等に関する利用者の意識調査(2021年)」)。
とはいえ、このデータはすべての年齢を対象にした平均値です。
65歳以上の夫婦一組の無職世帯の通信費を見てみましょう。通信費には、夫婦のスマホ代だけではなく、固定電話の料金や切手や宅配便の料金も含まれますが、ひと月当たりの金額は、9465円です(総務省「家計調査(2023年)」)。
9465円ということは、平均的なスマホ代の二人分よりも少額ですから、やはり多くの家庭が節約している様子がわかります。
定年後に払い続けてはいけない支出2:車関係の支出
首都圏の若者を中心に、車離れが進んでいます。
車はそれ自体の費用もかかりますが、駐車場代、自動車 保険、自動車税、車検代、メンテナンス費用、ガソリン代といった費用が維持費としてかかります。特に、昨今はガソリン代の高騰が家計を圧迫していることが問題にもなっています。
また、地域によっては車がないと不便に感じることも多いでしょう。路線バスの減便など、公共交通機関がどんどんなくなるニュースが増えています。
こうしたことを踏まえると、定年後、車に乗るならレンタカーやカーシェアリングといった選択肢もいいでしょう。また、公共交通機関とタクシーの利用で十分なら、免許の返納も考えられます。しかし、生活する上で車がないと困る人もいるでしょう。そんな場合でも、低燃費のコンパクトな中古車など、ランニングコストが抑えられる車を選びたいところです。
65歳以上の夫婦一組の無職世帯では、家計にしめる月の自動車関連の支出は1万8033円です。特に、ガソリン代や駐車場代、保険料などの維持費が多い傾向です(総務省「家計調査(2023年)」)。
運転方法ひとつでも燃費は大きく変わります。重い荷物は載せっぱなしにせず、急発進・急ブレーキは避ける安全運転を心がけてください。
定年後に払い続けてはいけない支出3:現役世代のままの生命保険の保険料
生命保険の保険料は、毎月自動的に引き落とされていることが多く、払っていることに無意識になってしまいがちです。しかし生命保険は、ライフステージが変わったら見直すことがセオリーです。保障内容を確認して、ムダな保険料を払うことは避けましょう。
生命保険は、被保険者が亡くなった場合に 保険金が出ます。養う家族が多ければ、そのぶん保険金は高額になりますが、子どもの独立などで経済的な責任が軽くなっているのであれば、適正な金額に減額して、支払う 保険料を節約しましょう。
●生命保険の見直しは、専門のFPへの相談も
65歳以上の夫婦一組の無職世帯が払う1カ月の保険料は、平均で6759円です(総務省「家計調査(2023年)」)。
仕事をしている間は、万が一の場合の家族への保障は手厚くしておきたいところですが、リタイア後は身軽に、毎月の保険料も少なくなるように見直しましょう。
退職後の保険見直しは、家計見直しを専門にしているFPに相談してもよいでしょう。
定年後に払い続けてはいけない支出4:クレカやサブスクの年会費
現役世代でも、クレジットカードの作り過ぎはよくありません。年会費無料にひかれて作っても、2年度以降は年会費がかかるケースが多くあります。
一定金額の利用があれば年会費無料が継続できる場合でも、クレジットカードが多いと管理しきれず、結局使い切れずに年会費だけがかかることに。
クレジットカードは、ライフスタイルに合わせて2枚、多くても3枚あれば十分です。使っていないクレジットカードの年会費ほどバカバカしい支出はありません。
同様に、サブスクリプションサービスについても、しっかり確認しましょう。
定期的に使うモノ・サービスは、サブスクにしておくといつでも使えて便利。また、都度オーダーするよりおトクなこともあるので、サブスクを利用している人も多いでしょう。
しかし、サブスク契約した当初は「いつも使う」モノ・サービスでも、今はすっかり使っていない、サブスクにしたことすら忘れていた、ということはありませんか。
定年後、ライフスタイルは変わります。クレジットカードの利用明細や、金融機関口座の取引明細などで、必要のないものに大切なお金を払っていないか確認してください。
●クレジットカードは少数精鋭
退職後は、クレジットカードが作りにくくなることが一般的です。すると、すでに持っているクレジットカードを解約することをためらってしまうかもしれません。
しかし、クレジットカードの持ちすぎは、リスクが大きいと考えるべきでしょう。
多くのクレジットカードにはキャッシングの枠があり、ATMを利用してまとまった現金を引き出すことも可能です。
自分ではキャッシングはしないつもりでも、思いがけない犯罪に巻き込まれないとも限りません。
備えは万全にしておきましょう。
●サブスクを見直すには
サブスク=サブスクリプションサービスもまた、解約しにくい人が多いのではないでしょうか。
忘れていたサブスク料金が引き落とされた直後、解約していなかったことを後悔したとしても、まだあと1年分残っていると思うと、即解約はもったいないと思いがちです。
筆者は、まさにそのケースで1年後にも解約を忘れ、2年連続で後悔した苦い思い出があります。ですから、個人的には即解約をおススメします。
悩んでしまうようなら、いったん全部解約してから、どうしても必要なものだけ入り直すのも手。荒療治ですが、不要なものを見つけるきっかけにできます。
定年後に払い続けてはいけない支出5:子・孫への大きすぎる援助
子や孫がいると、何かとイベントが多いもの。結婚、出産、進学、卒業といった大きな節目には、お祝いをすることもあるでしょう。また、誕生日やお正月、クリスマスは毎年のことです。
子や孫の喜ぶ顔はうれしいものですが、家計のバランスから見て、大きすぎる援助は控えることが結果的には家族のためです。
子や孫への援助が過大になり自分の蓄えが減ったとして、そのうえで医療費や介護費がかかる事態になった場合、結局は家族に援助してもらうことにならないでしょうか。
その時、子や孫に公平感がなければ親族間のもめごとにも発展しかねません。自分の医療・介護は自分のお金でまかなえるよう準備しておくのが、家族のためにもなります。
●子・孫への援助見直しは、公平感を大切に
すでに援助のしすぎで家計が厳しくなっている場合は、できるだけ早く見直しをしたいですね。
見直しをすると、それまで援助できていなかった子・孫だけではなく、援助していた子・孫にも不満が出てしまいがちです。
家族が険悪になってしまうくらいなら、多少無理しても援助を続けようと思う気持ちはもっともですが、長い目で見ると決してそうとは言えないでしょう。
将来のことまで見据えて、みんなが納得できるよう丁寧に説明することも大切です。
定年後にやりたいことリストを作ろう
老後の収入は公的年金が大きな柱ですが、それ以外には、勤務先で加入した企業年金や、個人加入の個人年金保険の給付金です。
毎月の預貯金ができても、トータルでは資産は減っていくことは避けられないのですが、支出を抑えることで、資産減のスピードがゆるやかにできます。
支出を見直して資産を長持ちさせることで、家計にゆとりが生まれてくるでしょう。
支出を見直すのは、定年後にやりたいことのためでもあります。
それには、まずは「やりたいことリスト」を作りましょう。そのために必要なお金も忘れずに記入します。はじめはザックリでよいので、金額、時期、どんなふうに、などリスト作りをすることがスタートです。
定年後の家計バランスを見直し、楽しく資金作りをしてください。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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