25/06/02
お金がないときにやりがちな貧乏を招く7つのこと

お金がないと、人はどうにかしてお金を集めたり、増やそうとしたりします。
簡単にお金を借りることのできる方法もあるのですが、安易な利用はNG。かえって貧乏になり、信用を失うという事態になりかねません。
今回は、お金がないときにやりがちな貧乏を招く7つのことを紹介します。
お金がないと人は判断が鈍くなる
「お金がない」という経験のある人ならば「期限までにお金が支払えないかも」という緊張感がわかるでしょう。お金がないと、「お金をどう用意しようか」となって、気もそぞろになってしまうもの。「お金がない」経験のない人でも、借金取りに追われるドラマや物語などを思い浮かべると、イメージがつくかもしれません。
そのイメージは間違いではありません。インドの農業従事者を対象にしたある実験では、年2回の収穫期の直前と直後にIQテストを実施したところ、収穫期直前のほうが収穫期直後よりもはるかにスコアが低かったそうです。
収穫期直前は収入が得られる直前、収穫期は収入が得られた直後です。収入が入る前は、生活費にも困る状態で、お金のことばかり考えているので、IQテストのスコアが低くなったと考えられます。逆に、収入が得られたあとは(ひとまず)危機が去ったので、より賢明な判断が下せるようになっているのです。
お金がないとき、人は判断が鈍くなり、お金があるときにはやらないようなことをやってしまいがちです。そしてその結果、貧乏を招いてしまうのです。
では、お金がないときにどんなことをやりがちなのでしょうか。7つ紹介します。
お金がないときにやりがちなこと①リボ払い
クレジットカードの返済方法の一つに「リボルビング払い」、通称「リボ払い」があります。これは、利用件数や金額に関係なく、毎月一定の金額を支払っていくという返済方法。最小支払い額は借入総額によって変わります。
中には「月々1000円からの支払いでOK」などとうたっているサービスもあります。手軽そうですし、一定額を毎月支払っていくだけなら、支出の管理もしやすくて便利だから良いのでは?と思うかもしれません。
しかし、リボ払いは利用残高全体に実質年率15~18%の金利手数料がかかる仕組み。元金はなかなか減らず、完済までの金利手数料は莫大な額になります。さらに、支払いが終わる時期が見えにくいのも難点です。
実際にどれほどの金利負担があるのか、見てみましょう。
●例:以下の条件でリボ払いをした場合の返済総額・返済回数は?
・借入総額=30万円
・毎月の返済額=リボ払い5000円(元利定額方式:返済元金+利子=5000円)
・年利15%
この場合、計算上の返済総額は55万7868円。
借りたのは30万円なので、利子は差し引き25万7868万円も支払うことになります。返済回数も112回、完済までに9年4カ月もかかる計算です。
リボ払いをしてしまうと、なかなか返済が終わらないどころか、多額の利子を払うことになるのがおわかりいただけると思います。リボ払いは絶対にやってはいけないのです。
お金がないときにやりがちなこと②新しいクレジットカードの契約
クレジットカードは後払いなので、手元に現金がなくても買い物できますが、限度額を超えて買い物することはできません。そこで、新しいクレジットカードを契約して買い物をしようとする人がいますが、支払いが苦しくなるのは目に見えています。
また、短期間で複数のクレジットカードを申し込む「多重申し込み」をすると、信用力が下がり、クレジットカードの審査に通らなくなることがあります。
クレジットカードの申し込みの記録は、クレジットやローンの契約・申し込みの情報を管理する「信用情報機関」に6か月間保管されます。カード会社は、クレジットカードの審査の際に信用情報機関の情報を参照します。カード会社はここで、多重申し込みに気づきます。「たくさんクレジットカードを申し込むということは、返せないほどのお金を借りたいのではないか」とカード会社が警戒すると、クレジットカードの審査に通らなくなるのです。
新たにクレジットカードを申し込むことがあれば、最低でも6か月は時間をあけてからにしたほうがいいでしょう。そしてもちろん、返済能力を超えたクレジットカードの使用はNGです。
お金がないときにやりがちなこと③カードローン(キャッシング)
カードローンはいまや手軽に現金を手にできる方法の筆頭です。借入手続きはスピーディーで手間いらず。問題がなければ1~2時間もしないうちにお金を借りることができてしまいます。申し込みに必要なのは本人確認書類のみ。印鑑も保証人も担保も不要で、借入額によっては収入証明書さえいりません。
