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25/04/27

相続・税金・年金

年金「211万円の壁」超えると手取りが大きく減る

年金「211万円の壁」超えると手取りが大きく減る

パートやアルバイトで働く人にとっておなじみの「年収の壁」。年収の壁は、一定の年収を超えると社会保険料の負担が増え、手取りが減ってしまうラインのことを指します。「106万円の壁」や「130万円の壁」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

年収の壁は、65歳以上で年金を受け取っている夫婦世帯にも存在します。その金額が「211万円の壁」。年金だけで暮らしている人にも関わる、この見過ごせない年収の壁は、いったいどんな壁なのでしょうか。今回は、年金の年収の壁「211万円の壁」の正体と、超えたことで生じる不利を紹介します。

年金「211万円の壁」の計算方法

まずは、年金の211万円の壁について確認しましょう。なお今回は、夫婦2人世帯、どちらも65歳以上で公的年金をもらっている世帯という前提でお話しします。

年金211万円の壁の「211万円」とは、65歳以上のご夫婦2人だけで年金生活をしている場合に、「住民税がかからない世帯(非課税世帯)」になれるかどうかの目安となる金額のことです。

公的年金の収入は「雑所得」として所得税・住民税がかかります。税金を計算するときには、老後に受け取る公的年金収入から、自営業者でいう経費に該当する「公的年金等控除」を差し引きます。
公的年金控除の金額は、年金をもらう人の年齢や公的年金の収入金額によって区分されています。

<公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)>

国税庁のウェブサイトより

例えば、65歳以上の方の公的年金等の収入が110万円超330万円未満の場合、控除額は110万円となります。もし、1年間の公的年金等の総額が110万円までなら「110万円(公的年金)-110万円(公的年金控除)=0(雑所得額)」になります。

また、公的年金が110万円を超えても、市区町村の条例で定める「非課税限度額」以下であれば、住民税(所得割・均等割)が非課税になります。
非課税限度額を計算するときは、以下の計算式を使います。

・扶養なし:非課税限度額=45万円以下
・扶養あり:非課税限度額=(35万円×世帯人数)+31万円以下

なお、非課税限度額は住んでいる地域の「級地区分」によって異なります。級地区分というのは、物価が高い地域の順番で1級地・2級地・3級地と定められています。
お住まいの地域の級地は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。

次に、夫の年金収入が211万円、妻の年金収入が155万円の場合を例に、雑所得を計算してみましょう。

【夫の雑所得額の計算】

・211万円(公的年金)-110万円(公的年金控除)(ア)=101万円
・非課税限度額=(35万円×2人)+31万円=101万円(イ)
・211万円(公的年金)-110万円(ア)-101万円(イ)=0(雑所得)

【妻の雑所得額の計算】

・155万円(公的年金)-110万円(公的年金控除)(ウ)=45万円
・非課税限度額=45万円(エ)
・155万円(公的年金)-110万円(ウ)-45万円(エ)=0(雑所得)

これより、夫婦ともに「雑所得=0」となります。
夫と妻どちらも雑所得がゼロですので、ともに住民税非課税対象者であり、住民税非課税世帯となります。この場合、性別は関係ないため、夫と妻の年金額が逆でも同様に考えます。

なお、「年金の収入」と聞くと、国民年金や厚生年金、共済年金などを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、実はそれだけではありません。
たとえば、以下のようなものもすべて「年金収入」として合計されます。
・国民年金基金
・厚生年金基金
・確定拠出年金(企業型・個人型 iDeCo)
・小規模企業共済など
つまり、これらの制度から受け取っているお金もあわせて計算されるため、思っていたより年金収入の合計が多くなるケースもあります。結果的に「211万円の壁」を超えてしまう可能性もあるので、しっかり確認しておくことが大切です。

また、年金受給者の住民税非課税限度額の211万円は、お住いの地域により若干異なります。たとえば1級地にお住いの人の限度額は「211万円」ですが、2級地であれば限度額は「203万円」。3級地であれば限度額が「193万円」に変わりますので注意しましょう。

住民税非課税世帯になると健康保険料や介護保険料の負担が減る

年金収入が211万円の壁を超えないことで、住民税非課税世帯になった場合のメリットとしては、健康保険料や介護保険料の支払いが軽くなることが挙げられます。実際にどのくらい違うのか、2025年度の江戸川区の例で試算してみましょう。
なお、以下は2人世帯・夫婦ともに収入は公的年金のみという前提で計算しています。

