26/07/25
こどもNISAとは?制度概要、ジュニアNISAとの違い、贈与税の注意点、活用法を完全解説

2027年1月から0~17歳の未成年者が対象の「こどもNISA」がスタートする予定です。こどもNISAは、かつてNISAにあった未成年者向けの「ジュニアNISA」よりも柔軟に使える制度になっているのですが、こどもNISAの利用にあたっては注意点もあります。
今回は、こどもNISAの概要、ジュニアNISAとの違い、贈与税の注意点、こどもNISAをお金教育に活かす方法をご紹介します。
こどもNISAとは?
NISAは、投資で得られた利益(売却益・配当金・普通分配金)にかかる20.315%の税金を一生涯ゼロにできる制度。2027年1月からは、NISAのつみたて投資枠の対象年齢が0歳まで拡充され、18歳未満の未成年が利用できる「こどもNISA」が新設される予定です。
<2027年からのNISA>

(株)Money&You作成
こどもNISAは、つみたて投資枠の中に位置付けられ、年間投資枠60万円、子1人あたり600万円まで投資が可能です。投資商品や投資方法はつみたて投資枠に位置付けられるので、つみたて投資枠とまったく一緒です。600万円の投資から生まれる利益は全額非課税となります。
子が18歳になったら、こどもNISAの資産は自動的に18歳以上が利用できるNISAの「つみたて投資枠」に移行されます。
600万円の投資を行い18歳になるまで保有を続けた場合、18歳以上からは600万円分は枠を既に消費している状態なので、1800万円のうち残り1200万円の枠の中で投資をするということです。
こどもNISAの資産の引き出しは、一定の条件下で12歳以降に可能になりますが、条件があります。金融庁の資料には「資金の使途が子のためのものであり、子が払出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出する」と、12歳以降引き出しができるようになるとあります。
なお、現時点では「子のため」がどの範囲を指すのかは不明です。子供と旅行をしたり、子供にプレゼントを買ったり、さらにはおこづかいとしてあげたりするのも、広い意味では「子のため」といえますが、細かい領収書や使途明細書などの提出が求められるようなら使い勝手の悪い制度になってしまいます。
こどもNISAはぜひシンプルなルールで使いやすい制度にしていただきたいものです。
こどもNISAとジュニアNISAの違いは?
2023年までの「旧NISA」には、未成年でも投資の利益を非課税にできる「ジュニアNISA」という制度がありました。こどもNISAとジュニアNISAの違いは、次のとおりです。
<こどもNISAとジュニアNISA>

(株)Money&You作成
ジュニアNISAとこどもNISAでは、年間非課税投資枠は80万円から60万円に減額となったものの、1人あたり非課税投資枠は400万円から600万円へ拡大しているので、改善になったといえます。
非課税期間はジュニアNISAが5年でした。しかし、継続管理勘定で18歳まで非課税の運用ができていましたので、こどもNISAと変わりません。
投資商品は、ジュニアNISAでは株などにも投資ができましたが、こどもNISAでは長期・積立・分散投資に適した投資信託やETFになりますし、投資方法も積立投資だけになります。より堅実な運用を行い、NISAの投資の利益非課税のメリットを享受しやすくするためなのですが、投資教育の観点からはジュニアNISAのほうがいろいろと試せてよかったといえます。この点では、こどもNISAは改悪になりました。
ジュニアNISAの資産は、原則18歳になるまで払い出せず、売却枠を再利用するという概念もありませんでした。こどもNISAでは上で紹介したとおり条件を満たせば12歳以降に払い出せますし、売却枠も再利用できます。
18歳になったときに、ジュニアNISAは一般NISA(現行のNISAの成長投資枠にあたる制度)に移管されるのに対し、こどもNISAはつみたて投資枠に移管されます。
こどもNISAは、ジュニアNISAより改善になったところもありますが、投資教育の目線では改悪になったところもあるといえます。
親などのお金で「こどもNISA」を利用すると贈与税が発生する?
本来、親や祖父母が子供にお金を渡しても、日常生活に必要な範囲であれば贈与税の対象になることはありません。たとえば教育費やお小遣い、仕送りなどは必要なお金なので、贈与税の対象にはなりません。
こどもNISAのお金の使途は「子のため」としているので、未成年の間に引き出す場合は、贈与税の対象にはならないと考えられますが、仮に贈与税の対象となった場合でも、贈与税の非課税枠は受贈者1人あたり年110万円であるため、他に贈与がなく、こどもNISAへ毎年60万円を入金するだけであれば課税されません。
ただし、「定期贈与」とみなされないよう毎年贈与契約書を作成しておいた方が安心です。
「贈与」がつく言葉には、「暦年贈与」「連年贈与」「定期贈与」がありますので、違いを押さえておきましょう。
<3つの贈与の違い>

