26/05/26
【知らないと損】60歳・65歳ですべき6つの年金の手続き

60歳・65歳が近づくと、「年金はいつから、いくらもらえるのか」が気になるもの。しかし、年金は何もせずに自動的にもらえるものではありません。手続きを忘れると、もらえなくなってしまうこともあります。そうなることを防ぐために、今回は、60歳・65歳の節目で特に確認しておきたい6つの年金の手続きを紹介します。
(1)国民年金の任意加入(60歳)
国民年金の加入期間は20歳から60歳までの40年間(480か月)です。国民年金保険料を納めていない月があると、65歳からもらえる老齢基礎年金が減ってしまいます。
国民年金の加入期間が40年間に満たない場合には、任意加入ができます。任意加入では、60歳~65歳までの5年間、自分で国民年金保険料を支払うことで、国民年金の加入期間を増やし、老齢基礎年金の金額を増やすことができます。国民年金保険料を1年分納めれば、老齢基礎年金の金額は年約2.1万円増えます。
しかし、任意加入の手続きができるのは60歳の誕生日の前日からで、さかのぼって加入することはできません。任意加入しようと思っていたのに手続きを忘れてしまうと、老齢基礎年金を増やすことができなくなってしまいます。
任意加入の手続きは、お住まいの自治体の役所の国民年金担当窓口で行います。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」などで国民年金の加入期間を確認しましょう。もし40年に満たないようであれば、任意加入を検討してみましょう。
なお、60歳以降も厚生年金に加入して働く人は、任意加入はできませんが、厚生年金からの加算(経過的加算)があります。
(2)付加年金(60歳)
付加年金は、国民年金保険料に月400円プラスして付加保険料を支払うと、老齢基礎年金の金額が「200円×付加保険料納付月数」分増える制度です。60歳~65歳までの5年間付加年金に加入すると、2万4000円の付加保険料で老齢基礎年金が年1万2000円増やせます。年金を2年以上受け取ると元が取れるお得な制度です。
付加年金は、国民年金に任意加入している期間も利用できます。気づかず手続きしないでいると、年金を増やすチャンスを逃すことになってしまいます。
付加年金の手続きも、お住まいの市区町村役場で行います。申し込んだ月分からの納付になるので、利用するなら早めに手続きしましょう。
(3)iDeCo・企業型DC(60歳)
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)・企業型DC(企業型確定拠出年金)は、どちらも掛金を自分で運用して、その成果を60歳以降に受け取る制度です。iDeCoや企業型DCは、60歳から75歳までの間に「一時金」「年金」「一時金と年金(併用)」のどれかの方法で受け取ることができます。
請求を忘れるともらえないのはもちろんなのですが、もうひとつ注意点があります。それは、退職金と同じ年にiDeCo・企業型DCの一時金を受け取ると税金が増えてしまうことです。税金を計算するときに用いる「退職所得控除」は、勤続年数か加入期間のどちらか長い方をもとに計算します。そのため、退職金やiDeCo・企業型DCの金額によっては、退職所得控除が少なくなったりなくなったりして、税金が増えてしまうのです。
退職金の受け取りの翌年以降にiDeCo・企業型DCを一時金で受け取ると、同じ年に受け取るよりも税負担を抑えられるケースがありますので、ぜひ検討しましょう。
(4)特別支給の老齢厚生年金(60代前半)
年金が受け取れるのは原則65歳からですが、厚生年金に1年以上加入していた
・1961年4月1日以前生まれの男性
・1966年4月1日以前生まれの女性
は、65歳より前に「特別支給の老齢厚生年金」がもらえます。
特別支給の老齢厚生年金をもらうには、手続きが必要です。受給開始年齢の3か月前になると、日本年金機構から年金請求書などが届きますので、必要事項を記入して年金事務所に提出します。
特別支給の老齢厚生年金の手続きをしないでいても、意味がありません。受給開始年齢から5年で時効を迎え、もらえなくなってしまいます。特別支給の老齢厚生年金は繰り下げても金額は増えません。ですから、特別支給の老齢厚生年金がもらえるならばすぐに手続きをしましょう。
なお、「特別支給の老齢厚生年金をもらっていたから、自動的に65歳の年金も始まる」と思っている人もいますが、65歳時点で改めて手続きが必要です。
(5)年金の繰り上げ・繰り下げ(60歳・65歳)
年金の受け取り開始は原則65歳ですが、60~64歳で受給する「繰り上げ受給」、66~75歳で受給する「繰り下げ受給」を選択することもできます。
繰り上げ受給は、1か月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減少し、60歳から受給する場合は受給率が76%(24%減額)となります。
繰り下げ受給は、1か月繰り下げるごとに0.7%ずつ受給率が増加し、75歳から受給する場合は受給率が184%(84%増額)となります。
年金を繰り上げる場合でも繰り下げる場合でも、年金の受給を始めるときには手続きが必要です。
繰り上げ受給をする場合は、65歳までの繰り上げ受給を希望する時期にお近くの年金事務所・街角の年金相談センターに行き、必要書類を提出します。
繰り下げ受給をする場合も同様で、66歳から75歳までの繰り下げ受給を希望する時期に必要書類を提出します。65歳の誕生日の3か月ほど前に届く年金請求書は出さないように注意しましょう。出すと65歳から年金受給が始まってしまいます。
年金をもらい始めると、途中で受給率を変更することはできませんので、いつからいくらもらえるようにするのか、よく検討して決めるようにしましょう。
(6)加給年金(65歳)
加給年金は、厚生年金に加入している方が65歳になったときに、その方が扶養する配偶者や子どもがいるときにもらえる年金です。年金の「家族手当」とも呼ばれます。
加給年金の対象になるのは、
(1)厚生年金の被保険者期間が20年以上ある
(2)65歳になった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳になる年度末まで(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)の子がいる
という条件を満たす人です。この条件を満たせば、夫婦のどちらが年上でも加給年金をもらえます。しかし、そもそもねんきん定期便に書かれていないため、忘れがちです。
2026年度の加給年金の金額は、
・配偶者…24万3800円+特別加算17万9900円=年42万3700円
(特別加算は1943年4月2日以後生まれの場合の金額)
・1人目・2人目の子…各23万9300円
・3人目以降の子…各7万9800円
と、配偶者の場合は年42万円にもなります。該当する場合は、年金事務所または街角の年金相談センターで手続きしましょう。
もらえる年金は忘れずにもらおう
年金の制度は複雑ですが、知らなければそもそも手続きができませんし、知っていても手続きしなければもらえません。もらえる年金を調べて、対象ならば忘れずに手続きを行いましょう。
【関連記事もチェック】
・「ねんきん定期便見たら数十万円増額」年金額が急増した驚きの理由
・年金「211万円の壁」超えてしまうと手取りが大きく減る
・年金手取り額「月20万円」もらえる人の現役時代の年収はいくらなのか
・年金生活者に1月届く「公的年金等の源泉徴収票」、絶対見るべき3つのポイント
・年金収入のみの場合、所得税・住民税がかからないのはいくらまでか?
畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャルプランナー(AFP)。住宅ローンアドバイザー。教員免許も保有。趣味はランニング。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
