【事例1】

・夫67歳:211万円・妻67歳:110万円の場合
・国民健康保険料:13万4800円
・介護保険料  :5万160円
・合計額    :18万4960円

【事例2】

・夫67歳:212万円、妻67歳:110万円の場合
・国民健康保険料:17万8900円
・介護保険料  :8万7840円
・合計額    :26万6740円
「江戸川区の国民健康保険料シミュレーション計算機」をもとに筆者作成

上記のケースの違いは、「夫の年金が1万円多いかどうか」だけです。それにもかかわらず、支払う健康保険料・介護保険料の合計に1年間で約8万円もの差が出ています。
年金収入がわずかに増えただけで、逆に手取りが約8万円も減ってしまうのです。つまり、「211万円の壁」をうっかり超えてしまうと、大きな損をしてしまう可能性もあることがわかります。

なお、今回ご紹介した試算はあくまでも江戸川区の場合です。お住まいの地域によって保険料の金額は異なりますので、詳しくはお近くの自治体窓口で確認してみてください

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住民税非課税世帯のメリット

住民税非課税世帯になると、上記のような社会保険料(国民健康保険料・介護保険料)以外に以下のメリットがあります。

●高額療養費の自己負担が減る

年齢を重ねると、入院や手術などで高額な医療費がかかることもあるでしょう。そんなときに助けになるのが「高額療養費制度」です。 この制度では、1ヶ月に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超えた分があとから払い戻されます。つまり、「自己負担には上限がある」という仕組みです。「住民税非課税世帯」であれば、この自己負担の上限が低く設定されています。
たとえば、同じように10万円の医療費がかかったとしても、
69歳以下の世帯で、現役並みの所得であれば、ひと月あたりの上限額は、5万7600円~8万100円+αが必要となりますが、住民税非課税世帯では3万5400円。住民税非課税世帯の方が戻ってくるお金(還付)が多くなります。

●高額介護サービス費の自己負担額が減る

年齢を重ねると、介護が必要になることがあります。介護保険を使って、デイサービスや訪問介護などのサービスを利用する場合、多くの人がその費用の一部を自己負担しています。この介護サービスの自己負担額にも「上限」があります。これは「高額介護サービス費制度」といい、1ヶ月に支払った介護サービス費がその上限を超えた場合、超えた分があとから払い戻される制度です。
この場合も現役並み所得者に相当する方がいる世帯であれば、ひと月あたりの上限額は4万4400円。住民税非課税世帯であれば2万4600円と、自己負担の上限額が低く設定されています。

●NHK受信料が免除(障害者がいる住民税非課税世帯が対象)

身体障害者、知的障害者、精神障害者がいる世帯で住民税非課税となっている世帯については、NHK受信料が全額免除になります。
以下の書類等を準備して、NHKの窓口で免除の申請をしましょう。

【必要なもの】

・申請書
・印鑑
・証明書類:住民票(世帯全員用)、市町村民税非課税証明書(世帯全員分)、手帳所持証明書(写し)または障害者手帳(写し)

●予防接種費用が免除

世帯員全員が住民税非課税の場合、インフルエンザ等の予防接種が免除されます。たとえば大阪市にお住いの方は、接種当日に医療機関の窓口で以下のものを提示(または提出)する必要があります。

【提示または提出するもの】

・介護保険決定通知書(保険料段階が第1から第4段階の方に限る)
・課税証明書及び住民票
自治体によって条件が異なるため、詳細は市区町村に確認してみましょう。

●介護施設での「食費と住まいの費用」が軽くなることも

将来、特別養護老人ホームなどの介護施設に入ることになった場合、「介護サービス費」だけでなく、食費や居住費(家賃のようなもの)も自己負担になります。これが意外と大きな負担になることもあります。
ですが、本人と同じ世帯の全員が住民税非課税で、預貯金などの資産が一定の基準以下であれば、これらの費用が軽くなる制度があります。これにより、食費や住居費に関する負担が大きく軽減されます。

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壁を超えて働くことも考えよう

今回は「年金収入211万円の壁」についてご紹介しました。確かに、住民税非課税世帯になると、保険料や医療費の負担が減ってお得になるケースがあります。だからといって、「この壁を越えないように」と収入を制限するのは、本末転倒になってしまうことも。

たとえば、少しだけ年金が増えたり、短時間の仕事をしたりすることで、生活に張りが出て、交友関係が広がるなど、金額では計れないメリットもたくさんあります。
また、今後この「211万円の壁」の基準が見直される可能性もゼロではありません。制度が変われば、これまで非課税だった人が課税対象になることもあり得ます。

だからこそ、「壁を越えるかどうか」だけでなく、「自分らしく生活するにはどのくらいの収入があれば安心できるか」という視点で、将来設計を考えていくことが大切です。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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