26/05/04
失業給付、一度もらうと次は何年後にもらえる?

会社を退職して失業したときに、頼りになるのが失業給付です。失業給付とは雇用保険の基本手当のことです。雇用保険加入期間などの条件を満たしていれば、失業給付を受け取れます。
ところで、一度失業給付の給付を受けると、次も同じような条件で受け取れるとは限らない点に注意が必要です。今回は失業給付について、もらえる条件やもらえる金額、次に失業した場合への影響を解説します。
失業給付はどんな場合にもらえる?
失業給付とは、雇用保険に加入していた人が、失業したときに受けられる手当です。雇用保険は労働者が失業した場合などに給付を行う公的保険制度で、会社等に雇われて働く人が加入しています。なお、「失業給付」という呼び名が一般的ですが、正式には「基本手当」という名前です。
●失業給付は定年退職でももらえる
失業給付は、自己都合、倒産、定年等により離職した人が、失業中の生活の心配をすることなく新しい仕事を探し、できるだけ早く再就職するために支給されるものです。失業給付をもらえるのは、65歳未満の人です。会社を60歳で定年退職した場合でも、再就職する意思があれば、65歳になるまでは基本手当を受給できます。
●失業給付と年金は併給できない
年金受給開始は原則65歳からですが、60~64歳でも特別支給の老齢厚生年金や繰り上げした年金を受け取っている人はいるでしょう。しかし、失業給付と老齢年金は同時に受給できません。年金を受け取っている人が失業給付を受給すると、その期間中は年金が支給停止となる仕組みです。
失業給付と年金とどちらをもらうのが得かは、人によって異なります。基本的には、「雇用保険の基本手当日額」と「年金月額を30で割った金額」を比較し、多い方を選んだ方が良いことになります。
●失業給付がもらえる条件
失業給付を受給するには、雇用保険の被保険者期間(加入期間)が一定以上なければなりません。原則として、離職の日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることが条件となります。
ただし、以下のような特定受給資格者及び特定理由離職者については、離職の日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が6か月以上あれば受給できます。
・特定受給資格者
倒産や解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者
・特定理由離職者
雇い止め、病気・ケガ、家族の介護、結婚に伴う転居など正当な理由による自己都合退職をした者
●失業給付でもらえる金額
失業給付では、「基本手当日額」が、所定の日数分支給されます。基本手当日額は離職前6か月間に支払われた賃金の合計を180で割った金額(賃金日額)の50~80%(60~64歳は45~80%)です。ただし、金額の上限はあります。
給付日数は離職理由や被保険者期間、年齢によって変わります。なお、失業給付の受給期間は原則として離職の日の翌日以降1年以内となっており、受給期間内に消化できなかった日数分は受給できません。
特定受給資格者・特定理由離職者等と一般の離職者では、所定給付日数が異なります。特定受給資格者・特定理由離職者等は、給付が手厚くなっています。
<失業給付の所定給付日数>

筆者作成
●自己都合退職の場合には給付制限がある
自己都合で退職した場合には、その後1か月の給付制限があります。待期期間(7日間)とあわせると、実際に給付が始まるまでには1か月半程度かかります。なお、通常の自己都合退職ではなく、特定理由離職者に該当する場合には給付制限はありません。
また、過去5年間に正当な理由のない自己都合退職が2回以上ある場合には、給付制限が3か月に延長される点にも注意が必要です。
●教育訓練を受講すれば給付制限が解除に
2025年4月から、離職前後に所定の教育訓練を受講すれば、給付制限が解除になる制度が始まりました。対象となる教育訓練は次のとおりです。
(1) 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
(2) 公共職業訓練等
(3) 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
(4) (1)~(3)に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
離職前1年以内に対象となる教育訓練を受講していた場合は、待期期間満了後から給付制限が解除されます。また、離職後に受講する場合は、受講開始日から給付制限が解除されます。
失業給付をもらうと被保険者期間はリセットされる
失業給付は条件を満たしていれば何度でももらえます。ただし、雇用保険の被保険者期間は一度失業給付をもらうとリセットされる仕組みになっているため、期間を置かずに再び申請してももらえない可能性があります。
●失業給付は1年以上働けば再受給可能
自己都合退職の場合、離職前2年間に1年以上の被保険者期間があれば、失業給付を受給できます。失業給付をもらった後に再就職した会社を自己都合退職する場合、1年以上働いていれば、再び失業給付を受給できることになります。
つまり、一度失業給付をもらうと、次にもらえるのは、原則として再就職後に1年以上働いた後となります。なお、失業給付の受給には回数制限はありません。
●失業給付を受給すると被保険者期間のカウントがゼロになる
失業給付の給付額は、被保険者期間が長いほど多くなります。そのため、再就職後の退職の場合には、失業給付の金額が少なくなることがあります。
たとえば、前職で10年の被保険者期間があったとしても、前職の退職後失業給付をもらうと、被保険者期間のカウントはゼロになります。再就職後の退職では前職の10年をカウントできません。被保険者期間が短ければ、もらえる額も少なくなります。
●再就職手当の制限にも注意
過去に失業給付をもらっている場合には、再就職手当の制限にも注意しておきましょう。再就職手当とは、所定給付日数を一定以上残して早期に再就職した場合に支給される手当です。前回の就職で再就職手当をもらっている場合、その就職日から3年以内は再度再就職手当をもらえません。
65歳以上で失業したら高年齢求職者給付金がある
現在は高年齢者雇用安定法により、会社は65歳まで雇用確保措置を講じなければならず、70歳までの就業機会確保の努力義務も課されています。60歳で定年になった後も引き続き会社で働くことも、全く珍しくなくなっています。
ところで、失業給付がもらえるのは、65歳未満で退職した場合です。65歳以上で退職・失業した場合には、再就職を希望していても、失業給付はもらえません。その代わり、雇用保険から「高年齢求職者給付金」をもらえることになっています。
●高年齢求職者給付金とは
高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険被保険者が離職して失業の状態にあるときに、雇用保険からもらえる給付金です。失業の状態とは、就職したいという意思があって、いつでも就職ができる能力・環境があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態です。積極的に求職活動を行っていることも求められます。
なお、高年齢求職者給付金は、年金と同時に受給することも可能になっており、支給額の調整もありません。
●被保険者期間の要件と金額
高年齢求職者給付金を受給する場合にも、被保険者期間の要件があります。具体的には、離職前1年間に6か月以上の被保険者期間が必要です。条件を満たしていれば、何度でも受給できます。
高年齢求職者給付金でもらえる金額は、雇用保険の被保険者期間が1年未満の場合は基本手当日額の30日分、雇用保険の被保険者期間が1年以上の場合は基本手当日額の50日分となっています。
再就職を支える制度を活用しよう
失業給付を一度もらうと、次に受給するには原則として再就職後に1年以上働く必要があります。また、受給によって雇用保険の被保険者期間はリセットされる点にも注意が必要です。
年金との関係や再就職手当の制限なども含め、制度の仕組みを理解しておくことで、退職や転職の判断に役立ちます。
定年退職後も、64歳までは失業給付、65歳以降は高年齢求職者給付金を活用できます。再就職を支える制度を上手に活用していきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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