(株)Money&You作成
暦年贈与は、贈与税がかからない範囲で生前贈与することです。「贈与する人ごとに110万円」ではなく、「受贈者(財産を贈与してもらう人)1人あたり110万円まで非課税」と設定されています。1月1日から12月31日の1年間に受け取る金額合計が110万円までであれば非課税です。
連年贈与は、「計画的に」ではなく、気づけば「たまたま」毎年贈与しているという意味です。一昨年は100万円、去年は30万円、今年は50万円というイメージです。毎年110万円までであれば非課税です。
定期贈与は、まとまった財産を計画的に贈与することです。たとえば「1000万円を10年にわたって贈与する」という具合です。毎年の贈与額は100万円で、暦年課税の範囲ではあるものの、定期贈与とみなされると贈与額の合計が初年度にまとめて課税されます。「1000万円をあげる」という場合には、110万円を超える金額、890万円が贈与税の対象になります。
つまり、こどもNISAの資金が定期贈与とみなされないように、毎年贈与契約書を作成したほうが安心というわけです。
ただ、そんな面倒くさいことをこどもNISAの利用者にさせるかといえば、そうはなりづらいのではと思います。
ネット上には贈与契約書のひな型がたくさんありますので、心配であればそれを活用して作成しておくのがよいでしょう。
「名義預金」になると相続税・贈与税の対象になることも
名義預金とは、口座名義と実際に管理を行う人物が異なる口座です。子や孫が通帳や印鑑を管理していない場合、名義預金扱いとなります。この場合、贈与が成立していないので、子や孫の資産とみなされなくなってしまいます。すると「大きくなったから資産をあげる」というときに、まとまったお金を一括であげることになってしまい、相続税や贈与税の課税対象になる可能性があります。
こどもNISAは預金ではないので、厳密には「名義資産」ですが、子や孫やこどもNISA口座の存在を知らない場合は名義資産とみなされる可能性は高いです。
ですから、子や孫にこどもNISAを利用していることを教えたうえで、子や孫がID・パスワードを利用して口座にログインでき、管理できるようにしておくのがベターです。口座管理の主体は子供であることを示せる状態にしておきましょう。
「こどもNISA」を子供のお金教育に活かす方法
こどもNISAの活用法として、世の中の情報には、「子供の教育資金を貯める」と「子供の投資教育に活かす」の2つがあります。
こどもNISAで「子供の教育資金を貯める」はイマイチだと考えています。なぜなら、子供の教育資金を貯めるなら、親のNISAでやればよいからです。
子供の教育資金を貯めるとなると、王道は大学資金ですが、0歳から始めても貯められる期間は18年などと限られています。その限られた期間に18歳以上の成年が使えるNISA(以下、おとなNISA)で1800万円、夫婦なら合わせて3600万円の非課税投資枠があります。仮に枠を埋めているなら、教育資金の心配はありません。こどもNISAで、子供の教育資金を貯める理由がなくなります。
しかも、おとなNISAには引き出し制限もありません。こどもNISAは、引き出しに金融機関への申し出が必要です。
よって、こどもNISAの活用は「子供の投資教育に活かす」ことがメインでしょう。
子供のうちから投資することで、お金や経済の仕組みを知るきっかけになります。
「親のNISAは教育資金、子供のNISAは投資教育」とすることで、親は自身のNISAで教育資金を貯めればよくなり、こどもNISAに親が関わる必要がなくなります。子供も、自分で投資を考えなくてはならなくなるのも良い点です。
こどもNISAを子供の投資教育に活かすために大切なのは「子供の投資の仕方に口出ししないこと」。子供自身が腹落ちして投資のことを理解するには、子供自身で実践するのが一番だからです。子供の考えが親の考え方と違う、商品をたくさん購入する、すぐに売却する、たくさん損するということがあっても、我慢して見守りましょう。
こどもNISAの投資方法は積立のみで、中長期の資産形成に適さない商品は除外されていますので、親も安心して見守りやすいでしょう。
「海外株だけに集中投資をすれば儲かる可能性は大きいけど、損する可能性も大きい」「分散投資だと大きなリターンは目指せないけど、損失を減らしながら堅実に増やせる「短期で売却して利益を積み上げるよりも、長く保有を続けるほうが複利効果でお金が増えるスピードが増す」といったことも理解できるようになります。
投資経験者の多くが理解している、投資の3原則「長期・積立・分散投資」も、子供自身が試すことで理解できるはずです。堅実なお金の増やし方を子供の頃から学び、成年になった時にまとまった資産がある状況は人生の選択肢を増やします。
資産があれば、生活のために働くという要素が減り、就きたい仕事にチャレンジできたり、働き方の自由度が増します。人生設計が良い方向に変わるのではないでしょうか。
こどもNISAを上手に活用して、子供の未来を明るいものにしていきましょう。
今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。
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頼藤 太希 経済評論家・マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。日経CNBCコメンテーター。確定拠出年金制度の運用改善等に関する有識者懇談会構成員。日本FP協会評議員。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保のアフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍120冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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