25/06/17
60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上の年金額平均は?25年6月支給分からはどうなる

老齢年金の金額は、世代を超えた関心事です。現役世代にとっては、老後資金のマネープランに欠かせないものですし、実際に年金を受け取るシニア世代にとっては、毎月の家計にダイレクトな影響があります。
そこで今回は、各年代の平均年金月額を見ていきたいと思います。
そして、2025年度支給分の年金額についても、あわせて確認しましょう。
年齢別の年金受取額は?
厚生労働省によると、2023年度の全世代で見た老齢年金の受給金額の平均は、厚生年金で14万6429円、国民年金で5万7584円でした(厚生労働省「2023年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より)。
では、年代別ではどうでしょうか。
●60代は、厚生年金:13万2237円、国民年金:5万8834円
老齢年金は、本来65歳が受け取り開始年齢です。繰り上げ受給をすれば60歳から受け取ることも可能ですが、1カ月繰り上げるごとに0.4%減額されます。
そのため、60~64歳の年金受取金額は平均よりもかなり少なくなっていることがわかります。
<60代の年齢別年金受給額>

厚生労働省「2023年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
●70代は、厚生年金:14万6079円、国民年金:5万8018円
年金制度は2階建てと言われます。1階部分は国民年金、2階部分が厚生年金です。
国民年金保険料は収入に関わらず一定金額、そして、受取金額も一定です。
一方、厚生年金保険料は収入によって差があります。原則として収入が多いほど納める厚生年金保険料も多くなり、老後に受け取る年金額も多くなります。いわゆるバブル景気の時期に30代~40代だった世代は、給料も高かったのかもしれませんね。
<70代の年齢別年金受給額>

厚生労働省「2023年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
●80代は、厚生年金:15万8113円、国民年金:5万7160円
1階部分の国民年金は、国民年金保険料の納付月数によって金額が変わります。収入が少なくなったなどの場合には、国民年金保険料の納付免除の制度もありますが、将来の受取り金額が少なくなります。また、未納の場合も同様です。高齢になってから、年金額が少なくて困ることのないようにしたいですね。
一方、厚生年金の受け取り金額は前述のとおり収入によって変わります。さらに、2003年4月以降の加入月数については、年金額(比例報酬部分)の計算方法が変わる改正がありました。その時期に、すでに退職していた人が多い年代では、改正の影響が少なかったのかもしれません。
<80代の年齢別年金受給額>

厚生労働省「2023年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
●90代以上は、厚生年金:16万721円、国民年金:5万3621円
国民年金は、自営業や専業主婦(主夫)の人が加入します。なかでも、専業主婦(主夫)は第3号被保険者として、厚生年金に加入している配偶者の被扶養者としての加入です。
ただし、その制度ができたのは1986年4月。それまでの専業主婦(主夫)は、国民年金の加入は任意だったので、加入していなければ年金の金額には反映されません。
90歳以上であれば、その頃はすでに50代。加入期間が短いと、国民年金の受取金額も少なくなることがわかります。
一方、厚生年金の保険料は給与天引きのため、未納や加入漏れは基本的にほぼ防ぐことができます。しっかり受け取ることができる、ということでもあるようです。
<90歳以上の年齢別年金受給額>

厚生労働省「2023年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
2025年度分の年金は1.9%増
年金額は、毎年度見直しがされます。年金は老後の暮らしをささえる大切な収入ですから、物価の変動や、現役世代の賃金水準に応じて、年金額も変動します。
物価も賃金も上昇しており、結果として2025年度の年金は1.9%増です。
国民年金の満額は月額6万9308円と、前年より1308円増額しました。
また、厚生年金では、夫婦2人世帯で受け取る標準的な年金額は23万2784円と、前年より4412円増額です。
年金振込通知書は忘れずにチェック
年金額の増額は、6月に支給される年金から反映されます。6月に支給される年金は、4月分・5月分だからです。2025年の場合、年金支給日は6月13日(金)です。金融機関の口座振込で受け取っている場合、正しい金額が入金されたか、年金振込通知書で確認しておきましょう。
年金振込通知書には、毎年6月に、口座振込で受け取っている人に1年分(6月から翌年4月まで)の、毎回支払われる金額が記載されています。
口座の残高確認だけですませないで、しっかり確認し、もしも不明なことがあれば早めに問合せましょう。問合せ先は、年金事務所、街角の年金相談センター、ねんきんダイヤルです。
老後のくらしのため、年金は賢く受け取りたいですね。
【関連記事もチェック】
・厚生年金が一番多くもらえる「最高等級」の人は意外と多い
・年金「211万円の壁」超えると手取りが大きく減る
・【知らないと大損】ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない4つの年金と確認方法
・年金「211万円の壁」超えると手取りが大きく減る
・年金生活者に1月届く「公的年金等の源泉徴収票」絶対確認すべき3つのポイント

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

この記事が気に入ったら
いいね!しよう