26/02/10
失業給付と再就職手当、どっちが得なのか

退職後、前職から休みなく次の会社に転職する人もいれば、ゆっくりと転職活動を行う人もいます。休みなく転職をした場合は収入が途切れませんが、転職活動を行う場合は一時的に収入が途切れる可能性があります。
こんなときに活用できるのが、在職中に加入していた雇用保険です。
退職後、雇用保険から受け取れる給付には、失業中に受け取る「失業給付」と、失業給付期間内に再就職を行った場合に受け取れる「再就職手当」の2つがあります。今回は、失業給付すべて受け取ってから再就職をする場合と、給付期間内に再就職手当を受け取って就職をする場合ではどちらが得かを見ていきます。
失業給付の特徴
失業給付は、雇用保険に加入して働いている人が失業したときに受け取れる給付です。正確には「雇用保険の基本手当」といいます。具体的には、次の条件を満たす人がもらえます。
・離職の日以前の2年間に雇用保険の加入期間が12カ月以上あること
・就職の意思があり、働ける状態であること
・65歳未満であること
失業給付の金額は、「基本手当日額×所定給付日数」で計算します。
基本手当日額は、離職した日の直前6か月の賃金を180で割った「賃金日額」のおよそ50~80%(60~64歳は45~80%)です。
所定給付日数は、離職理由や雇用保険の加入期間、年齢によって異なります。自己都合の退職の場合は90日~最長150日間受け取れます。
再就職手当の特徴
再就職手当は、失業給付がもらえる人が早期に再就職した場合に受け取れる手当です。早く再就職することを促すために用意されています。
再就職手当は、再就職時点で所定給付日数の3分の1以上が残っていることが受給の条件です。失業給付の支給残日数により給付率が異なり、
・所定給付日数の2/3以上残っている場合、支給残日数×70%
・所定給付日数の1/3以上残っている場合、支給残日数×60%
となっています。
また、再就職手当をもらうには、次のような条件も満たす必要があります。
・雇用保険の被保険者になることが条件の雇用であること
・1年以上の雇用が見込まれる職場であること
・前職の会社やグループ企業に再就職していないこと
・受給資格決定前に内定していないこと
・過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当をもらっていないこと
失業給付と再就職手当、どちらがお得?
では、失業給付と再就職手当でもらえる金額がどう変わるかを、いくつかのパターンで見てみましょう。ここでは、「基本手当日額:6000円」「所定給付日数:90日」「60歳未満」の人と仮定します。
●(1)失業給付のみ受給した場合
失業給付…6000円×90日=54万円
●(2)所定給付日数を60日(2/3以上)残して再就職した場合
失業給付…6000円×30日=18万円
再就職手当(支給率70%)…6000 円× 0.7 × 60日=25万2000円
合計…43万2000円
●(3)所定給付日数を40日(1/3以上)残して再就職した場合
失業給付…6000円×50日=30万円
再就職手当(支給率60%)…6000円 × 0.6 × 40日=14万4000円
合計…44万4000円
失業給付と再就職手当の給付パターンを比較してみると、(1)の失業給付のみを受け取った場合が、一番受給額が高いことがわかります。
シミュレーションだけでは見えないポイント
雇用保険から受け取れる給付金だけでみると、失業給付をもらい続ける方がお得に感じますが、必ずしもそうとは限りません。早期の再就職にはメリットもあります。
●(1)再就職後の収入
失業給付と再就職手当の受け取り総額を比較すると、失業給付の方がお得に見えます。しかし次の職場の収入が前職よりも高い場合、生涯収入が増える可能性があります。早く就職するほど勤続年数が長くなり、昇進や昇給のタイミングが早まることもあります。
また、自己都合退職の場合は原則として待期期間後の1か月間は失業給付を受け取れませんが、1か月以内に職業紹介事業者の紹介で就職をした場合は、再就職手当を受け取れます。
●(2)社会保険料の支出
失業後、前職の健康保険を任意継続したり、国民健康保険に加入したりするケースが多いと思います。その場合、これまで会社が負担していた分の保険料も支払う必要があったり、国民健康保険の社会保険料の方が割高になったりすることがあるため、保険料の支出が増えます。
早期に再就職を行うと、入社先の社会保険に加入できおおよそ半分の額は会社が負担してくれるため、保険料の支出を抑えられます。
また、老後の年金も国民年金より厚生年金の方が将来受け取れる年金額が増える可能性が高いことも、早期就職のメリットといえるでしょう。
●(3)就業促進定着手当を受け取れるケースも
再就職手当を受け取り、前職の賃金よりも低い場合、以下の条件を満たせば就業促進定着手当も受け取れる場合もあります。
・再就職手当を受給していること。
・再就職先で6か月以上、引き続いて雇用されていること。
・再就職後6か月間の賃金が、前職の賃金日額より低いこと。
就業促進定着手当を受け取るために、前職より給与の低い職場を探す必要はありませんが、「自分がこれからやりたい仕事のできる会社だけれども給与が前職より低い」という場合に利用できる制度として覚えておきましょう。
給付額だけでなく、自分の人生プランにあった選択をしよう
失業給付はすべて受け取ったほうが「雇用保険から受け取れる金額」は多くなるでしょう。一方で、失業給付期間に再就職をすることで収入が安定したり、社会保険料の負担が軽減されたりするメリットもあります。
就職活動は企業の募集のタイミングと、入社したいと思うタイミングが一致することで叶う、ご縁の要素も強いものです。希望する職種が、失業保険の給付期間が終了するまで残っているとも限りません。職場の風土が合い、条件面でも納得のいく企業を見つけたら、失業給付に囚われて再就職を先延ばしする必要はありません。就職を決める覚悟を持って、積極的に探していきましょう。
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金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)
学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。
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