26/07/22
【年代別の影響額】金利1.0%に引き上げで、住宅ローンの借り入れ負担はどう変わる?

日本銀行が利上げを2026年6月に決めたことで、政策金利は31年ぶりの水準の1.0%になりました。この利上げによって、家計や企業経営にはプラスとマイナスの両面の影響が出てきます。
今回は、みずほ総合研究所のレポート(「日銀利上げ影響の試算アップデート」2026年6月)を参考に、政策金利が0.75%から1.0%に上昇した場合の家計への影響を見ていきます。
デフレから金利のある世界へ
政策金利とは、各国の中央銀行が決める金利のことです。日本では年8回開催する日銀金融決定会合において、物価の安定を目的として政策金利を決定します。日銀は経済の状況に応じて金利をコントロールすることで経済全体の調整を行っています。政策金利が過去1.0%だったのは、1995年4月から同年9月までの期間です。1995年といえば阪神大震災が起き、不良債権を抱えた金融機関の破綻が増えた年でした。
その後、長期間にわたってデフレが続き、ゼロ金利やマイナス金利が続いていましたが、2024年3月にマイナス金利を解除し、徐々に金利は引き上げられ、2026年6月の会合で1%への追加利上げが決まりました。
金利が上昇することによって、預金金利が高くなり資産が増えるメリットがあります。一方、住宅ローンを組む場合などは金利負担が大きくなるのがデメリットです。政策金利が1.0%に上昇することによって、家計にどのような影響があるのでしょうか。
利上げの影響は2人以上の世帯全体では年間プラス
みずほ総合研究所のレポートでは、政策金利が0.75%から1.0%に利上げされた場合、各種金利が次のように上昇すると試算されています。
・10年国債 2.34% → 2.86%
・普通預金金利 0.25% → 0.35%
・定期預金金利(10年) 1.57% → 2.18%
・住宅ローン金利(変動) 0.95% → 1.20%
・住宅ローン金利(固定) 2.36% → 3.34%
政策金利が1%になることによる家計への影響について、2人以上の世帯全体の平均をみると、定期預金や普通預金の利子収入が増えて住宅ローンの利払いが増えるため、1世帯あたりの年間収入は差し引き平均2万円のプラスになるとみられています。
<1%への利上げによる家計への影響(二人以上世帯全体の平均、年齢別)>

みずほ経済EXPRESS「日銀利上げ影響の試算アップデート」より
しかし、年代別に見ると定期預金などの金融資産を多く持つ高齢者ほど利子収入が大きくなっていることがわかります。大手銀行では、2026年8月3日から普通預金が0.1%ポイント上がって0.4%になると報道されています。20代~40代といった若年~中年世帯では、利子収入の増加よりも住宅ローンの利払いの増加の影響が上回っている様子がわかります。
<家計の収支(二人以上世帯)>

みずほ経済EXPRESS「日銀利上げ影響の試算アップデート」より筆者作成
負債保有世帯では利上げのデメリットが大きい
同様のデータを住宅ローンなどの負債を保有する世帯に絞ってみると、年間収入は1世帯あたり平均▲1万2000円という結果になっています。特に20歳代で▲4万1000円、30歳代で▲3万8000円とマイナスの幅が大きく、住宅ローン残高が多い世代の家計では利上げのマイナスの影響が大きくなります。
<1%への利上げによる家計への影響(二人以上世帯のうち負債保有世帯の平均、年齢別)>

みずほ経済EXPRESS「日銀利上げ影響の試算アップデート」より
<家計の収支(二人以上負債保有世帯)>

みずほ経済EXPRESS「日銀利上げ影響の試算アップデート」より筆者作成
政策金利1%は「通過点」
近年では住宅資材や人件費の高騰で、住宅価格が値上がりを続けています。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」では、目先の金利の低さから75%の方が変動型の金利タイプを利用しています。
変動金利型の金利は、短期金利が基準となり、日銀の政策金利の影響を受けます。試算においては、変動金利型は0.95%から1.20%へと0.25%ポイント上昇すると見込んでいます。上で紹介したとおり、この金利上昇が4万円程度の支出の増加につながると試算されていますが、変動金利型の住宅ローンは、今後も政策金利が上昇すればさらに返済額が増える可能性があります。
また、これから住宅を求めようとする場合には、固定金利型で住宅ローンを借り入れる世帯においても、金利が2.36%から3.34%程度に上昇すると考えられるため、金利上昇の負担が大きくなります。
さらに、住宅ローン以外にも、有利子の奨学金や教育ローン、自動車ローンといったお金を借りることについては、金利上昇局面では不利に働きます。いつ頃まで利上げが続くのか、どれくらいの水準まで金利が高くなるのかは読みにくいものです。住宅以外にも子どもさんに教育費がかかる現役世代においては、利上げの影響はマイナスに働きます。
政策金利1.0%は通過点に過ぎません。今後さらなる金利の上昇が予想されます。今後の金利動向には敏感になるとともに、金利が動く前提でライフプランを考えることが重要です。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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