25/03/14
個人向け国債と新窓販国債、どっちを購入するのがいい?金利が高いのは「新窓販国債」

日銀は2025年1月に追加利上げを行いました。政策金利が0.5%となるのは2008年10月以来、約17年ぶりです。日本が「金利ある世界」に一歩踏み出したことで、個人向け国債や新窓販国債の発行額が増えているそうです。
今回は、個人向け国債と新窓販国債の特徴を知り、活用法を考えていきます。
国債が人気の背景
個人向け国債の2024年の販売額は4兆円あまりで、2023年とくらべて約15%増えているそうです。「国債」というと、国の赤字国債を連想しますが、一般的に国債が資産管理や資産運用の一手段という意識はまだ薄いかもしれません。日銀が2024年3月にゼロ金利政策を解除して以来、段々と金利が上昇しているので、今までの資産運用の意識もアップデートしていかなければなりません。
日銀は利上げするとともに国債の買入額を減らす方針で、今後は幅広い売り先を確保していくことになります。個人向け国債は、販売先を個人に限定していますが、財務省は販売先を非営利の法人、マンションの管理組合などにも広げていく想定をしています。
個人向け国債の特徴
個人向け国債は、販売先を個人に限定した国債で、1万円から購入でき、元本割れしないことを特徴としています。個人向け国債は毎月発行されていて、証券会社、銀行、郵便局などの窓口やネットで購入できます。国が発行しているので安全性が高く、種類は変動金利型の「変動10年」と固定金利型の「固定5年」と「固定3年」の3種類があります。「変動10年」は満期が10年ですが、半年ごとに適用する金利が変わります。
個人向け国債の最低金利は0.05%(年率)が保証されており、半年毎に利子が受け取れます。利子を計算するもとになる基準金利は直近の債券平均落札利回りなどによって異なり、毎月変わります。適用利率の算式は以下のようになっています。
・変動10年 基準金利×0.66
・固定5年 基準金利-0.05%
・固定3年 基準金利-0.03%
利上げの影響を受けて2024年からじわじわと基準金利が上昇しています。その影響で、個人向け国債の適用利率も上昇しています。
<個人向け国債の適用利率の推移>

財務省のHPをもとに筆者作成
大手銀行の普通預金金利が年0.2%程度ということを考えると、個人向け国債の適用利率が高いことがわかるでしょう。
なお、個人向け国債は1年以内の中途解約ができません。中途換金は額面1万円単位で可能ですが、直前2回分の利子相当額が差し引かれます。
新窓販国債の特徴
新窓販国債は、個人向け国債と並んで個人で購入できる国債で、法人やマンション管理組合なども購入することができます。固定金利10年、固定金利5年、固定金利2年の3種類があります。新窓販国債も毎月発行されていますが、購入単位が5万円単位になっています。
新窓販国債の金利は直近の入札により発行した国債と同じになっており、半年毎に受け取れます。満期まで持つと額面が償還されます。また、中途換金は市場でいつでも売却が可能ですが、金利上昇時は損失が、金利低下時には利益が出る可能性があり、元本割れのリスクがあることに注意が必要です。金利変動や市場環境によっては、売却が困難になることもあります。
新窓販国債の応募者利回りの推移を見てみましょう。応募者利回りとは、新発債を発行日に購入して償還日(満期)まで保有した場合の年当たりの利回りをいいます。
<新窓販国債の応募者利回りの推移>

財務省のHPをもとに筆者作成
個人向け国債と同様に、新窓販国債の応募者利回りも上昇しています。
全体的には、新窓販国債の方が元本割れのリスクがあるので、個人向け国債より高い利回りになっています。より安全性を重視する場合には、個人向け国債を選ぶとよいでしょう。
<個人向け国債と新窓販国債>

財務省のHPをもとに筆者作成
資産運用のおすすめはどれ?
金利ある世界のなか、日銀の利上げの動向が気になるところです。日銀は今後も利上げを続ける方針ですが、今後の追加利上げの方針について植田日銀総裁は「ペースやタイミングは経済・金融情勢次第で予断は持っていない」としています(2025年1月会合)。
このように今後は金利が上昇することが予想されるので、資産運用の観点では金利が半年ごとに見直しされる変動10年がおすすめです。金利が上昇すれば、その分もらえる金額も多くなります。元本割れのリスクがないので、定期預金の延長と考えて差し支えありません。
「資産運用は株式が中心」とおっしゃる方には、株式との組み合わせで値動きを緩やかにするために、新窓販国債を取り入れる方法もあります。
一般的に株式が上がる時には債券価格が下がり、株式が下がる時には債券価格が上がる特徴があります。株式相場では価格が2~3%動くことも珍しくありませんが、債券はそれほど大きく動きません。値動きの異なる資産に分散投資することで、リスクを抑える期待ができます。米大統領がトランプ氏で、今後の政治運営が見通せないだけに、資産運用の守りに国債を組み入れるという考え方です。
資産運用は大きく増やすばかりではなく、相場が下げた時に大きく損を食らわないことも大切です。個人向け国債や新窓販国債といった商品を知って、資産運用の幅を広げるのも良いのではないでしょうか。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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