26/06/08
月1万円・20年が176万円の差。定期預金・財形・NISA・iDeCo…インフレ時代の「お金の置き場所」最適解

家計を管理して「今月も黒字でよかった」と、収支で残ったお金を、何も考えず銀行口座に預けたままにしていませんか?お金の置き場を変えるだけで、資産の増え方が変わる可能性があります。今回は5つの方法で毎月1万円ずつ積み立てた場合、どのように増え方が異なるのかを紹介します。
5つの積み立て先により、20年後には約176万円の差
定期預金・個人向け国債・NISA・iDeCo・財形貯蓄の5つの積み立て先にそれぞれ毎月1万円、20年にわたって積み立てたとします。下の表で示すそれぞれの条件を満たして積み立てができた場合、元本の240万円は次のように増える計算です。
<積み立て先と資産額の推移>

筆者作成
定期預金では元本の240万円が20年後に約263万円と、約23万円増えています。もしもNISAを利用して年4%で積み立てられたら、20年後は約367万円になる計算。定期預金と約104万円の差が生まれる可能性があります。
さらに、所得税・住民税の節税ができるiDeCoの場合は、税金の還付(20年で72万円)を加えて考えると439万円に。20年後に定期預金と約176万円の差が生まれる可能性があります。
5つの積み立て先の特徴は?
5つの積み立て先の特徴を確認しておきましょう。
●定期預金
銀行預金は、1000万円まで元本が保証されているという安全が魅力の商品です。定期預金は期間を決めて預ける預金。期間が決まっている分金利が普通預金よりも高く設定されています。毎月一定額(今回の例では1万円)ずつ積み立てる「積立定期預金」もあります。
●個人向け国債
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券です。商品タイプは、金利が半年ごとに見直される変動10年、発行時の利率が満期まで変わらない固定5年、固定3年の3種類があります。今回のシミュレーションでは固定5年を積み立てる場合で計算をしました。
個人向け国債は毎月発行されており、最低1万円から1万円単位で購入できます。発行後1年が経つまでは途中換金ができないため、拘束力が定期預金より強い分、金利が定期預金より高いケースがほとんどです。中途換金時には直前2回分の利子相当額をもとにした調整額が差し引かれる(ただし、元本割れはしない)ため、途中で引き出す必要がない金額で購入するといいでしょう。
●NISA
NISAは投資で得た利益が非課税になる制度です。年間投資枠は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、非課税保有限度額は最大1800万円です。
NISAで取り扱われる株式や投資信託は、預金や国債と違って元本保証はなく、運用成績によっては積み立てた金額を下回る可能性があります。一方で、長期・積立・分散投資を続けることで、時間を味方につけた資産形成が期待できます。
年利回りを4%で計算をした場合、5年で約6万円、10年で約27万円、15年で約66万円、20年で127万円利益を生む可能性があり、長期で積み立てると、複利効果で利回りが大きくなることが分かります。
利回りの高い投資信託で運用を行う場合は、シミュレーションよりも高い資産額になる場合もありますが、利回りが高い商品とは値段の振れ幅が大きい商品のため、値下がりの可能性も高くなるため、リスクとリターンのバランスを考えることが重要です。
また、引き出したいときに引き出したい分だけ売却することで、換金することが可能です。売却をした約定日から数日後の受け渡し日に換金されるため、現金が必要で引き出すときは、数日前に売却の手続きを行いましょう。
●iDeCo
iDeCoは、老後資金づくりを目的とした私的年金制度です。自分で掛金を出し、自分で運用商品を選び、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取ります。公的年金に上乗せする制度という位置づけで、加入、掛金の拠出、運用を自分で行う点が特徴です。
最大の魅力は税制優遇です。掛金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税で再投資されます。そのため、NISAの非課税効果に追加し、所得税・住民税の還付効果も見込めるため、資産を効率的に増やすことができます。
なお、iDeCoでは初回の口座開設時の手数料、毎月の国民年金基金連合会と証券会社への手数料、引き出し手数料と、運用コストが発生します。手数料と税金の還付金額が見合うかどうかも含めて、拠出額を検討しましょう。
●財形貯蓄
財形貯蓄は、勤務先を通じて給与天引きで積み立てる制度です。財形貯蓄には、使い道が自由な一般財形貯蓄、老後資金づくりを目的とする財形年金貯蓄、住宅取得や増改築を目的とする財形住宅貯蓄の3種類があります。金利は定期預金と大きく変わりませんが、自分で毎月振り込む必要がないため、貯蓄が苦手な人でも「先取り貯蓄」を続けやすいのが特徴です。
税制面では、一般財形に非課税措置はありませんが、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、両方を合わせて元本550万円まで利子等が非課税となります。また、財形住宅貯蓄を活用していると、低金利でのローン借入が可能になります。
ただし、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、契約時に55歳未満である勤労者が対象。目的外利用や中途解約をした場合は非課税の対象外となり、過去5年分の利息への課税が発生する点には注意が必要です。
目的に合わせて積み立てる場所を考えよう
積み立てによって資産がどの程度増えるかは、積み立てる場所により異なります。元本保証のない投資のほうが増える可能性がありますが、「何が何でも利益の最大化を」と現金の割合を限りなく減らして投資をすると、元本割れしたときに困ることになりかねません。また、実際にはお金を使う予定があるのに長期間引き出せないところにお金を預けてしまうとお金が使えなくなってしまいます。
大切なのは「そのお金を何のために使いたいか」を考えて金融商品を選ぶことです。単なる「資産の最大化」ではなく、「夢を叶えるための資産の最適化」を考えてみてくださいね。
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金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)
学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。
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