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25/04/14

相続・税金・年金

障害年金は「がん」になったときにもらえるのは本当か

障害年金は「がん」になったときにもらえるのは本当か

一生のうちに「がん」に罹患する人の割合は、日本人の約2人に1人。医療技術等の進歩で今や「不治の病」ではないものの、がん患者の3~4人に1人は20歳から64歳といわれるなか、働き盛りの現役期に、日常生活や仕事に制限が及ぶリスクが全くないわけではありません。そこで今回は、そのようなリスクから身を守る障害年金が、がんでも支給されるかについて解説します。

障害年金の受給要件がわかる3つのキーワード

結論からいうと、障害年金はがんでも支給される場合があります。それを理解するために、まずは障害年金を受けるために欠かせない要件を確認しましょう。
障害年金は、次の3つの要件をすべて満たした場合にもらえる年金です。

●障害年金のキーワード(1):初診日要件

障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日を「初診日」と言います。初診日が国民年金の加入期間、あるいは20歳前や60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間にある場合、「障害基礎年金」が受給可能です。

厚生年金保険の加入期間に初診日がある場合にはさらに、単独もしくは障害基礎年金に上乗せする形で、「障害厚生年金」を受け取れます。したがって、退職前に健康診断や医師等による診察を受けておくことは、思わぬ備えになるかもしれません。

●障害年金のキーワード(2):障害認定日要件

障害年金の受給権が発生するのは、初診日から1年6ヶ月を過ぎた日あるいは1年6ヶ月以内にその病気やけがの症状が固定した日です。この障害認定日に障害等級(重い順に1~3級)に該当していれば、障害認定日の翌月分から障害年金が受給できます。なお、請求が遅れても、5年以内の分はさかのぼっての受給が可能です。

障害等級について、障害基礎年金が「日常生活能力」の制限に着目する1級または2級でなければ受給できないのに対して、障害厚生年金は「労働能力」の喪失に着目する3級でももらえるため、障害年金を受給できる可能性が高い点に注目しましょう。

<障害等級の考え方>

厚生労働省
「第5回社会保障審議会年金部会資料(2023年6月26日)」より筆者作成

●障害年金のキーワード(3):保険料納付要件

障害年金を受け取るためには、初診日の前日において、次の2つのいずれかの保険料の納付要件を満たしておかなければなりません。

①国民年金保険料の納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
②初診日において65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(初診日が2026年4月1日前の特例)

「障害年金がもらえない」3つの落とし穴をチェック

障害年金の受給要件を確実に満たすために、特に気を付けるべきポイントは次の3つです。

●障害年金の落とし穴(1):保険料の免除・猶予手続きを行っていなかった

障害年金の保険料納付要件は、国民年金保険料の未納がもたらす最悪の事態を表しています。経済的事情などで国民年金保険料を納めることができない場合には、免除もしくは納付猶予(学生納付特例を含む)の手続きをしておくことで、受け取れない事態が回避できることを覚えておきましょう。

<受給資格期間および老齢基礎年金額への反映(納付状況別)>

日本年金機構
「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」より筆者作成

●障害年金の落とし穴(2):65歳を迎える前に診察を受けていなかった

障害年金は、通常は加齢に伴って起こる「稼ぐ力を失うこと」が、早期に到来するリスクに対応するものです。したがって、障害認定日が65歳を迎えてから到来するケース等を除き、原則として老齢年金の受給権が発生する65歳の誕生日の2日前までに請求を行わなければなりません。65歳以降の初診日で受給ができるのは、65歳以降も年金制度に加入している場合のみです。

●障害年金の落とし穴(3):老齢年金の繰り上げ受給をしてしまっていた

障害認定日には障害等級に該当しなくても、65歳に到達する日の前日(65歳の誕生日の2日前)までにその症状が悪化した場合には、「事後重症による請求」の手続きを行うことで請求日から受給権が発生します。

<「事後重症による請求」のイメージ>

厚生労働省
「第5回社会保障審議会年金部会資料(2023年6月26日)」より

しかしながら、老齢年金の受給開始を60~64歳に繰り上げると、その時点で65歳になったとみなされ、「事後重症による請求」ができません。持病を抱えている人は特に、老齢年金の繰り上げ受給には慎重な検討が必要です。

障害年金はいくらもらえるのか?

