26/01/30
1971年4月1日生まれを境に「年金格差」…生年月日で異なる3つの年金制度

「1971年3月生まれと1971年4月生まれではもらえる年金額が異なる」と聞いたことはありませんか?生まれるタイミングはほとんど変わらないというのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
それは、日本の年金制度が時代に合わせて少しずつ改正されているためです。
今回は、このように生年月日によって年金額やもらい始める年齢が変わる例を3つご紹介します。
1971年4月1日以前生まれで大学に進学した人は国民年金が少ない
現在、国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入することになっています。大学生でまだ働いていないとしても、20歳になれば加入対象です。
ただし、1991年3月までは、大学生は任意加入の対象でした。20歳になっても、大学生のうちはまだ国民年金に加入する必要がなかったのです。そのため、当時は多くの大学生が国民年金に加入していませんでした。
国民年金は、20歳から60歳までの40年間保険料をすべて納めることで、満額を受給することができます。しかし、1991年3月以前に20歳になった人、つまり1971年3月以前に生まれた人のうち大学に進学した人の多くは、国民年金の加入期間が40年を満たしていません。そのため、1971年4月以降生まれの大学に進学した人と比べて、国民年金を満額もらえる人の割合が少ない傾向にあるのです。
なお、60歳以上で国民年金の納付期間が40年に満たない人は、65歳になるまでであれば任意加入が可能です。学生時代に国民年金に加入していなかった人は、任意加入することで国民年金を満額に近づけるのも選択肢の一つといえるでしょう。
特別支給の老齢厚生年金をもらえるのは男性1961年4月1日以前生まれ・女性1966年4月1日以前生まれ
かつて、厚生年金をもらえる年齢は60歳からでした。しかし、1985年に行われた法改正により、厚生年金の支給開始年齢が原則65歳に引き上げられました。
といっても、支給開始年齢を急に5歳も引き上げてしまうと、60歳からもらえるはずの年金がもらえず、多くの人々の生活が立ち行かなくなってしまうでしょう。そこで、生年月日に応じて、受給開始年齢を60歳から65歳まで段階的に引き上げていく仕組みが作られました。この仕組みを「特別支給の老齢厚生年金」といいます。
特別支給の老齢厚生年金をもらえるのは、男性は1961年(昭和36年)4月1日以前、女性は1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた人です。
特別支給の老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「定額部分」があります。
1941年(昭和16年)4月1日以前に生まれた男性と1946年(昭和21年)4月1日以前に生まれた女性は、報酬比例部分と定額部分のどちらも60歳から受給できます。1941年4月2日~1943年(昭和18年)4月1日生まれの男性と1946年4月2日~1948年(昭和23年)4月1日生まれの女性は、定額部分を受給できる年齢が61歳からに引き上げられます。
このように、2歳ずつ生年月日が若くなるごとに定額部分の受給開始年齢が1歳ずつ引き上げられていき、さらに若くなると報酬比例部分の受給開始年齢も1歳ずつ引き上げられていきます。
<特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢>

日本年金機構ホームページ「特別支給の老齢厚生年金」より
1966年4月1日以降生まれは振替加算がもらえない
「1966年4月1日以降生まれは振替加算がもらえない」という話を分かりやすく伝えるために、まず「加給年金」について解説します。
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入していた人が65歳になった時点で、扶養している年下の配偶者や18歳未満の子がいる場合に、もらえる年金が増える仕組みです。いわば、制度年金の家族手当のようなものといえるでしょう。
加給年金は、扶養している配偶者が65歳になり、自分で年金を受け取れるようになると支給が停止されます。しかし、1985年の法改正以前、専業主婦は国民年金への加入が義務ではなく任意とされていました。そのため、65歳になっても年金をもらえない、または非常に少額しかもらえない専業主婦が多く生じてしまいました。
加給年金の支給が停止し、専業主婦だった配偶者の年金が非常に少ないとなると、夫婦の生活水準が急に下がってしまうでしょう。そこで、配偶者が65歳になったタイミングで、厚生年金加入者についていた加給年金を、配偶者の国民年金に振り替えて上乗せで支給する仕組みがつくられました。これを「振替加算」といいます。
この振替加算は、あくまで専業主婦の国民年金加入が任意だった時代における、老後の年金不足を補うための制度です。現在は専業主婦も国民年金に強制加入することになっているため、振替加算は必要ありません。
そのため、1966年4月1日以降に生まれた人は、振替加算を受けることができないのです。
年金が対象外で慌てないよう、事前に制度をしっかり理解しておこう
特別支給の老齢厚生年金や振替加算など、生年月日によって異なる年金制度について解説してきました。場合によっては、わずか1歳違いの人がもらっていた年金を自分はもらえない、ということもありえます。
「受給できると思っていた年金が実は対象外だった!」と慌てることがないよう、事前に年金制度をしっかり理解しておくことが大切です。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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