1社あたり50万円、他社も合わせれば総額100万円という金額を、カードローン会社は収入確認なしで貸し付け可能としています。
また、カードローンの一種、クレジットカードのキャッシング機能を利用すれば、何の手続きをすることもなく、ATMから30万円程度まで引き出せてしまいます。ATMからお金が引き出せてしまうと、もはや借金という感覚すら薄れてしまうかもしれません。 借金は、時としてチャンスを生かすために必要な手段なのですが、個人向けのローンは金利手数料の負担が大きいため、損をしやすい仕組みになっています。
「きちんと返せるなら借りたって問題ない」という意見もありますが、その意見に筆者は断固として反対します。
重要なのは、このようなときに相手目線で考えられるか。なぜ、金融機関はそんなに簡単にお金を貸すのかを考えてみてください。理由は簡単。「もうかる」からです。相手がもうかるということは、私たちは損をする可能性が高いということでもあります。
カードローンの金利は「利息制限法」という法律によって貸付額と上限金利が決まっています。具体的には、
・貸付額10万円未満…上限金利年20.0%
・貸付額10万円以上100万円未満…上限金利年18.0%
・貸付額100万円以上…上限金利年15.0%
となっています。
大手銀行にお金を預ける際の金利(普通預金金利)は年0.2%です(2025年5月21日時点)。年15%~20%もの金利がつくなんてありえないと思われるでしょう。しかし、カードローン会社から見れば、年15%~20%の金利でお金を貸しているのですから、カードローン会社はもうかることがわかります。ですから、お金がないときには絶対にやってはいけないのです。
お金がないときにやりがちなこと④ギャンブル、リスクの高い投資
一か八か、ギャンブルに挑戦…というのは絶対にNGです。そう簡単にお金は増やせません。
そもそも、競馬とボートの還元率は約75%、パチンコは約85%と定められていますが、これは、競馬とボートは25%、パチンコは約15%が胴元の取り分で、その残りが参加者に分配されるということ。数値で考えると、1万円を賭けた場合、競馬なら2500円、パチンコなら1500円を平均的に失うということです。
また、宝くじやtoto(サッカーくじ)はパチンコなどのギャンブルとは別物と考えている人も少なくありませんが、これらもれっきとしたギャンブルです。しかも、還元率は宝くじが約46%、totoは約50%という驚きの低さなのです。こうして見ると、ギャンブルでお金を増やすのは至難の業であるのは一目瞭然。
そして、お金がないときに、レバレッジのある金融商品に手を出すのも危険です。例えば、株の信用取引、FX、仮想通貨(暗号資産)、オプションなどです。
レバレッジとは「てこ」のこと。金融商品のレバレッジとは、投資する金額の数倍、ときには数十倍の金額の取引ができるようにするしくみのことをいいます。
レバレッジをかけることで、少額でも大きな利益を上げる期待ができますが、同時に少額でも大きな損失を抱える可能性も生じることを忘れてはいけません。
例えば、株の信用取引では、金融機関に預けたお金の最大約3.3倍の取引ができます。また、FXではレバレッジをかけることで最大25倍の取引ができます。うまくいけば、通常の取引よりも効率よく利益を上げることができますが、もし失敗すれば、お金の追加(追証・おいしょう)を求められたり、一瞬でお金が吹き飛んでしまったりすることもありえるのです。
お金がないと、すぐに増やしたいという欲望に駆られます。それがリスクを取った投資につながります。リスクが高いとお金が増える可能性が増しますが、同時にお金を失う可能性も増します。タイミングを見計らっての一括投資をするのも危険です。
投資は余裕資金で始めることが鉄則。借金をしてまでギャンブルや投資するのはご法度です。楽してお金を稼ぐなんて夢のまた夢です。
お金がないときにやりがちなこと⑤ヤミ金融から融資を受ける
ヤミ金融は、貸金業の登録をしていなかったり、していても法外な利息などを要求してきたりする業者のこと。「審査なし」「ブラックOK」などと、いかにも簡単にお金が借りられそうな広告が多いのですが、一度借りると返済がとても大変になってしまいます。暴力的・脅迫的な取り立てを行ってくる場合もあります。
