26/05/02
ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない5つの年金と確認方法

毎年、誕生月に届くねんきん定期便(年金定期便)には、これまでの年金の加入記録のほか、老後にもらえる年金の見込額などが書かれています。年金は老後の収入の柱ですから、その金額を把握して、どんな暮らしをしていくかを考えることが大切です。
しかし、将来もらえる年金のなかには、ねんきん定期便(年金定期便)には書かれていない年金も。せっかくもらえる年金なのに「知らなかった」「気づかなかった」と申請しなければ、いつまでももらえませんので注意が必要です。
今回は、ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない5つの年金を紹介します。
ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない年金(1)加給年金
年の差夫婦の場合、条件を満たすと「加給年金」を受け取れます。加給年金とは、厚生年金の被保険者が65歳になった時点で、扶養している配偶者や子がいる場合に加算される年金のことで、「年金の家族手当」とも呼ばれます。
加給年金の対象となるのは、以下の条件を満たす人です。
(1)厚生年金の被保険者期間が20年以上ある
(2)65歳になった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳になる年度末まで(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)の子がいる
この条件を満たせば、夫婦のどちらが年上でも加給年金をもらうことができるのですが、ねんきん定期便(年金定期便)には書かれていません。
2026年度の加給年金の金額は、次のようになっています。
・配偶者…24万3800円+特別加算17万9900円=年42万3700円
(特別加算は1943年4月2日以後生まれの場合の金額)
・1人目・2人目の子…各23万9300円
・3人目以降の子…各7万9800円
たとえば、65歳の夫(妻)に5歳年下の妻(夫)がいるならば、加給年金によって夫(妻)の厚生年金が5年間で約211万円増えます。
ただし、加給年金は受け取れなくなる場合もあります。具体的には、
・配偶者の年収が850万円(所得655万5000円)以上の場合
・配偶者が厚生年金に20年以上加入していて、老齢厚生年金・特別支給の老齢厚
生年金を受給する場合
・障害年金を受給する場合
・老齢厚生年金を繰り上げ受給する場合(加給年金がもらえるのは65歳から)
・老齢厚生年金を繰り下げ受給する場合
などが該当します。
特に老齢厚生年金を繰り下げ受給する場合に加給年金がもらえなくなる点には要注意。加給年金は欲しいけれど年金の繰り下げもしたいならば、老齢基礎年金だけ繰り下げるのも一案です。老齢基礎年金を繰り下げていても、老齢厚生年金を繰り下げていなければ、加給年金は停止されません。
自分も加給年金がもらえるかもしれないと思ったら、年金事務所や年金相談センターに確認してみましょう。
ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない年金(2)振替加算
夫(妻)の加給年金の対象になっている妻(夫)が65歳になると、加給年金が打ち切られます。このとき、妻(夫)が老齢基礎年金を受けられる場合に、妻(夫)の老齢基礎年金に加算が行われます。これが振替加算です。
振替加算の対象となるのは、次の条件を満たす人です。
(1)1926年(大正15年)4月2日から1966年(昭和41年)4月1日までの間に生まれていること
(2)配偶者が老齢基礎年金の他に老齢厚生年金や退職共済年金を受給できる場合、厚生年金保険などの加入期間が20年(240か月)未満であること
(3)配偶者の共済組合等の加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の(夫は40歳以降の)加入期間が15年〜19年未満(生年月日により異なる)
振替加算の金額は年齢が若くなるごとに減っていきます。2026年時点で59歳〜64歳の女性が受給できる金額は年間で1万6335円です。1966年(昭和41年)4月2日以後生まれの人はゼロになります。
振替加算は、対象になった際に自動的に加給年金から切り替わりますので、とくに手続きは不要です。対象にもかかわらず振替加算が行われていない場合は、年金事務所に相談してみましょう。
ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない年金(3)私的年金
公的年金の上乗せ部分を作る私的年金の年金額もねんきん定期便(年金定期便)には記載されません。
具体的には、
・iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
・企業型DC(企業型確定拠出年金)
・確定給付企業年金(DB)
・国民年金基金
・厚生年金基金(代行部分以外)
などがあります。厚生年金基金は代行部分と呼ばれる部分はねんきん定期便(年金定期便)の老齢厚生年金の金額に含まれていますが、それ以外は含まれていません。
公的年金に加えて私的年金がもらえれば老後の収入が充実しますが、これらも請求しなければもらえません。加入している制度の運営者に問い合わせてもれなく請求するようにしましょう。
ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない年金(4)60歳以降の年金
50歳以上のねんきん定期便(年金定期便)には、60歳まで同じ条件で年金に加入していた場合に65歳からもらえる「老齢年金の見込額」が記されています。一方、厚生年金の加入年齢の上限は70歳ですので、60歳以降も働いた場合には、年金額が増えます。厚生年金に加入して働いていれば、61歳以降のねんきん定期便(年金定期便)の年金額は毎年増えていきます。
60歳以降働くことで増える年金の金額は、ねんきん定期便(年金定期便)の二次元コードをスマホなどで読み取ることでアクセスできる「公的年金シミュレーター」で簡単に試算できます。
公的年金シミュレーターは2026年4月にアップデートが行われ、iDeCoや障害年金の試算もできるようになっていますので、ぜひ活用しましょう。「ねんきんネット」でもシミュレーションが可能です。
ねんきん定期便(年金定期便)に載っていない年金(5)記録ミスによる年金
2007年(平成19年)に発生した「年金記録問題」では、公的年金ごとに異なる番号で管理していた年金番号を「基礎年金番号」というひとつの番号に統合したときに、基礎年金番号と統合されていない持ち主不明の年金記録が約5095万件も見つかりました。年金記録の解明作業が進められていますが、2025年9月時点で解明された記録は3435万件。なおも1660万件もの年金記録の持ち主がわからない状況です。
年金記録の漏れや誤りが多くみられる人は「転職が多かった人」「結婚・離婚で姓の変更があった人」「名前の漢字の読み方が複数ある人」などです。日本年金機構のウェブサイトによると、
・若い頃に勤めていた記録が見つかった:年額98万円から234万円に増加
・結婚前の旧姓の記録が見つかった:年額43万円から154万円に増加
・名前の読み方が誤って登録されていた記録が見つかった:年額0円から137万円に増加
という具合に、年金額が大きく増えた例が紹介されています。
ねんきん定期便(年金定期便)に記載がないからといって、それが正しいとは限りません。いつどんな年金に加入していたか、記録の漏れや誤りがないかを確かめましょう。
ねんきんネットでは名前・生年月日・住所を入力して「持ち主不明記録」を検索することができます。現在の情報だけでなく、旧姓や別の名前の読みなどで検索し、自分の年金がないかを探しましょう。
消えた年金記録が見つかった場合、時効に関係なく受け取ることができますが、年金が増えた結果税金や社会保険料が増えることがあることを押さえておきましょう。
ねんきん定期便(年金定期便)を過信しないことが大切
ねんきん定期便(年金定期便)は、将来の年金額を知るために役立ちますが、記載されていない年金があったり、記録に漏れや誤りがあったりする可能性があります。正しく申請することで年金額に大きな違いが出てくる可能性がありますので、ぜひチェックしておきましょう。
頼藤 太希 経済評論家・マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。日経CNBCコメンテーター。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保のアフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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