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24/09/09

家計・ライフ

「定年後貧乏」にならないために、やってはいけない退職金の使い方ワースト5

「定年後貧乏」にならないために、やってはいけない退職金の使い方

これまで長年頑張って働いてきた50代や60代のみなさんの中には、退職金の受け取りを今か今かと楽しみにしている人も多いかもしれません。一方で、退職金の使い方がこれから迎えるセカンドライフの鍵を握ることも、きっと理解しているはずです。そこで今回は、穏やかなセカンドライフを見据えた退職金の使い方を、みなさん一緒に考えていきましょう。そして、みなさんの理想を遠ざけてしまう「退職金でやってはいけないこと」は一体何なのか、逆に近づけるために意識すべきことは何かについて解説します。

まずは自分がもらえる退職金を調べてみよう

みなさんはお勤め先の退職金制度の体系を理解していますか。厚生労働省が公表している「就労条件総合調査(2023年)」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある会社の割合は74.9%。企業規模別に見ると、従業員数が1,000人以上の規模の会社では90.1%の会社で退職給付制度があるのに対して、30~99人の会社では70.1%と、20%の開きが見られる点に注目です。また、企業規模が大きいほど一時金制度と年金制度を併用している点も大きな特徴と言えます。

<企業規模別の退職給付制度の導入状況>

厚生労働省「就労条件総合調査(2023年)」より筆者作成

企業規模の他にも、退職給付の体系や金額は、業種、勤続年数、年齢、最終学歴等によって、大きく異なることが一般的ですが、定年退職が視野に入るみなさんにとってそれらの違いや平均にあまり意味はありません。大切なのは、ご自身がいつ、どのくらいもらえるかという具体的な情報です。分からないことがあれば、お勤め先の人事担当者にも確認をしましょう。また、今後お勤め先で退職金制度の見直しが行われる場合には、その影響がご自身にも及ぶかどうかも要チェックです。
定年退職者の平均退職給付額は2023年のデータで1,896万円(大学卒(管理・事務・技術職))。一見、やはり退職金はたくさんもらえると思われるかもしれませんが、20年前の2003年と比べると、約600万円減少しているのが現実です。

<定年退職者の平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上)>

厚生労働省「就労条件総合調査(2023年)」より筆者作成

5つの「退職金でやってはいけないこと」

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年」によると、世帯主が65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、平均月222,725円の可処分所得(実収入から直接税、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額)に対して、消費支出(食費や光熱水費等)は252,928円。毎月の黒字率は▲13.6%(つまり赤字)となっています。さらに、旅行やレジャー、日常生活の充実、趣味や教養といった、ゆとりある老後生活を送るためには、毎月平均37.9万円かかるという調査結果(生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2022年度)」)にも注目です。

毎月かかる支出以外にも、自宅のリフォーム、老人ホームへの入居に際して必要になる一時金など、まとまった資金を捻出する必要がセカンドライフでは多く訪れます。「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、まずはこれから紹介する5つの「退職金でやってはいけないこと」を守りましょう。

●退職金でやってはいけないこと①:金融機関に勧められた商品を購入する

金融機関は、退職者向けのセミナーや特別プランを用意して、退職者との接点を持とうとしますが、予備知識を持たないままセミナーに参加することや、窓口で話を聞くことは、おすすめしません。彼らが勧めてくる商品は一見魅力的ではあるものの、実際の仕組みは複雑で、期待されるリターンには到底見合わない、リスクと手数料だけが高い商品だと思っておくとよいでしょう。退職金プランや仕組債、ファンドラップ、外貨建て保険、毎月分配型の投資信託を勧められた場合には特に注意が必要です。

<金融機関から勧められたら注意すべき主な商品>

筆者作成

●退職金でやってはいけないこと②:自分で理解をしていない取引に手をだす

投資等での失敗はこれまで以上に致命傷となることから、不必要に資産を危険に晒さないことを、今一度肝に銘じましょう。

例えば、業者や友人・知人に勧められるがまま、不動産投資を始めることも慎重に考える必要があります。賃貸収入が定期的に入ってくることは不動産投資の魅力ですが、税金や維持費、利息といったコストに加えて、空室リスクや流動性リスク(換金に時間がかかる)なども考慮しなければなりません。必要な知識を持たないまま、「なんとなく」で始めることだけは、絶対にやめましょう。

他にも、暗号資産やFX(外国為替証拠金取引)、信用取引など、自分がよく分からない投資や取引に手を出さないことは、定年退職前後の投資における大原則です。

●退職金でやってはいけないこと③:不要な保険商品の購入

保険の契約ではいかなるときも、それぞれの商品の留意点を押さえるとともに、大前提としてその保障の必要性を検討しなければなりません。さらに、私たちは公的な保険制度の存在を忘れがちです。老齢期に発生するさまざまなリスクは特に、公的な保険制度によってカバーされる範囲が広いことも覚えておいてください。