ですから、ヤミ金融には絶対に手を出してはいけません。万が一、被害にあっているならば、警察に相談しましょう。
お金がないときにやりがちなこと⑥闇バイト
近年社会問題化している「闇バイト」。SNSなどで「簡単なお仕事」「誰でも高収入」などという文言で人を誘い、申し込んできた人を犯罪行為に加担させるという手口です。
実際に申し込むと、秘匿性の高い通信アプリに案内されて個人情報を送るように促されるとのこと。言われるがままに送信してしまうと、特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺など)の現金や薬物などの受け渡し役にされたり、強盗や窃盗の実行犯にされたりしてしまいます。また、それらの犯罪への加担を拒否すると、今度は個人情報をもとに脅迫するという、極めて悪質なものになっています。 万が一闇バイトをしたとしても、報酬を支払うこともない場合が多いため、「使い捨て」になっているのが実情です。それどころか、闇バイトはれっきとした犯罪ですから、逮捕されて人生を台無しにしてしまう可能性も十分にあります。
似たものに「お金配り」もあります。SNSでフォローや「いいね」などをすることで高額なお金やポイント、ギフト券などがもらえるなどとして募集をしていますが、こちらも犯罪の温床です。「当選したお金をもらうには手数料がかかる」などとして手数料を奪い取られたり、伝えた口座情報を利用してさらなる大きな詐欺が行われたりするケースもあります。
少し考えれば、簡単なお仕事で誰でも高収入が得られるわけないことがわかるでしょう。「ホワイト案件」(犯罪ではない仕事)で検索したから大丈夫だと思った…というケースもあるようですが、そもそも「ブラック案件」で募集する仕事があるわけもありませんし、ホワイト案件とわざわざ書くのも不自然だと思うべきです。
ただ、お金がなくて切羽詰まっているときにこうした誘い文句を見ると、冷静な判断ができなくなり、ついひかれてしまうという人もいるのが実情なのでしょう。
しかし、こうした闇バイトでなんとかなることは絶対にありませんので、くれぐれも手を出さないようにしてください。
お金がないときにやりがちなこと⑦支払いや返済を滞納する
クレジットカードのNG行為のなかでもっともやってはいけないのは、支払いを滞納することです。貸したお金が返ってこないとなればカード会社も困りますし、文書や電話などで催促するにしても、余計な手間とコストがかかって面倒です。カード会社の信用も一気に失うことになります。
クレジットカードの支払いを滞納すると、クレジットカードは利用停止になります。また、支払いが遅れるほど遅延損害金が加算されるため、支払額が増えてしまいます。
つい1度2度、少しだけクレジットカードの支払いが遅れたという分にはまだ問題ありませんが、滞納が続くと、滞納履歴が信用情報機関に保存されます。支払い遅延の情報は5年、強制解約や破産の情報は5年または10年保存されるため、その間のクレジットカードの審査はもちろん、住宅ローンや車のローン、スマホの買い替えにも影響が出ることも考えられます。
滞納がわかった段階ですぐにカード会社に連絡して必要な手続きをする、あるいは督促状に沿って速やかに支払うようにしましょう。
今は、どうにかしてお金を手にしたいと思えば、簡単に手に入ってしまう世の中になっています。けれども、返す必要があるお金、運の要素が強いお金を、真の意味で「自分のお金」と呼ぶことはできません。安易にお金を手にした結果、身を滅ぼすことになりかねません。
自分のお金と呼べるお金を用意するためには、自分のお金をしっかりと貯蓄する仕組みを構築することが必要。「お金がないときに」というより、お金がなくなる前からお金を確実に貯蓄する仕組みを整えて、お金を確実に貯めていきましょう。
【関連記事もチェック】
・お金が貯まらない人の家のエントランス・駐車場に決まってある5つのもの
・貧乏な人の家になぜか大量にあるモノ5選
・障害年金は「がん」になったときにもらえるのは本当か
・厚生年金で絶対やってはいけない5つのこと
・絶対に手を出してはいけない「金融機関が儲かるだけ」の金融商品10選

頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍100冊、累計180万部超。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

この記事が気に入ったら
いいね!しよう