障害年金の受給要件や留意点を理解したところで、実際にいくらもらえるのか気になりますよね。次の図で示す全体像に基づいて、5つのポイントを紹介します。

<支給される障害年金の額(2025年度)>

筆者作成

●障害年金受給のポイント(1):障害等級1級の額は2級の1.25倍

障害等級2級に該当する場合、保険料の納付期間等を問わず、障害基礎年金は老齢基礎年金の満額。障害厚生年金もまた、老齢厚生年金(報酬比例部分)と同じ計算式です。障害の程度がより重い1級の場合にはさらに、2級の1.25倍となる年金額が障害基礎年金および障害厚生年金ともに支給されます。

●障害年金受給のポイント(2):障害厚生年金の300月みなし計算

障害厚生年金は、厚生年金保険の加入期間や過去の報酬等によって決まりますが、加入期間が300月(25年)に満たない場合には、300月とみなして計算してくれる点に注目です。これは、20代や30代の若い人たちはもちろん、例えばパート先等で厚生年金保険に加入することになった50代の人にとっても大きなメリットと言えるでしょう。

●障害年金受給のポイント(3):厚生年金は「障害手当金」で受給の可能性大

厚生年金保険については、障害等級3級までの障害厚生年金のほかに、初診日から5年以内にその病気やけがの症状が治癒(固定)されていれば、報酬比例部分(3級障害厚生年金)の2年分が一時金として支給されます。労働に「著しい制限」を加える程度の障害等級3級と比べて、障害手当金はそれよりも軽い「制限」である点がポイントです。

●障害年金受給のポイント(4):障害基礎年金がない場合の最低保障額

障害等級3級に該当する場合、障害厚生年金は支給される一方で、障害基礎年金の支給はありません。そこで、支給額が極端に低くならないよう、2級障害基礎年金の4分の3の額(2025年度は623,800円)が最低保障額として定められています。したがって、3級障害厚生年金の2年分である障害手当金も、1,247,600円(623,800円×2)が2025年度の最低保障額となる形です。

●障害年金受給のポイント(5):65歳以降の受給方法は3パターン

非課税所得である障害年金には、所得税等がかかりません。65歳以降は、この税メリットや年金額等を踏まえて、「①老齢基礎年金+老齢厚生年金」、「②障害基礎年金+老齢厚生年金」、「③障害基礎年金+障害厚生年金」から有利な受給方法を選択することになります。ちなみに、老齢基礎年金と障害厚生年金の組み合わせによる受給はできません。

がんで障害年金がもらえるのは「本当」

障害年金の受給者数は、2022年度末時点で268.5万人。障害年金の対象は眼や聴覚、手足といった外形的な障害だけでなく、精神・知的障害、呼吸器や循環器といった身体内部の障害も対象です。がん等の悪性新生物についても、次のとおり認定基準が定められています。

<悪性新生物による障害の「認定基準」>

日本年金機構
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より筆者作成

●抗がん剤治療等の副作用による障害も対象に含まれる

この認定基準を補う「認定要領」によると、がんの障害の区分は次の3つ。例えば、抗がん剤治療や放射線治療等の副作用から生じる全身衰弱や機能障害も含まれうる点は、非常に心強いと言えるでしょう。

<悪性新生物による障害の区分>

ア 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害
イ 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
ウ 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害

●日常生活や就労への影響度合いは5段階で評価

がんの障害認定基準において最も重要な位置づけとされる、日常生活や就労への影響度合いについては、次の5段階(ア~オ)に基づいて医師による評価が行われる形です。

<悪性新生物による障害の「一般状態区分表」>

日本年金機構
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」より筆者作成

「認定要領」によると、著しい衰弱または障害によって常に介助と終身就床が強いられる「オ」の状態は、障害等級1級の程度に該当することが例示されています。
同様に、衰弱または障害で、屋外への外出等がほぼ不可能な「エ」の状態や、日中の50%は起居しているものの軽労働は困難な「ウ」の状態は、障害等級2級の例です。
さらに、著しい全身倦怠で、「ウ」や、軽労働や座業はできるものの肉体労働の制限を受ける「イ」の状態は、障害等級3級程度に該当する可能性が示されています。

●がんの障害年金に詳しい社会保険労務士にも相談してみよう

「新生物」の傷病で障害年金を受給している人の割合は、障害年金受給者全体の1%ながらも、がんに罹患した現役世代が、労働の制限に注目する3級障害厚生年金もしくは、障害手当金の受給要件に該当する可能性は十分に考えられるでしょう。つまり、初診日において厚生年金保険の被保険者かどうかは、がんで障害年金をもらうための特に大きな分かれ道になりそうです。

また、これまで紹介した判定基準等は例示にすぎません。実際には、組織所見やその悪性度、検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果、具体的な日常生活状況等に基づいて、総合的に判定が行われます。がんの場合には、客観的にはその症状や辛さ等がわかりにくいことからも、より確実な受給に向けて、障害年金の申請手続きに精通した社会保険労務士に相談してみるのもおすすめです。

障害年金で後悔しないための準備はもう始まっている

今回は、「がんで障害年金はもらえるのか?」という疑問に答えるべく、障害年金のしくみを解説しました。不慮のけがや病気を幅広くカバーする障害年金は、現役世代にとっても非常に心強い存在ですが、後悔しないための準備は発病・負傷する前から始まっています。
特に鍵を握るのは、障害年金をもらえる可能性を広げて手厚い保障へと導く「障害厚生年金」の存在です。配偶者等の扶養に留まるべきか、厚生年金保険に加入する働き方を選ぶべきかで悩んでいる人は、障害年金の違いにも注目してみてはいかがでしょうか。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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