25/12/26
「月1万円以内」で年金の上乗せをつくる5つの方法

老後資金の不足が気になるものの、「毎月まとまった金額を積み立てる余裕がない」と感じる方も多いのではないでしょうか。実は、月1万円以内の積み立てでも将来の年金をしっかり上乗せできる制度はいくつも存在します。今回は、月1万円以内で利用できる年金上乗せの方法を5つ紹介します。
月1万円以内で年金の上乗せをつくる方法(1)付加年金
国民年金に加入している自営業・フリーランス、学生などの方が利用できる制度が「付加年金」です。月々たった400円の付加保険料を追加で納めるだけで、将来受け取る老齢基礎年金に上乗せできる仕組みです。
付加年金が注目される理由は、その回収率の高さにあります。付加保険料を納めると、年金受給時に「200円 × 納付月数」が上乗せされます。たとえば、10年間(120か月)納めた場合、負担は4万8000円ですが、将来は「2万4000円」が毎年上乗せされ、一生涯受け取れます。わずか2年で元が取れる計算で、非常に効率のよい制度です。
付加保険料も国民年金保険料と同様に全額社会保険料控除の対象となり、節税効果が得られます。
月1万円以内で年金の上乗せをつくる方法(2)国民年金基金
自営業・フリーランスの方が老後の年金を手厚くしたいときに利用できるのが「国民年金基金」です。国民年金基金に加入することで、老齢基礎年金に加え、終身で受け取れる上乗せ年金を準備できます。
国民年金基金はプランを選んで加入する仕組みで、掛金は年齢や性別、選ぶプランによって変わります。加入年齢が若いほど掛金が安く、20代であれば月1万円以内の掛金におさまるプランもあります。
国民年金基金に払った掛金は全額社会保険料控除となり、節税しながら老後資金を準備できる点もメリットです。
月1万円以内で年金の上乗せをつくる方法(3)小規模企業共済
「小規模企業共済」は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などが加入できる退職金制度です。毎月掛金を積み立て、退職・廃業時などに資金を受け取れます。
掛金は月1000円〜7万円の範囲で自由に設定できるため、退職金制度のない個人事業主などでも、月1万円以内の負担で退職金づくりが可能です。
掛金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象となり、節税しながら確実に老後資金を積み立てられる制度として非常に優れています。
月1万円以内で年金の上乗せをつくる方法(4)iDeCo
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、月5000円から始められる、節税と資産運用の両方に強みを持つ制度です。月1万円以内でも、将来の年金に上乗せする資金を計画的に準備できます。
iDeCoの掛金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、所得税・住民税の負担を軽減できます。さらに、運用益が非課税で再投資されるため、長期間積み立てるほど効果が大きくなる仕組みです。
iDeCoの掛金は途中で増減が可能なため、最初は月5000円から無理なく始め、生活に余裕が出てきたタイミングで1万円、1.5万円と増額することもできます。2027年には、iDeCoの掛金上限が月6.2万円(企業年金のない会社員の場合)まで引き上げられる予定です。
月1万円以内で年金の上乗せをつくる方法(5)企業型DCのマッチング拠出
勤務先に企業型DC(企業型確定拠出年金)が導入されている場合、利用できる可能性があるのが「マッチング拠出」です。本来、企業型DCの掛金は会社が拠出しますが、この仕組みが導入されている企業では従業員が掛金を追加できます。
マッチング拠出では、会社と従業員の掛金を合わせて月5.5万円(他の企業年金がある場合は月2.75万円)まで拠出できます(※2026年4月以降は会社掛金を超えての拠出も可能)。月1万円以内の積み立てでも、老後の受取額に確実な上乗せが期待できます。
また、拠出額は全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、節税効果も得られます。
月1万円以内の積み立てでも未来の安心につながる
今回ご紹介した5つの制度は、月1万円以内で始められるうえ、いずれも節税効果を得ながら将来の備えを強化できる点が共通しています。少額で無理なくスタートし、余裕が出てきた時期に掛金を増やせる仕組みもあります。未来への安心につなげるために、自分が利用できる制度を一度チェックしてみましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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