●退職金でやってはいけないこと④:世界一周クルージング

世界一周クルージングとまではいかなくても、定年退職後に大きな夢や期待を抱いている人は、きっと多いと思います。そして、体力や気力が旺盛なうちに、それらを実現させたい気持ちは理解できますが、退職金を受け取ると気が大きくなってしまう点は注意しなければなりません。

もしも大きな支出を伴うライフイベントを企んでいるのであれば、資金計画を定年退職前の早い段階から立てて、対策を進めるようにしましょう。すでに十分な資産形成が行われている、もしくは年金などの定期収入が今後も多く見込まれるような一部のケースを除いて、退職金をあてにした支出の計画は非常に危険です。

●退職金でやってはいけないこと⑤:孫へのプレゼント

「孫の喜ぶ顔が見たい」と、退職金をお孫さんのために使いたい人も多いと思います。しかしながら、1度あたりの金額が大きい場合や、頻度が高いと、ご自身の老後資金を圧迫しかねないので注意が必要です。お孫さんへのプレゼントは節度を保って行うようにしましょう。もしセカンドライフの暮らしに不自由しないほどの資産をすでに持っている場合には、教育資金の援助を、お子さんご夫婦に話を持ち掛けてみるのも一つの選択肢かもしれません。

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退職金を運用する前に知っておきたい4つのポイント

ここまで紹介した5つの「退職金でやってはいけないこと」は、(一時金として受け取る場合は特に)気が大きくなってしまうことに対する戒めの意味が込められています。逆に、「退職金をもらったらやるべきこと」とはいったい何なのでしょうか。それこそまさに、持続的な物価上昇(インフレ)による資産の目減りを防ぐ運用です。

●退職金運用のポイント①:運用の目的を明確にしよう

経済に連動する形で終身もらえる公的年金もあることから、これから迎えるセカンドライフに必要なお金を、自分ですべてまかなう必要はありません。就労の継続や、年金の繰り下げも選択肢に入れながら、しばらく使わないであろうお金を、運用で目減りさせないようにしましょう。

●退職金運用のポイント②:「長期・積立・分散」の基本を押さえよう

株式や投資信託などの運用商品へ投資をする際には、元本割れのリスクを理解しておく必要があります。そのリスクを軽減し、長期的に安定したリターンを獲得するための基本が、「長期・積立・分散」であることは、働き盛りの頃と何一つ変わりません。

退職金を手にするみなさんが特に意識すべきは、「分散」です。この分散には、「資産(銘柄)の分散」、「地域の分散」、「時間(時期)の分散」が含まれますが、退職金を一度に1つの投資先につぎ込むことは、安定的に資産を増やしたいと考える本来の目的と合致するか、よく考えてみる必要があります。一か八かのギャンブル的発想であればなおさら危険です。初心者は、広く投資先が分散されている投資信託を積立購入して、時間をかけて育てていくことをおすすめします。

●退職金運用のポイント③:非課税制度を上手に活用しよう

「長期・積立・分散」による運用でリターンを最大化する鍵は、税金や手数料といったコストをいかに最小限に抑えられるかどうかです。みなさんも関心が高いNISA(少額投資非課税制度)を活用するメリットも、運用から発生する利益に対して通常かかる20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかからない点にあります。

同様に運用益が非課税となる制度としてはiDeCo(個人型確定拠出年金)がありますが、こちらは毎年の掛金が全額所得控除の対象となることから、定年退職後も一定の所得がある人は活用を検討するとよいでしょう。

●退職金運用のポイント④:「個人向け国債」も選択肢に入れてみよう

資産の目減りを防ぐために運用が必要だとはわかっていても、年齢等が高いハードルとなって一歩が踏み出せない人もいるはずです。そのような人は、国が「元本割れなし」を約束する個人向け国債に注目してみてはいかがでしょうか。

個人向け国債の商品は、「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3つ。「変動10年」はその名称のとおり、実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わります。また、いずれの商品も、最低金利として0.05%(年率)が保証されている点も大きな特徴です。インフレへの対抗手段としては株式投資に劣るものの、預貯金で寝かせたままよりも高い利回りが期待できるという意味で、個人向け国債は定年退職後の堅実な運用を後押しする代表的な商品と言ってよいでしょう。

<個人向け国債の3つの商品と表面利率(2024年10月15日発行分)>

筆者作成

なお、個人向け国債は毎月発行されており、金融機関や郵便局で1万円から購入可能です。「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれる点には注意が必要であるものの、発行から1年を経過すると中途換金ができる点も、気軽に始めやすい個人向け国債の魅力かもしれません。

株・投資信託ならネット証券のマネックス

お金の「見える化」はできていますか?

一度きりの人生において「あれもダメ」「これもダメ」では息苦しいですよね。今回は、穏やかなセカンドライフを見据えた退職金の使い方をみなさんと一緒に考えてきましたが、まずは5つの「やってはいけないこと」だけを押さえて、「定年後貧乏」の事態を回避するようにしましょう。そして、冷静な判断や対策には、ご自身の資産や負債、退職後の収入や支出等をしっかり把握しておくことが欠かせません。ファイナンシャルプランナーなどの専門家は、みなさんの穏やかなセカンドライフに向けた一歩をサポートします。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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