26/03/03
定年前後に申請するだけで、誰もが得する制度7選

定年は、働き方や収入が大きく変わる節目の時期かと思います。なかには、「定年退職した後の生活費は足りるのだろうか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
実は、定年前後に手続きすることで、給付金がもらえたり、税金の負担が減ったりする公的制度があります。今回は、申請するだけで得する制度や仕組みを7つご紹介します。知らないまま損をしないように、今のうちにしっかり制度を把握しておきましょう。
制度1:退職所得控除
退職所得控除は、退職金にかかる税金を減らすことができる制度です。「退職所得の受給に関する申告書」を記入して会社に提出することで控除を受けられます。
退職所得控除の控除額は、以下の式で計算します。
(1)勤続年数20年以下の場合 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
(2)勤続年数20年超えの場合、800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば、勤続年数25年で退職金2000万円の場合、(2)の式に当てはめて計算すると、退職所得控除は1150万円です。残りは850万円ですが、そのうち半分は非課税となります。したがって、2000万円のうち、税金がかかるのは425万円の部分に対してとなります。
退職所得控除を申請しなければ2000万円すべてに税金がかかってしまうため、手取りが大きく減ってしまいます。必ず申請するようにしましょう。
なお、(1)(2)の式からわかるように、退職所得控除は勤続年数が長ければ長いほど有利となります。退職所得控除の勤続年数は「年未満を切り上げ」なので、25年と1日働いた場合でも勤続年数を「26年」として計算できます。退職日を調整して少しでも勤続年数を増やすのがおすすめです。
制度2:失業給付
失業給付とは、会社を退職した人が再就職するまでの期間生活を支える給付金のことです。「失業手当」と呼ばれることもあります。失業給付をもらうには、ハローワークで失業認定を受ける必要があります。
失業給付は、65歳以上の場合「高年齢求職者給付金」に変わります。それぞれの1日に受給できる上限額と、支給できる日数(2025年8月以降)は以下のとおりです。
・失業給付(65歳未満)…1日の上限額7623円、支給日数が90~150日
・高年齢求職者給付金(65歳以上)…1日の上限額7255円、支給日数が30日または50日
1日の支給額も支給日数も、失業給付のほうが圧倒的に多いことがわかります。多く受け取りたいのであれば、65歳になる前に退職することをおすすめします。
制度3:ハロートレーニング
ハロートレーニングとは、希望の仕事に必要なスキルを習得するために無料で受講できる職業訓練のことです。大きく分けて「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があります。
公共職業訓練は、失業給付金を受け取っている人向けの制度です。受講料無料で、テキスト代のみで学ぶことができます。訓練期間中は失業保険の給付日数が延長され、さらに受講手当と通所手当(交通費)がもらえます。
求職者支援制度は、雇用保険が適用されない人向けの制度です。月10万円の生活支援給付金を受けながら、無料で職業訓練を受けることができます。ただし、月10万円を受け取るためには、本人や世帯の収入、金融資産などの条件を満たす必要があります。
公共職業訓練と求職者支援制度は、どちらもハローワークで申し込みを受け付けています。
制度4:健康保険の選択
退職するとこれまで会社で加入していた健康保険の資格を失うため、自分で新たに入る健康保険を以下の3つから選択しなければなりません。
(1)家族の扶養に入る
(2)任意継続制度を利用する
(3)国民健康保険に入る
家族の扶養に入ると、保険料負担ゼロで家族の会社の健康保険のサービスを受けられるため、最もお得です。ただし、扶養に入りたい人の年金含む見込み年収が180万円未満かつ、扶養する人の年収の半分以下である必要があります。
任意継続制度は、退職後も最大2年間、これまで勤務していた会社の健康保険に加入できるものです。任意継続制度を利用することで、これまでと同様に家族を扶養に入れることができ、同様のサービスを受けることができるというメリットがあります。デメリットは、保険料が2倍になることです。会社員のときは会社が保険料の半分を負担してくれましたが、退職すると負担してもらえなくなるため、自分で負担する必要があるのです。
国民健康保険は、都道府県と自治体が運営する自営業向けの健康保険です。保険料の計算方法は自治体によって異なるため、お住まいの自治体のホームページなどで確認してください。また、保険料は前年度の収入で計算されるため、退職後の1年間は負担が大きくなる可能性があります。また、国民健康保険には家族を扶養できる制度がないことにも注意が必要です。
任意継続制度の利用と国民健康保険のどちらがお得かは、一概にはいえません。扶養家族の有無や人数、お住まいの自治体、退職前の給与など、さまざまな条件によって異なるためです。任意継続保険は退職後20日以内、国民健康保険は退職後14日以内に手続きが必要となるため、自分にとってはどちらがお得になるか事前に考えておくことが大切です。
制度5:高年齢雇用継続給付金
高年齢雇用継続給付金とは、60歳を過ぎて引き続き同じ会社で再雇用されて働く場合に、60歳時点と比べて賃金が75%未満に減った場合に支給される給付金です。60歳以上65歳未満で雇用保険に入っており、雇用保険の被保険者期間が5年以上ある場合に受給できます
高年齢雇用継続給付金を受け取るには、60歳になったときに手続きが必要です。会社の総務や労務に問い合わせて、受給資格の確認手続きを行ってください。
なお、高年齢雇用継続給付金は、転職した場合でも、条件を満たせば給付できます。
制度6:年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金とは、年金が少なくて生活が苦しい人が安心して暮らせるよう、国が年金に上乗せして支給する給付金です。
受給できる要件は、65歳以上で老齢基礎年金を受け取っており、世帯全員が市町村民税非課税、なおかつ前年度の収入が90万9000円以下(1956年4月1日以前生まれの場合90万6700円以下)であることです。
給付額は物価変動に合わせて変動します。老齢年金生活者支援給付金の場合、2025年度の給付額は月額5450円が基準となっています。
受給できる条件を満たした対象者には日本年金機構から封筒が送られてきます。氏名や電話番号などの必要事項を記入してポストに投函することで、給付を受けることができます。
制度7:退職前に病院に行く
体に不調があれば、退職する前に病院を受診しておくことをおすすめします。
障害や死亡の原因となったケガや病気について初めて医師の診療を受けた日のことを、初診日といいます。初診日に会社員として厚生年金に加入していた人は、障害厚生年金を受けられます。一方、初診日に国民年金に加入していた人は、障害基礎年金を受給します。
なぜ退職前に病院に行くべきかというと、障害厚生年金と障害基礎年金を比較すると、障害厚生年金のほうが手厚い給付を受けられるためです。
例えば、障害厚生年金には3級がありますが、障害基礎年金には2級までしかありません。また、障害厚生年金では障害手当金を受け取れますが、障害基礎年金にはありません。条件を満たした場合は障害基礎年金と障害厚生年金を両方受け取ることができます。
申請したら得する公的制度は事前に利用条件を確認しよう
定年前後に利用できる制度やもらえる給付金などについて解説してきました。今回紹介した制度にはそれぞれ利用条件があり、誰でも使えるわけではありません。
どんな条件の時に対象となるのかを事前に把握しておくことで、あなたにとって最もお得な選択肢を取ることができるでしょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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