26/04/16
【知らないと大損】失業給付と高年齢求職者給付金、もらえる金額が全然違う

「失業給付」(雇用保険の基本手当)は、仕事を退職した人が、次の仕事を探している間にもらえる給付金です。この失業給付、65歳以降になると「高年齢求職者給付金」に変わるのですが、高年齢求職者給付金は、失業給付よりもらえる金額が少なくなります。今回は、失業給付と高年齢求職者給付金の仕組みを確認し、失業給付と高年齢求職者給付金でもらえる金額がどのくらい違うのかを紹介します。
失業給付と高年齢求職者給付金
雇用保険に加入している人が離職すると、一定期間、失業給付(雇用保険の基本手当)がもらえます。これと同じように、65歳以上で雇用保険に加入している人(高年齢被保険者)が離職し、「失業の状態」となった場合にもらえる給付金が高年齢求職者給付金です。高年齢求職者給付金は、65歳以降の失業給付のようなものです。
「失業の状態」と認められるには、
(1)積極的に就職したいという意思がある
(2)いつでも就職できる能力・環境がある
(3)積極的に仕事を探しているが、就職していない
という条件を満たす必要があります。
ですから、たとえば
・家事や家業をするため就職できない
・再就職が決まっている
・病気などで今すぐ働けない
・定年退職後、しばらく休養する
といった場合には、失業給付も高年齢求職者給付金ももらえません。
また、失業給付の場合、「離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間(加入期間)が12か月以上」あることが必要(自己都合以外の退職の場合は「離職日以前1年間に雇用保険の被保険者期間が6か月以上」)。高年齢求職者給付金の場合は、「離職日以前1年間に雇用保険の被保険者期間が6か月以上」あることが必要です。
高年齢求職者給付金のほうがもらえる条件が軽くなっています。
失業給付と高年齢求職者給付金、もらえる金額は?
失業給付と高年齢求職者給付金の金額は、退職前6か月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、所定の給付率をかけた金額(基本手当日額)です。この金額が後で紹介する給付日数分もらえます。
<基本手当日額の計算方法(2025年8月1日〜)>

厚生労働省の資料より
2025年8月からの場合、失業給付の基本手当日額の下限は2411円です。上限は年齢によって異なり、7065円から8635円となっています。65歳以上の方が高年齢求職者給付金を受給する場合には、「離職時の年齢が29歳以下」のところを参照します。なお、基本手当日額は毎年8月に改定されます。
給付日数は失業給付の場合90日〜150日、高年齢求職者給付金の場合30日または50日。離職前の雇用保険の加入期間によって日数が決まります。
毎月の賃金が30万円(賃金日額1万円)で、64歳で退職(自己都合退職)した人と、65歳で退職した人がいたとします。ともに雇用保険には20年以上加入していたとして、基本手当日額と失業給付・高年齢求職者給付金の給付金額合計を計算すると、次のようになります。
●64歳で退職(失業給付)
・基本手当日額…10000×0.05+4720=5220円の方が低いので、5220円
・給付金額…5220円×150日=78万3000円
●65歳で退職(高年齢求職者給付金)
・基本手当日額…10000×0.8−0.3×((10000-5340)/7800)×10000=6207円
・給付金額…6207円×50日=31万350円
64歳で退職すると失業給付が78万3000円もらえるのに対し、65歳で退職すると高年齢求職者給付金が31万350円と、失業給付の半分以下になってしまいます。このことをもって、「64歳11か月での退職がお得」といわれることもあります。
たしかに、退職後にもらえる失業給付を増やすという観点でみればそのとおりですが、会社の規定によっては退職金や賞与の金額が減ってしまうこともありますので、事前に確認してどちらが得なのかを見極めることをおすすめします。
高年齢求職者給付金にもメリットがある
65歳を迎えると、以後は失業給付ではなく高年齢求職者給付金しか選べません。では、高年齢求職者給付金は不利かというと、そうではありません。高年齢求職者給付金にもメリットはあります。
●高年齢求職者給付金は失業の認定が1回で済む
失業給付をもらう場合は、4週間に1度ハローワークに行き、失業の状態であることを認定してもらう必要があります。しかし、高年齢求職者給付金は一時金なので、失業の認定も1回で済みます。
●高年齢求職者給付金はまとめてもらえる
高年齢求職者給付金は、30日または50日分を一時金でまとめてもらえます。それに対して、失業給付は28日(4週間)分ずつもらえます。
●高年齢求職者給付金は年金と一緒にもらえる
高年齢求職者給付金は年金と一緒にもらうことができます。一方、失業給付は年金と一緒にもらうことができません。失業給付をもらうと、繰り上げ受給した老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金など、65歳までの間にもらえる年金は支給停止になります。
高年齢求職者給付金は、失業給付に比べて給付日数が少ないことは少々残念かもしれません。しかし、一時金でまとまった額がもらえる、年金と一緒にもらえるなど、求職中の収入を補うのに役立つ制度といえます。
失業給付・高年齢求職者給付金の手続きはどうする?
失業給付・高年齢求職者給付金の手続きは、最寄りのハローワークで行います。手続きする際には、次のものを持っていきましょう。
・離職票-1、離職票-2
・マイナンバーカード
(マイナンバーカードがない場合(1)(2)を持参)
(1)個人番号確認書類(いずれか1種類)
(2)通知カード、個人番号の記載のある住民票
・身元確認書類((1)から1種類、または(2)から2種類)
(1)運転免許証、官公署が発行した身分証明書など
(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
・写真1枚(最近の写真縦3.0cm×横2.4cmの本人写真)
・本人名義の預貯金通帳またはキャッシュカード
ハローワークで求職の申込みを行い、離職票を提出し、必要書類を提示します
65歳で定年退職した場合、手続き後、7日間の待機期間を経て高年齢求職者給付金が受け取れます。64歳で自己都合退職した場合は、さらに原則1か月の「給付制限」を経てからとなります。
なお、2025年4月より、離職期間中や離職日前1年以内に自ら就職に役立つ教育訓練を行った場合、給付制限が解除されるようになりました。ただし、過去5年以内に2回を超える自己都合退職を行なった場合は、給付制限が3か月になります。
給付制限期間が終わったあと、ハローワークが指定した日に出向き、失業の状態が確認されると、失業給付が受け取れます。
失業給付も高年齢求職者給付金も、手続きを忘れずに
失業給付も高年齢求職者給付金も、受給できる期限は原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れるなどして1年を過ぎてしまえばもらえなくなりますし、失業給付の場合は給付日数が残っていたとしても1年経過後にはもらえなくなってしまいます。次の仕事を探すという観点からも、お早めに、忘れずに手続きするようにしましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャルプランナー(AFP)。住宅ローンアドバイザー。教員免許も保有。趣味はランニング。
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