25/06/25
6月支給分から年金増額!2025年度ライフスタイル別の年金受給額はいくら?

新年度は4月始まりですが、住民税や国民健康保険料の納付など、6月から始まるものもあります。公的年金の振込金額もそのひとつ。年金額は4月から改定されるのですが、実際に振り込まれる金額に反映されるのは6月からです。
なぜなら、年金は後払いだから。
年金は偶数月の15日(土日祝の場合はその前の平日)にその前々月・前月分の2か月分が後払いで支払われます。4・5月分は6月に振り込まれ、6・7月分は8月に・・・というシステム。そのため、6月の年金の振込金額から年金額が変わるのです。
今回は、2025年度の年金額をライフコース別に見ていきましょう。
2025年度の年金は1.9%引き上げ
2025年4月からの国民年金支給額は、満額で月6万9308円。
ただし、1956年4月1日以前生まれの方は満額で月6万9108円です。
2025年度の年金額は、2024年度より1.9%引き上げられました。
年金額は、毎年見直されます。
見直しの指標は、「物価変動率」と「名目手取り賃金変動率」の2つです。
年金額の改定は、社会の変化と切り離せません。物価の動向や、現役世代の賃金水準の動きを反映させることで、一定の水準を確保できるようにしています。
「多様なライフコースに応じた年金額」とは?
さて、2025年度の年金改定の際には、厚生労働省から「多様なライフコースに応じた年金額」も発表されました。多様なライフコースに応じた年金額は、家族形態やライフスタイルが変化するなかで、将来もらえる年金額をイメージしやすくするために発表されたもの。言わば、年金額のシミュレーションです。順番に見てきましょう。
●①会社員など、厚生年金に加入していた期間が20年以上の男性
2024年度:170,223円
2025年度:173,457円 (基礎年金:68,671円、厚生年金:104,786円)
※平均厚生年金期間:39.8年 平均収入:50.9万円
大学を卒業して就職、その後定年退職まで会社員を続けていたような男性の場合です。
平均収入(賞与含む月額換算)が50.9万円ですから、比較的安定した収入を得ていたと考えられるでしょう。
2025年度の年金は、17万3457円。住宅ローンの支払いなどが残っていると厳しいかもしれませんが、再雇用などで働いてさらに年金を増やすことを検討してもよいかもしれません。
●②自営業など、国民年金に加入していた期間が20年以上の男性
2024年度:61,188円
2025年度:62,344円(基礎年金:48,008円、厚生年金:14,335円)
※平均厚生年金期間:7.6年 平均収入:36.4万円
新卒で就職、30歳前後で退職して独立したような男性の場合です。
厚生年金に加入していた時の平均収入は36.4万円ですから、厚生年金分はどうしても少なくなります。
2025年度の年金は、6万2344円です。現役時代の老後の蓄えは、計画的に使っていきたいですね。年金収入だけに頼らないマネープランを作りたいところです。
●③会社員など、厚生年金に加入していた期間が20年以上の女性
2024年度:129,654円
2025年度:132,117円(基礎年金:70,566円、厚生年金:61,551円)
※平均厚生年金期間:33.4年 平均収入:35.6万円
新卒で就職、出産・育児で退職、その後再就職して厚生年金に加入して、全部で33.4年の加入期間がある、といった女性の場合です。再就職しても、時短勤務などの期間があると収入は伸び悩み、平均収入は35.6万円です。
2025年度の年金は、13万2117円。老後のマネープランは家族の状況にも影響されやすいものです。数パターン考えておくと、いざという時に慌てず対処できるでしょう。
●④自営業など、国民年金に加入していた期間が20年以上の女性
2024年度:59,509 円
2025年度:60,636 円 (基礎年金:52,151円、厚生年金:8,485円)
※平均厚生年金期間:6.5年 平均収入:25.1万円
新卒で就職、その後退職して自営業として働いた女性とも考えられます。また、退職後は自営業の夫と暮らし、夫婦で国民年金に加入していた女性かもしれません。
2025年度の年金は、6万636円です。現役時代に貯蓄ができているとよいのですが、そうではない場合には、厚生年金に加入できるパート先を探してもいいかもしれません。
厚生年金に加入すると、年金額を増やすことができます。また、パートでも厚生年金の加入対象になる勤務先は増えています。
基本的に70歳までは加入できますから、健康と時間が許せば検討してもいいですね。
●⑤専業主婦など、国民年金に加入していた期間が20年以上の女性
2024年度:75,379 円
2025年度:76,810 円 (基礎年金:67,754円、厚生年金:9,056円)
※平均厚生年金期間:6.7 年 平均収入:26.3 万円
新卒で就職、その後退職して、会社員や公務員の男性と結婚、被扶養者として国民年金の第3号被保険者の期間が20年以上、というような女性の場合です。
2025年度の年金は7万6810円。①の夫の年金と合計すれば、世帯とすれば月あたり25万267円ですが、男女の平均寿命には約6年差があります。
女性のほうが長生きなので、たとえ夫に先立たれたとしても経済的に困らないようにしておくことは、大切な老後のマネープランでしょう。
年金増額の実感はどこまで?
2025年の年金は1.9%の増額なので、どのようなライフコースでも2024年より増えています。
しかし、実は増額とはいっても、年金額は物価や手取り賃金程には受けていません。
物価は2.7%アップ、名目手取り賃金は2.3%のアップでした。それに対して年金は1.9%アップなので、年金が増額とはいっても実質的には減ってしまっているということ。増額したからといって、ゆとりが増えたとは言えないようです。
年金だけで生活するのは難しい時代ですから、老後資金を準備する、年金を多くもらえるようにする、コツコツと資産運用してお金を増やすなどして、老後に備えておきたいですね。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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