25/06/30
毎年6月の住民税が高い4つの理由 2025年は特に高い?

6月に受取った給与の金額を見て、「先月より少ない?」と思った人は多いかもしれません。
基本給や残業などの手当が5月までと変わらないのに、受け取る手取り金額が少なくなったら驚いてしまいますよね。
この原因は、住民税です。新年度の住民税は6月からなので、5月までの給料から天引きされる住民税より高くなっていることが多いのです。
今回は、毎年6月の住民税が高い3つの理由と、2025年6月限定のもう1つの理由をお伝えします。
住民税のしくみ
住民税は、前年の所得に対してかかります。
2024年のことで言うと、2024年1月~12月の収入から計算して、課税される所得が確定すると、住民税が決定します。
その住民税は2025年6月~2026年5月まで、ほぼ月割りにして毎月の給料から差し引かれる形で納税することになります。
では、6月からの住民税が高くなってしまうのはどうしてなのでしょうか。考えられる理由は、大きく分けて3つあります。
2025年6月の住民税が高い理由1:前年1年間の所得が増えた
2025年6月の住民税が高い理由としてまず考えられることは、2024年1月~12月の所得が、2023年よりも増えた、ということです。2025年6月から住民税が増えた人は、2024年中に昇進や転職などで収入がアップしたのではないでしょうか?
住民税の税率は、所得の10%。所得が増えれば、その分住民税が増えるのも当然です。
忘れた頃に住民税がアップするのは、住民税の計算期間のスケジュールのためなのです。
2025年6月の住民税が高い理由2:所得控除が減った
もし、2024年の所得が増えたわけではない、という場合には、所得控除が減ったからかもしれません。住民税を計算する時には、収入からいろいろな所得控除を差し引いて、課税される所得を計算します。
収入-所得控除=所得
所得×税率(10%)=住民税
つまり同じ収入でも、所得控除が少ないと課税される所得が増えて、税金も増えてしまいます。
たとえば、生命保険を見直して保険料が減っていたら、所得控除のひとつ、生命保険料控除が減ります。
子どもが独立して扶養家族が減れば、扶養控除も減ります。
このような状況の変化でも、税金は影響を受けます。
2025年6月の住民税が高い理由3:端数の調整
2024年の所得が増えたり、所得控除が減ったりしなくても、6月の住民税が高くなっていることがあります。それは、月割りにした住民税の端数の調整が6月でなされるからです。
毎月の給料から差し引かれる住民税の金額は「年間の住民税÷12」です。
割り切れなかった端数は6月に上乗せされるので、6月だけ高くなってしまいます。
たとえば、年間の住民税が20万円だとしたら、6月だけ1万7400円、7月から翌年5月までの11か月は1万6600円です。
2025年6月の住民税が高い理由4:定額減税が終わった
2025年の住民税に限っては、6月に高い理由はもうひとつあります。
それは、2024年度に実施されていた定額減税が5月で終了したからです。
2024年度の定額減税は、住民税からはひとり1万円の減税でした。
扶養している家族についても、ひとり1万円だったので、配偶者と子ども1人、合計2人の扶養家族がいたら、自身の分も含めて3万円の減税があったということです。
この減税分を引いた住民税を、2024年7月~2025年5月の11カ月に分けて納税していました。そのため2025年6月の住民税が、前月よりも増えたと感じる人が多いのではないかと思われます。
そもそも、2024年度の定額減税は生活必需品やエネルギー価格が上がったことに応じるための、家計支援策でした。
しかし、物価高は2025年度になっても続いており、家計に厳しい状態です。
今後の物価高対策に期待したいところです。
住民税の税額決定通知書でしっかり確認を
さて、住民税の金額は、6月の給与に先立って受け取る「税額決定通知書(住民税決定通知書)」により確認することができます。
税額決定通知書には、2024年の所得額や、所得控除の金額も記載されています。これとともに6月から翌年5月までの住民税も載っていますので、今後の予定もわかります。住民税の金額が高すぎると感じる場合はもちろん、それ以外でも、税額決定通知書はしっかり確認しましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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