25/12/15
申請しないともらえなくなる「年金」5選

老齢年金は受給開始年齢が近づくと年金請求書が届くので、たいていはもらい忘れることがありません。しかし、公的年金制度の中には、ねんきん定期便(年金定期便)に掲載されていない年金や、申請しないともらえなくなる年金があります。今回は、申請しないともらえない5つの年金について解説します。
申請しないともらえない年金がある
年金といえば老齢年金を連想する人が多いと思いますが、老齢年金については毎年誕生月になると日本年金機構から年金の見込額などが記載されている「ねんきん定期便(年金定期便)」が届きます。また、受給開始年齢になる3ヵ月前には自治体から「年金請求書」が届くので、その提出さえ忘れなければ老齢年金をもらうことができます。
注意したいのは、ねんきん定期便(年金定期便)に記載されていない年金がある点です。老齢年金の他にも、申請すればもらえる年金があります。ここでは、申請しないともらえない年金を5つご紹介します。
申請しないともらえない年金(1):加給年金
厚生年金に20年以上加入した人が65歳になったとき、年下の配偶者や18歳未満の子(または障害等級1、2級の20歳未満の子)を扶養している場合、「加給年金」をもらうことができます。配偶者の場合、受給額は下記の通りです、
・加給年金23万9300円+特別加算額17万6600円=41万5900円(2025年度の場合)
ただし、加給年金をもらうには申請が必要です。受給するときは「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」に必要書類を添えて、年金事務所または年金相談センターへ提出しましょう。
申請しないともらえない年金(2):振替加算
加給年金の対象だった配偶者が65歳になると、加給年金の支給は打ち切りになりますが、配偶者の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。
支給額は誕生日により決まっており、昭和2年4月1日生まれまでの受給額23万8600円(年額)を筆頭に段階的に減額され、昭和41年4月1日までの配偶者は1万6033円(年額)となります。昭和41年4月2日以降の人への支給はありません。
振替加算をもらうための手続きは、年金を請求するときの「裁定請求書」に必要事項を記入すればよいのですが、配偶者が65歳になった後に夫の厚生年金の加入期間が20年以上になった場合、振替加算をもらうため、夫が「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当書」を年金事務所または年金相談センターへ提出する必要があります。
申請しないともらえない年金(3):年金生活者支援給付金
年金収入とその他の所得の合計が基準額以下になる場合、老齢年金や障害年金、遺族年金に上乗せされるのが「年金生活者支援給付金」です。
たとえば老齢年金の場合、年金収入とその他の所得の合計が80万6700円以下の場合、老齢年金生活者支援給付金を、また、80万6700円を超え90万6700円以下である場合は補足的老齢年金生活者支援給付金をもらうことができます。支給額は月額5450円を基準に、保険料納付済期間や免除期間により変わります。
年金生活者支援給付金をもらうには申請が必要です。65歳になる3ヵ月前に届く年金請求書に同封されている「年金生活者支援給付金請求書」を老齢基礎年金の請求書とともに年金事務所または年金相談センターへ提出しましょう。また、老齢基礎年金を受給中の人で年金生活者支援給付金の対象となる人にはハガキ型の年金生活者支援給付金請求書が届くので、必要事項を記入し郵送しましょう。
申請しないともらえない年金(4):未支給年金
亡くなった人が受け取れなかった「未支給年金」は、手続きをすれば生計を同じくしていた三親等内の遺族が代わりにもらうことができます。そもそも年金は後払いのしくみになっており、偶数月に前月分と前々月分が支払われます。また、年金は亡くなった月の分までもらえるので、たとえば11月に亡くなった場合、10月分と11月分の支給は12月です。そのため12月に支給される年金は遺族が受け取れます。
ただし、未支給年金を受け取るときは手続きが必要です。「年金受給権者死亡届(報告書)」を必要書類とともに年金事務所などへ提出します。受給していた年金の種類によっては届け出先が異なるので、事前に役所へ確認しましょう。
申請しないともらえない年金(5):年金分割
離婚して一定の条件を満たす場合、婚姻期間中の厚生年金記録を分割し自分の年金にする「年金分割」が可能です。
年金分割には2種類の方法があります。1つは、当事者間の合意があれば婚姻期間中の厚生年金記録を分割できる「合意分割制度」です。もう1つは、国民年金の第3号被保険者が請求すれば、平成20年4月1日以後の婚姻期間における相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分割できる「3号分割制度」です。
どちらの制度も手続きが必要です。離婚した日の翌日から2年以内に「標準報酬改定請求書」など必要書類を年金事務所または年金相談センターへ提出しましょう。
「申請せずもらえなかった」のないように手続きを
そもそも老齢年金をはじめ遺族年金や障害年金も受け取るには請求手続きが必要です。また、老齢年金はねんきん定期便(年金定期便)が届くので周知されていますが、老齢年金に関連する年金の中には、今回ご紹介したように申請しないともらえないものもあるので注意が必要です。請求忘れをなくすためにも、どのような年金制度があるのか正しい情報を知り、自分が対象になるときは忘れずに手続きをしましょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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